新聞記者
レッドベリーとの決闘の翌日。
マヤは城の客間で、記者達から取材を受けていた。
スーツに身を包み、メモ帳と写真機を手にした記者達に囲まれ、マヤは恥ずかしそうに俯いていた。
(どうしよう…王様に言われたから取材を受けてるけど…注目されるのは慣れないよ…)
「勇者様! レッドベリー様との戦いに勝利したとのことで、今のお気持ちをお聞かせください!」
「あっ…うっ…えっと…勝てて、嬉しいです」
マヤが言葉を発する度に、記者達はせかせかとメモ帳にペンを走らせる。
「悪魔を退治すると言うことで、意気込みをきお聞かせ願います」
「…国を守れるように…がんばります…」
マヤは、薄いコメントしか出来ない自分を情けなく、
「早く終わって」と心の中で祈るばかりだった。
するとその時、大勢の記者達の中に割り込み、無理矢理マヤの目の前まで割って入ってきた一人の少女がいた。
「おい! 押すな!」
「なんだこのチビ!」
記者の群から怒号が飛び交う。
少女はマヤの真正面、数センチのところまで顔を近付けると、嬉しそうにホクホクと顔を赤くした。
「可愛い…これは記事が映えるぞお」
(なにこの人…)
マヤよりは年上だろうが、その可愛らしい顔立ちから十代後半くらいに見える。
輝く金髪に、月色の瞳は熱意に燃えているようだった。
メモ帳を片手に大きな声で言った。
「あの! お名前をもう一度お聞かせください!」
「…は、はい…マヤです…」
「うむうむ、『まだあどけなさの残る少女は恥ずかしげにマヤと名乗った』と」
記者の少女は、口に出しながらメモを取っていく。
「普段は何をして過ごしているのですか?」
「えっと…絵を描いたり…」
「絵?! 良いですねえ『勇者に選ばれたマヤ氏は普段は絵に熱中しているらしい』」
メモを取る。
「それで、どうやって悪魔を退治しようと思うのですか?!」
「えええと…まだ、悪魔の姿が分からないので、ちょっと…」
「ほう!『少女は正体の分からぬ悪魔との戦いにただならぬ覚悟をーーー」
マヤの前を独占する少女に見兼ねた記者達が、怒号を被せた。
「おい! お前どこの新聞社だ! どけ!」
「邪魔なんだよ!」
「俺たちに取材させろ!」
少女も負けじと叫ぶ。
「うるさい! この世の特ダネは全てわたくしのものですよ!」
「何言ってんだ小娘が!」
「こちとら大手なんだよ! てめえら弱小の取材より価値があるんだよ!」
すると他の記者も喧嘩に参戦して、
「何をーーーー?!」
「どけよ! クソども!」
記者の一人が他社の記者を殴ったのを皮切りに、喧嘩は小さな乱闘へと発展した。
取材対象であるマヤを置いてきぼりにして、記者達は口々に互いを罵った。
(血気盛んだなあ…そうだ)
マヤは、そっと屈むと、机の下に潜り匍匐前進でそっと部屋から抜け出した。
(怖いな…大人の喧嘩は…)
マヤはそそくさと自室へ戻ったのであった。




