…
あーちゃんは大通りから反れてボードを手にレンガ造りの建物の2階へ上がっていく。下には雑貨店が入っている。
両手の飲み物をこぼさないように腕についているデバイスで扉の鍵を開け、器用に室内へ入っていく。
入口にボードを立て掛けて、入ってすぐのシンプルなテーブルにアイスコーヒーだけを置く。
自分の飲み物はテーブルの奥にあるカウンターキッチンに置く。そうして、キッチンの横にある部屋に入る。
「今日はチャイナだなぁ」
部屋から出てくると中国風の上下セットになって出てくる仮。その服で、冷蔵庫を確認して朝ごはんを作り始める。
「…やぁ…おはよう…」
キッチンの奥の螺旋階段から1人の男が降りてくる。
淡い茶色の髪にグレーがかった瞳、スッと通った鼻筋。ヨレヨレのパジャマとガウンですら絵になってしまう…
「おはよう、ボス」
「…フレンチトースト?」
「だめだよ!昨日のうちに言ってくれないと!仕込んでない!今日はハムチーズホットサンド!」
少しいじけた表情を見せるボスと呼ばれた男。
「ボス!とりあえず歯磨いて、顔洗ってきな!」
よろよろと奥の部屋へ歩いていくボス。数分で戻って来て、カウンターキッチンの前へとコーヒーを持って座る。
「いい匂いだ…今日は予定もないもんね…いい日になりそうだ…」
”ブーッ!ブーッ!“
家にそぐわないブザー音が響く。
「予定ができるかもしれないね!ボス!」
仮は笑顔でボスの方を見る。
脱力するボス。