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76話

「うわぁ、今年もいっぱいお店が出てますね。ひとまずぐるっと見て回りますか。すぐに決めてしまうのももったいないですよね」


「拙者はお詫びで朝飯を奢るんでござるからな。マリリンが好きなようにしてくれて構わないでござるよ」


「わかりました。では、一度見て回りましょう。そのあとに食べるものを決めることにします」


 確かにいきなり食べるものを決めてしまって、後からもっとおいしいそうなものを見つけたら普通に残念な気持ちになってしまうでござるからな。マリリンの考えは正しいでござるよ。


 しかし、出店の数がやたらめったらと多いでござるな。こんなに出店していたら利益もばらばらになって稼げないのではござらんか? そのあたりも考えて出店されているのでござろうが、どういう仕組みになっているかわからないでござるよ。


「マリリン、こんなに店があって稼ぎはどうなるのでござるか? 分散されて赤字になりそうでござるが」


「そんなこと知りませんよ。ですが、毎年お店を出しているかたもたくさんいますよ。儲かっているということでしょうね。詳しいことが知りたいのであれば直接聞くのが一番ですよ」


「マリリンが知らないのであればいいでござる。別に他人に聞くほど気になっているわけではござらんからな」


「あ、あのからあげおいしそうです」


 拙者の話よりも食べ物のほうに気が行ってしまっているでござるな。

 当然でござるが、なぜか少しだけ悲しい気持ちがこみあげてくるでござるな。拙者だって逆の立場でござったら食べ物のほうに行くでござろうから文句は言えないでござるな。


「どうしましたか? タケシさんも早く来てください」


「わかったでござる。唐揚げはなかなかいいでござるな」


「ですよね。お祭りのからあげは外せません。ですが、まだ決めてしまうには早すぎます。もっと見て回りますよ」


 マリリンがとても食い意地を張っているように見えるのでござるが決して拙者の気のせいではござらんよな? きっと誰が見ても同じ感想を持つことでござろう。


 マリリンはその勢いのままガンガン進んでいくでござる。


「あれもおいしそう……いや、こっちも……うわぁ、このたこやきもおいしそうです」


「もう全部おいしそうって言ってるでござるよ。こんな調子でござったら一生決まらないでござるが大丈夫なのでござるか?」


「タケシさんはわかってないですね。お祭りに出店しているくらいなんですからおいしそうに見えるのは当たり前ですよ。この中から選りすぐって決めなくちゃいけないんですから時間もかかりますよ。私は、食に関しては妥協できない性分なんです」


 めんどくさいでござる。まさかマリリンにこんな一面が隠されているとは思いもよらなかったでござるよ。拙者だけでござったら最初に見た唐揚げで決まっていたでござるな。

 マリリンのイメージでござったら基本的には冒険者ギルドの職員ということだけでござるからな。意外な一面という程マリリンのことを知らなかったでござったな。もっとマリリンのことを知って懐柔していかなければならないでござるな。クエストを選んでもらうためにも必須でござるよ。


「はぁ、どれもおいしそうです。これでは、決められません……流石に全部は食べられないですし、うーん……」


「とりあえず美味しそうだと思ったものを片っ端から買っていくのはどうでござるか? もちろん、食べられる範囲ででござるよ。食べ物を無駄にするのは武士として許せないでござるからな」


「その点については私も同意です。食べ物を無駄にするような人はモンスターに食べられちゃえばいいんですよ。自分が食べられる側にならないと食べ物の大切さも理解できないはずです」


 マリリンに同意してもらっところで悪いのでござるが、最後の話はよく理解できなかったでござる。マリリンも結構残酷なことをいうのでござるな。これもちょっと意外でござる。


「マリリンは拙者よりも過激でござるな」


「何を言ってるんですか!! 食べ物を粗末にするような人に躊躇はいりませんよ。私が神様に変わって天誅を下したいくらいです」


「ははっ、拙者に限って絶対にないでござるが、マリリンの前では食べ物を粗末にできないでござるな。注意しておくでござる」


「いくらタケシさんとは言え、食べ物を粗末にしたら許しませんよ」


 目が本気でござる。

 マリリンに拙者をどうこうできるはずもないでござるが、威圧感が普段のマリリンのそれとは異なっているでござる。

 冒険者も裸足で逃げ出しそうなレベルでござるよ。


「絶対にないと言っているでござろう。そもそも、拙者も食べ物を粗末にする輩は許せないのでござる。そんなことを言っている拙者が同じことをするなんて天地がひっくり返ってもありえないことでござる」


「それならいいんですよ……わかりました。タケシさんの言った通り食べられる分だけ買って行こうと思います。覚悟しておいてくださいね」


 笑顔でそう言われたでござる。

 一体どれだけ食べるつもりなのでござるか?

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