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スライムを狩る仕事です。  作者: 紅花翁草


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102

◆北安城中学校 添島恵美◆


 始業式前の朝の教室は、いつもより騒がしかった。


 理由は単純だ。

 同じ中学に覚醒者が5人。しかも全員がバスケ部。

 そんな5人が、夏休みにハンター講習を受けていたことは、ほとんどの人に知られている。


「ねえ添島、ゴブリンってやっぱキモい?」

「剣とか、どんな感じ?」

「ナンパとかされた?」


 次から次へと飛んでくる質問に、私は苦笑しながら答える。


「映像よりは……まあ、うん」

「私は槍にしたんだけど、ズン! って指した時の手応えは気持ちがいいよ」

「ナンパ? ……あぁ、普段よりも酷いのがいたね」


 真名も、同じように当たり障りのない返しをしていた。

 玲子は別のクラスだけど、きっと似た状況だろう。


 私達は、意図的に一人の名前を出さなかった。


 多紀君。

 あの人の存在だけは、ここでは伏せておく。


 余計な注目を集める必要はない。

 それが、自然な判断だった。


「おはよう。あっ、恵美いたいた」


 廊下側から聞こえた声に、顔を上げる。


「おはよう、薫」


 声をかけてきたのは、同じバスケ部のかおる

 クラスは違うけど、よく話す仲だ。


「ねえ、遥と弥生、まだ来てないの?」


 その一言で、私は真名と一瞬だけ目を合わせた。



 それから、教室の後ろを指差す。


「ねえ、あそこ。天井に付いてるの、カメラって分かる?」


「えっ?」


 そこには、しっかりと存在感を示すカメラが設置されている。


「あ、あれね」


「そう。遥と弥生、家庭の事情で今日からリモート授業なの」


「えっ!?」


 薫が目を丸くする。


「……そうなんだ。でも、なんでこの教室?」


「遥と弥生、二人で同じホテルに泊まってるから

 それなら、カメラ一台とタブレット一台で、一緒に授業受けたいってなって。

 事情を知ってる私と真名がいる教室がいいってことになった」


「そっか……」


 薫は少し寂しそうに笑った。


 その表情を見て、私はすぐに言う。


「でもね、遥と弥生、今日は手続きがあるから、昼くらいには登校するよ。

 そのあと、バスケ部の3年でファミレス行かない?

 3年間のお疲れ様会、しよ」


 薫の顔が、ぱっと明るくなった。


「うん! 分かった!」

「『バスケ部』のグループメッセで流しておくね」


「私からも書いておく」


 真名もそう言って、スマホを取り出した。





 始業式が終わって、教室に戻る途中。


 スマホが震える。


(遥)『もうすぐ学校に着きます。』

(弥生)『着いたら生活指導室に向かいます』


「結構、早いね」


 私が言うと、真名もスマホを見ていた。


「弥生達、お疲れ様会の話でテンション上がってたし

 電車、早めたんじゃない?」


「あり得るね」


 二人で顔を見合わせて、思わず笑ってしまう。


 慌てて準備して、少し早い電車に乗る二人の姿が簡単に浮かんだ。


「添島さん、大豊さん、ちょっといいですか?」


 教室前で、担任の沙織先生に声をかけられる。


「「はい」」


「ホームルームが終わったら、生活指導室に来てください。

 進路について、少し質問があります」


 その言葉に、胸の奥が少しだけざわついた。


 遥と弥生も、同じ場所に呼ばれている。


「……鹿屋さんも、ですか?」


 私が訊くと、沙織先生は頷いた。


「えぇ、そうです」


(どうして学校側から? 

 まだ2学期が始まったばかりなのに?)


 私は、そう思いながら小さく息を整えた。


「はい。分かりました」


◆神域管理室◆


シャニア「今日が3日。彰斗が来るのが9日。

     たしか、毎週日曜日とか言ってたわよね」

イレーザ「この世界の暦の数え方を覚えたのですね」

シャニア「こんなの簡単よ。まあ、覚えたのは、この暦表の数字と、並び方での呼び名だけね

     この、一番左にある赤い数字の列が日曜日」

イレーザ「彰斗が用意してくれたカレンダーですね。

     私達の世界には、週という単位も、曜日という単位もありませんから、面白いです」

シャニア「そうね。言葉は翻訳出来ても、文字までは無理なのよね」

イレーザ「絵柄としか認識しないからでしょう」

シャニア「……これさ、彰斗をこっち側の世界に連れて行った時、苦労しない?」

イレーザ「常に私が傍にいるので大丈夫です」

シャニア「……あっそ」


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