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77話

「それでは、最初のお店まで戻りましょうか。こう言うの順番に行くのがいいんですよ」


「となると唐揚げからでござるか。拙者も唐揚げは食べたかったでござるから楽しみでござるよ。早速行くでござる」


「ああ、私よりもタケシさんの方がノリノリです。置いて行かないでくださいよ!!」


 通ってきた道をそのまま戻っていくでござる。

 通りにはたくさんの店が並んでおり、二回目ではござるがどうしても視線が吸い寄せられてしまうでござるな。後でこっちに戻ってくるでござるから待っているでござるよ。


「うーん、もう時間が朝ごはんというには遅くなってきてしまいましたね」


「今は何時なのでござるか? 拙者の体感的には10時27分でござるが」


「え? タケシさん時計持ってるんですか? 分単位であってますよ」


「やはりそうでござったか。拙者は時計は持っていないでござるよ。完全に感覚でござる」


「意味が分からないです。それで正確な時間を知れてしまうのであれば時計なんていらないじゃないですか。いろいろとおかしいですよ」


 マリリンにはおかしいと言われているでござるが、拙者もこの体内時計を手に入れるためにそれなりに苦労しているでござるからな。それこそ、修行に励んだものでござるよ。

 簡単に手に入れていると思われたりするのは心外でござるよ。


「拙者の修行の成果でござる。マリリンにも教えてあげてもいいでござるよ」


「結構です。私はしっかり時計を持ち歩くので」


 まさに即答でござった。

 マリリンには必要のない技でござったか。時計さえ持っていれば大抵の場合は必要のない技でござるもんな。そんなことを言われるとなぜ拙者はこんな無駄なものを習得しているのだろうと考えてしまうでござるな。実際に役に立っているので完全に無駄というわけではござらんが、世間一般で考えると時計の方が確実で信じられるのでござろうな。拙者もできれば時計が欲しいでござるよ。


「つれないでござるよ。これ以外にも様々な技を修行で身に着けているでござるから、機会があれば披露するでござるよ。楽しみにしてくれでござる」


「凄いけど、あまり使い道がないみたいなものはやめてくださいよ。反応に困りますからね」


「拙者を舐めるなでござる。アッと驚くようなものをたくさん持っているでござるからな。無様に驚いた顔をさらすといいでござるよ」


「あまり自分でハードルを上げないほうがいいと思いますよ。私は既にタケシさんのステータスなんかを知っちゃってますからね。この時点でも十分ハードルは上がってるんですから」


 ほかならぬ拙者でござるからな。期待されてしまうのも無理はないでござろう。

 しかし、これで生半可なものを披露して残念な目で見られるのは避けないといけないでござるな。もちろん、拙者の技の一つ一つは驚嘆に値するものばかりでござるが、その中でも選りすぐりのものを披露してやろうではござらんか。乞うご期待でござる。


「あ、からあげ屋さんまで戻ってきましたよ。最初はここですね。とりあえず二人分買いましょう」


「そうでござるな。拙者も食べたいでござるよ」


「いえ、私が二人分食べるのでタケシさんも食べたいのであれば追加してください。追加するのは得意ですよね?」


 この食い意地張り娘はいきなり二人前を行こうというのでござるか。拙者が驚かすよりも先に、こっちが驚かされそうでござるよ。まさか、この調子でずっと二人前ずつ食べていくわけはないでござるよな。


「そんなに飛ばして大丈夫でござるか? すぐに食べられなくなってしまっても知らないでござるよ?」


「心配ご無用です。私の胃袋をタケシさんは過小評価しているようですね。まあ、見ていてください。あ、これでは先に無様に驚いた表情をさらすのはタケシさんになってしまいますね」


「拙者は大抵のことであれば驚かないでござるよ。残念でござるが、その可能性は皆無でござるよ」


 心が読まれたのかと思って少し焦ってしまったでござるよ。まったく、マリリンも察しがいいところがあるでござざるからなぁ。気を付けなければならないでござるな。


「へいらっしゃい!! おっ、お二人さんはカップルかい? いいねぇー!! 祭りでデートなんて青春してんじゃねぇか。ほら、あんちゃんここは奢って株を上げるところだぞ。何人前だい?」


 やけにテンションの高いおじさんでござるな。それも拙者たちがカップルとは……もう少し人を見る目を養なってほしいでござる」


「三人前で頼むでござるよ」


 わざわざ否定するのも面倒でござるので、あえてカップルのくだりには触れないでござる。


「いいねぇー!! けど大丈夫か? あんちゃんが二人前以上食わねぇとそっちの嬢ちゃんには量が多いと思うぞ」


「ああ、違うのでござるよ。拙者は一人前、こっちが二人前でござる」


「わざわざ言わなくていいですよ!! ううぅ……」


「ま、まぁ、うちのからあげは飛び切りうめぇからな。いっぱい食べたくなるのもしょうがねぇってもんだ。ほらよ、三人前で1500ゴールドだ」


 袋から金を取り出し、ちょうどおじさんに渡す。


「毎度あり!! 祭りの間はずっとやってるから気に入ったらまた来てくれよ!!」


 最後までテンションの高いおじさんでござるな。

 でも確かに唐揚げはうまそうでござる。


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