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第6話 そのときはそのとき

まずは朝の市場はどうなっているのか見に行った。


まだまだまばらだが人はいた。


みんな店の準備をしているようだ。


お、あれは。


「おはようございます」


「ん?おぉ、昨日の兄ちゃんじゃねぇか」


昨日の串焼き屋の男の人がいたので声をかけた。


「そうです、よく覚えてますね」


「あたりめぇよ、商売やってんだ、人の顔くらいはちゃんと覚えなきゃ、どこに商機が転がってるか分からないしな」


「そうですね、昨日言ってた宿行ってきました、とてもいいところでした」


「ベルナんところだろ?あそこはいいぞ、嫁さんは美人だし飯は美味いし、飯目当てで俺もよく行くんだ」


「そうなんですね」


言えない、素泊まりにしましたなんて。


「あそこの嬢ちゃん達も可愛いもんだろ」


「えぇ、とっても可愛かったです」


「あれは見てるだけで癒される」


「分かります…」


「はっはっは!どうやら虜になっちまったようだな」


「えぇそうみたいです、お店はまだ開かないですか?」


「あぁ、今は店の準備してるだけで、始めるのは昼頃だからな、また来てくれよ」


「はい、じゃあまた来ますね」


「おう!」


そうして串焼き屋を離れた。


どこもまだ準備だけのようだな。


市場を一通り見て回り次はどこに行こうか迷う。


「アリス、今何時だ?」


《今は朝の7時16分です》


「普通の店って大体何時くらいに開くもんなんだ?」


《大体8時か9時頃には開くかと思います》


じゃあまだしばらくはぶらぶらとしてるかな。




30分ほど歩いていると街の中に門を見かけた。


気になって近付くとそばにいる門兵に止められた。


「ここから先は貴族街である、何か用事か?」


「あ、いえ、この先はどうなってるんだろうと気になっただけで、入れないなら戻ります」


この世界には貴族の制度があるのか。


ショッピングモールを公にしたときに貴族が面倒なことをしなければいいけど…。


まぁそのときはそのときだ。


市場の方へと戻っていく帰り道、気になった店が数件あったので寄っていく。


まずは服屋。


扉を開け中に入る。


「やってますか」


「今開けたから大丈夫よ」


60歳くらいのおば…お姉さんが店主のようだ。


服を見て回る。やはりデザイン性がないな、赤い服なら赤1色、青の服なら青1色といった感じだ。それにこれは…。


「これって中古の服ですよね?」


「そうさね、うちにあるのはほとんどが中古だよ、新品の服はあるけど値段はそこそこするよ?」


見せてもらうと確かに、他の服は1000ベルから3000ベルくらいだが、新品の服は1万ベルくらいする。


同じ1万ベルでもデザイン性の有無でうちの服を買う人が増えそうだ。


そうなるとこの店が立ち行かなくなってしまう。


それはこちらの望むところでは無い。


しかし、集客は必要であって…でも貴族向けにするのはショッピングモールの利便性に合わないしなぁ。


値段を2倍か3倍にしたら平民の人たちもちょっと贅沢をする程度に済むかな?


ここら辺は商人ギルドに相談してみよう。


中古の服を3着ほど買い、タブレットの収納機能にしまった。


次に魔道具店、中に入ると薄暗かった。


これやってるのか?


店主も出てこないようなので勝手に見て回る。


明かりを付ける魔道具、火をつける魔道具、お、これか時間が分かる魔道具っていうのは。


元の世界の時計と同じような感じだな。


ただひとつ違うのは結構でかい。


壁掛け時計を置時計にしましたってくらいでかい。


他にもパンを焼く魔道具、濁った水を浄化する魔道具など色々あった。


どれも3万から5万ベルくらいする。


魔道具っていうのは高いものなんだな。


そういやうちも家電店が追加できるけど、この世界に電気はあるのか?


「なぁアリス、この世界って電気ってあるのか?」


《いえ、ありません》


「なら家電店って何を売るんだ?電気が無きゃ動かないじゃないか」


《電気を魔道に変えます。家電店ではなく魔道具店になりますね》


おぉ、つまりあの便利な家電が全て魔道具に変わるということか。


見た感じまだ冷蔵庫とか掃除機とか無さそうだしこれは追加したら売れそうだな。


魔道具店を後にし、次は本屋。


「…いらっしゃい」


寡黙そうなおじいさんがやっているようだ。


「すみません、魔法の基礎について知りたいんですけど」


「…あそこ」


「ありがとうございます」


指さされた方に行くと「魔法基礎」「ゴブリンでも分かる魔法」「魔法について」など魔法の本がたくさんあった。


「ゴブリンでも分かる魔法」っての買ってみるか。


おじいさんのところへ持っていく。


「…1万ベル」


うわ、意外と高い、だが魔法が使えるのならやむなし。


金貨1枚を出し本屋を後に。


猫の住処に戻り早速「ゴブリンでも分かる魔法」を読む。


これで魔法が使える様になったらいいなぁ。




結果として魔法は使えませんでした。


なんか魔力を感じろみたいなことが最初に書いてあったけど、なんにも感じ取れませんでした。


おっかしいなぁ、MPはたくさんあるのに。


「ねぇアリス、俺って魔法の適正無いのかな?」


《魔法は練習すれば扱えると聞きます》


「そうなのか、もうちょっと頑張ってみようかな」


《しかし、魔法はMPを使います》


「どのくらい使うもんなんだ?」


《初級魔法のボール系魔法でMP20を消費します》


「お?ってことは俺結構MP多い方?」


《オーナーのMPは店舗追加に使われる前提の量ですから、相当多いです、ただ、店舗追加前提のMPですので魔法の適正まで与えられているとは考えにくいです》


「マジかぁ、まぁこのショッピングモールさえあれば魔法なんていらないか」


金貨1枚も出したが、勉強代と思えばいいか。

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