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91話

「今日もマリリンは早起きでござるなぁ。何時から冒険者ギルドで仕事をしていたのござるか?」


「え? そんなに早くないですよ。私が来たのは8時くらいですから、1時間前くらいですね。先輩たちは7時に来てたりしますから私なんてまだまだです」


「冒険者ギルドの職員も大変なのでござるな。拙者もそのくらいの時間に起きてはいるでござるが、準備してギルドについているということはもっと早く起きているということでござろう?」


「そうですね。私で、6時半くらいに起きるようにしています。もう3年目なのでなれたもんですよ。ギルドの職員は冒険者の方が来る前から忙しいですからね。いろいろと準備することがありますから」


 とんでもないブラック企業でござるな。

 本人たちが微塵も不満を持っているように見えないでござるから、拙者が口をはさむことでもないのでござるが。もしかすると、この世界ではこれが当然のことかもしれないでござるな。朝早くから働くことに抵抗がないのは羨ましいでござるよ。拙者とて本当はゆっくり寝たいでござるしな。


「今日の大会は10時半から開会式でお昼過ぎくらいまでに予選を終わらせると感じになると思います。予選にはSランク冒険者は出てこないので安心してください」


「なんで出てこないってわかるのでござるか?」


「Sランク冒険者は予選が免除されるんですよ。出ても勝つことはわかりきってますからね。それに、予選でSランク冒険者と当たったらもう勝ち目がないじゃないですか。理不尽に負ける人を減らして少しでも決勝トーナメントに出場してもらうための配慮らしいです」


 Sランク冒険者が予選で出てくればそれは、確実に並みの冒険者たちでは相手にもならないでござろうな。

 ということは、拙者は真面目に予選を突破しないといけないということでござるか。面倒でござるが、拙者はまだBランク冒険者でござるし、仕方がないでござるな。


「Sランク冒険者と戦えるのは、決勝トーナメントまでお預けということでござるな。拙者も一緒に免除にしてくれればよかったでござるのにな。拙者と当たる冒険者も十分可愛そうでござるよ」


「それは言えてますね。タケシさんもステータスはSランク冒険者と遜色ないですしね。Aランク冒険者のドデカさんですら、相手になっていませんでしたし、予選で当たる方たちが可愛そうです」


 マリリンもわかってくれているようでござるな。

 拙者が予選を戦うことの理不尽さを運営にも訴えてほしいでござる。まあ、別に嫌というわけではござらんし、実戦経験を積むという観点で見ればプラスでござろう。


「見えてきましたよ。あれが、コロシアムです」


 拙者も地図は覚えているのでそろそろだとわかっていたでござるが、自分の目で見るとコロシアムは圧巻の大きさでござるな。

 相当な人数を収容できそうでござる。観客もとんでもない数になりそうでござるな。

 既に、コロシアムを囲うように人だかりができているでござるよ。よく見るとそのほとんどが冒険者でござる。これが全員大会に参加するのでござるか?


「凄い人数でござるな」


「私も出場者の名簿を見たわけではありませんので、まさかここまでいるとは思わなかったです。予選がグループの総当たり戦なのも納得ですね」


「総当たり戦とはどういうことでござるか?」


「えーと、簡単に言えば全員で戦って最後に立っていた人がグループの代表として決勝トーナメントに進出できるというシンプルなルールですね。実力者はもちろん狙われますので、立ち回りも重要になってきたりします」


 それなりの人数が入り乱れて、混戦になりそうでござるな。不慮の一撃で敗退何て話もありそうでござるよ。圧倒的な実力差があればその限りではないのでござろうが、そこまではないでござろう。Aランク冒険者でも油断できないルールでござるな。確実に狙われることになるでござるし、拙者はまだ無名でござるから楽勝でござるな。


「拙者とっては都合のいいルールでござるな。少なくとも、狙い撃ちされることはないでござろう」


「タケシさんはまだ冒険者になって日も浅いですからね。有名じゃない分、有利に働きそうです」


「狙われようが拙者に取っては何の障害にもならないでござるが、鬱陶しいのは間違いないでござるもんな。それで、拙者はどこに行けばいいのでござるか?」


 ここに冒険者が集まっているということでござるし、とりあえずは移動する必要はないと思うでござるが、こいつらもどこに行けばいいかわからなくて集まっているという可能性はあるでござるからな。


「開会式まで少し時間があるので、ここで待機していていいと思います。この人たちについて行けば大丈夫ですよ」


「わかったでござる。これで、もし拙者が大会に出られないってなった時はマリリンが責任をとってくれるのでござるよな?」


「責任を押し付けてくるのはずるいですよ。私だってこうやって来たのは初めてなんですからね」


 まあ、これだけ人がいるのでござれば大丈夫でござろう。

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