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スライムを狩る仕事です。  作者: 紅花翁草


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第二部の連載を開始します。

今回は週2回更新(月・木)になります。

まだ一章終わってません( ̄▽ ̄;)

再開に伴い054の《巨神遺構》での戦闘シーンを修正しました。(3月8日)

内容的には、一階層はストーンゴーレムのみの変更になります。

それでは、素人作家の物語にお付き合いください。

 朝の空気は、少しだけひんやりしている。


 僕はいつも通り、自宅から学校までの2.8kmを走っていた。

 中学に入ってから始めた通学ランニングも、もう三年目になる。


 理由は単純だ。

 ――もし、覚醒者に選ばれた時のため。


 選ばれるかどうかも分からない未来のために努力するなんて、馬鹿らしいと思う人もいるだろう。

 でも僕は、何もしないで後悔する方が嫌だった。


「ペース、このくらいで大丈夫?」


 並走する自転車の上から、美奈が声をかけてくる。


「うん。ちょうどいい」


「じゃあ、そのまま行こ」


 美奈は僕の通学鞄を前かごに入れ、信号や車に気を配りながら、一定の距離を保ってくれている。

 僕が走り始めた頃から、ずっとそうだ。


 理由は聞いていない。

 でも、分かっている。


 支援だ。

 小さい頃、僕の事を好きだと言ってくれた彼女なりの。


「今日、暑くなりそうだね」

「夏だからね」

「はいはい」


 そんな他愛ない会話を交わしながら、僕達は校門をくぐった。



 教室に入った瞬間、空気が少しだけ変わった。


 視線。

 小さなどよめき。


(ああ……)


 夏休み中に誕生日を迎えた僕が、覚醒者になったこと。

 どうやら、もうクラス中に広まっているらしい。


「多紀って……覚醒したんだよな?」

「まじで?」

「あの手袋……」


 ひそひそとした声が耳に入る。

 美奈も一瞬だけ周囲を見回し、小さく息を吐いた。


 そんな中、ひときわ堂々とこちらに歩いてくる男子がいた。


「おはよう、白崎さん」


「おはよう、朝倉君」


 朝倉圭太。

 確か彼の誕生日も夏休み中だったはず――

 覚醒者の証、右手の甲の紋章を不自然な動作で見せ付ける。

 


「聞いたよ。多紀も覚醒したんだって?」


 朝倉は、僕を見るというより“確認する”ような視線を向けてきた。


「はい」


 短く答える。


「へぇ。ちなみにさ……」


 朝倉の視線が、僕の右手に止まる。


「なんで手袋してんの?」


 教室の空気が、少しだけ張り詰めた。


「紋章、隠すんだ?」


 その言い方には、どこか含みがあった。


 覚醒者が紋章を隠す理由。

 他人からの期待や、目立つ事から避けるため――


 ――そういう解釈も、確かにある。


 でも。


(見せびらかす方が、よっぽど品がないと思うけどな)


 必要な時に見せればいい。

 それだけの話だ。

 これは、大半のハンターが共有している感覚でもある。


「でさ」


 朝倉は、気にする様子もなく話を続ける。


「俺、剣闘なんだけど。合宿でレベル5まで上げたんだ」


「……そうなんだ」


「まあ、初心者なら普通かな」


 そう言いながら、ちらりと美奈を見る。


「多紀は? 称号」


 教室が静かになるのが分かった。


 僕は、落ち着いて答える。


「魔眼だよ」


 一瞬の間。


 朝倉の口元が、わずかに緩んだ。


「……ああ、魔眼か」


 納得。

 優越。

 勝った、という感情。


 隠す気もない表情だった。


「教官から聞いたよ。索敵は便利だけどさ、戦闘力は無いんだろ?」


 周囲に聞こえる声量で、続ける。


「結局、前に立つのは剣闘とか武闘だし。パーティーでも後ろ専門だよな」


 そして、視線を僕から外し――


「だからさ、白崎さん」


 まるで、僕の評価は終わったと言わんばかりに。


「俺なら――」


「ごめん」


 美奈が、はっきりと遮った。


「興味ない」


「……は?」


「人を下に見て話す人、好きじゃないから」


 教室の空気が、完全に凍りつく。


「え、いや……俺は事実を――」


「事実の一部だけで、全部分かった気になるのが嫌なの」


 美奈は、静かに言った。


「それだけ」


 朝倉は言葉を失い、少し苛立ったように舌打ちする。


「……分かってないな。後で後悔しても知らないぞ」


 そう言い残して、自分の席へ戻っていった。


 しばらくして、教室にいつものざわめきが戻る。


 僕は何も言わなかった。


「気にしなくていいから」


 美奈が、小さな声で言う。


「うん」


 評価されなくても、誰に見られなくても。

 僕を知ってくれている人達が居るから、何も思わない。

 それは、これからも変わらない。


 魔眼がどう言われようと。

 この力で、僕は家族と、そして守りたい人達を守れるんだから。


◆神域管理室◆


シャニア「ほんと、夏休みってなによ! 彰斗を眺めるのが楽しみだったのに!」

イレーザ「7日に一度ほどの訪問は変わらないですよね」

シャニア「それはそれ! これはこれ!」

イレーザ「私達の世界の学校には、そういうのは無かったですね」

シャニア「あなたの渡したリングも、向こう側には届かないんだし、不安じゃないの?」

イレーザ「そうですね。魔素の無い世界では、本来の力が出せませんから」

シャニア「この調律庭園で生活する話はどうなったのよ」

イレーザ「数年は先の話になりそうですね」

シャニア「あーもう! これじゃ昼寝する前と同じじゃない

     あ! もっかい寝ていい? 一匹スライム捕まえてくるからさ!

     彰斗が来た時に起こして!」

イレーザ「……そういえば、スライムに魔力を吸わせる実験。

     治験者が居なかったらしいです。

     良いかもしれませんね」

シャニア「でしょ!」

イレーザ「ただ、私が起こす保障はありませんよ?」

シャニア「え?」


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