81話
「そういえば何ですけど、最近ギルドでコブソンさんの姿を見かけないんですよね。まあ、たまに遠征してクエストを受けに行ったりもしてましたので、今回もおそらくそうなんですけど、タケシさんがまだ会えていないのは残念ですね」
もうあいつを殺して何日になるのでござるかな? 一週間はまだ立っていないでござるが、この町唯一のSランク冒険者が姿を見せないとなれば噂になるのも仕方ないでござるな。
「拙者も早くあってみたいでござるよ。まだ、Sランク冒険者には生であったことがないでござるからなぁ。どんなものか見ておきたいでござる」
「タケシさんよりも強いかもしれませんよ」
「拙者と直接戦えばわかることでござるよ。マリリンも拙者の優勝に全財産かけておいたほうがいいでござる」
拙者にかける物好きなど、昨日説得した受付のお姉さんくらいなものでござろう。つまり、オッズがすさまじいことになるのでござる。大穴もいいところでござるな。拙者が優勝した場合は、受付のお姉さんが総取りになるでござろう。
「私賭け事はしませんので。それで痛い目にあってきた人を何人も見てきました。タケシさんもダメですよ」
「拙者は本人でござるから、かけるわけには行かないでござろう? 拙者が優勝するとわかっている大会で違う誰かにかけるなんて愚かな真似はしないでござるよ」
「自信があるというのは凄いことです。明日も頑張ってくださいね」
マリリンに応援されるのは悪い気はしないでござるな。
誰に応援されても、気分を悪くするようなことはないとは思うでござるが、他人から応援されるよりも見知った仲の友人に応援されるほうが何倍もうれしいでござるよ。
「それより早く見に行かないとクイズ大会が始まっちゃいますよ!!」
「え? マリリンはこれを見るつもりだったのでござるか? 服を引っ張るのはやめるでござるよ」
マリリンから、強引に服を引っ張られながら、ステージの前に用意されている椅子に向かう。
しかし、これだけ人がいれば椅子なんて座れそうもないでござるがな。立ち見で拙者は一向に構わないでござるが、マリリンは疲れそうでござるな。
「うーん、席が空いてないですね。やはり、早朝から場所を取っておかないとダメみたいです」
案の定、席は空いておらず、マリリンはステージの前の人だかりで途方にくれているでござるな。
「席が空いていないのであれば、無理して見る必要もないのではござらんか? また、おやつを食べに行くということでいいと思うでござるよ」
「いいえ、おやつも魅力的ですが、私はわざわざここまでクイズ大会を見に来たんですよ。たかが席が空いていない程度のことで諦めるわけにはいきませんよ。気は進みませんが、立ってみることにしましょう。他にも立っている人はいっぱいいるので大丈夫そうです」
「拙者は鍛えているから大丈夫でござるが、マリリンはずっと立ちっぱなしだときついのでござらんか?」
「私の心配をしてくれているんですか。ありがとうございます。ですが、私はこれでも冒険者ギルドの職員ですよ。最低限の体力は持っていますよ。いざという時に何もできないようでは役に立てませんからね」
いざという時というと、町にモンスターが攻めてきたとかそういうことでござるか? そんな事態に陥った時に、マリリンが少し体力があるくらいで何の役に立つというのでござるか? 謎でござるが、マリリン自信得意気な表情を浮辺ているでござるし、下手に突っ込むのは機嫌を損ねる可能性があるでござるから控えるべきでござるな。
「マリリンが大丈夫だというのでござったら拙者のほうはもちろん問題ないでござるよ。いくらでも、大丈夫でご流石に、いくらでもは私が無理ですよ。クイズ大会が終わるまで見て、次の内容で判断しましょう」
クイズ大会の時点で拙者としてはスルー確定なのでござるが、マリリンはこのクイズ大会とやらが大変気になっているようでござるな。どこにそんな惹かれる要素があるというのでござろうか。
「あ、始まりますよ。選手たちがステージに出てきました!!」
マリリンが嬉しそうに声を上げたでござるから、ステージのほうへ視線を映すと、確かに数名の人がステージへと上がって行っているでござるな。選手という言い方がちょっと嫌でござるな。
「これはこのまま始まるのでござるか? 予選はないのでござるか?」
「私に聞かれてもわかりませんよ。予選から全部やっていたら時間がかかるのでいきなり決勝戦みたいな感じになっているんじゃないですか?」
マリリンの言うことが正しいのでござらば、事前に予選を終わらせているということでござるよな。ならば、拙者がどう頑張ったところでエントリーできるわけがなかったではござらんか。
「よくわかりませんが、あの右から二番目の方の紹介の時の歓声が一番大きかったので、おそらくあの方が優勝候補なのでしょう。さあ、始まりますよ。タケシさんも一緒になって考えればきっと楽しいはずです」
「努力するでござる」
しかし、退屈な時間が続きそうでござるな。




