68話
「あれ? タケシさんもう帰ってきたんですか?」
横から声をかけられたと思ったらマリリンでござったか。
もう帰ってきたとは、拙者はマリリンが早く帰って来いと言ったでござるからこの通り早く帰ってきたのでござるよ。文句を言ってやりたくなるでござるな。
「マリリンに言われたから早く帰ってきたのでござるよ。まずは、感謝するべきでござろう」
「ありがとうございます。でも、今から冒険者ギルドは忙しくなる時間帯ですから、申し訳ないですが少し待っていてもらえますか?」
「何ということでござるか……仕方ないでござるな。今回だけでござるよ」
「すいません、まさかこんなに早く帰ってくると思いませんでした。昨日よりも遅いとまずいと思って……私も急いで仕事を終わらせますね」
拙者が帰ってくる時間なんて言うのは結局拙者の気分次第でござるからな。そう考えると、マリリンの判断は正しかったということでござるな。今日とて、まだモンスターを討伐している可能性は大いにあったでござる。
「拙者はクエストの報告に行ってくるでござるよ」
「はい、行ってらっしゃい」
笑顔で行ってらっしゃいと言われるのも変な気分でござるな。これがクエストに向かう時でござれば感じないでござろうが、今は報告をしに列に並ぶだけでござるよ。テンションを間違っていないでござるか?
「あ、今日もクエストに行っていたのですね。今日はもちろん目的のモンスターだけを討伐してきたのですよね?」
受付のお姉さんに聞かれ、つい口ごもってしまったでござる。
「返事がないのですが……もしかしてまた追加で討伐して……」
「拙者は悪く無いでござる!! あいつらがどんどん現れるのがいけないのでござるよ!! 向こうから戦闘を仕掛けてくるのでござるから拙者もそれに応戦するしかなかったのでござる」
「はあ……普通の冒険者でしたら、目的外のモンスターとの戦闘は極力避けるものですよ。戦闘になる前に離脱するのが正しい選択です。今回はどれくらい討伐してきたのですか?」
「拙者も数までは覚えていないでござる。これで確認してくれでござるよ」
本当に正確な数は覚えていないのでおとなしく冒険者カードをお姉さんへ渡す。
これで、拙者が今日狩ってきたモンスターの数がわかるでござるな。サルとリザードマンを相当倒したでござるからな。報酬も期待できるでござるよ。お姉さんには悪いでござるが、拙者には悪気はなかったのでざるよ。それならば、悪びれる必要もないでござるよな。
「そのセリフの時点で既に心配になってきますね。それでは、確認させていただきます」
お姉さんが水晶に冒険者カードをかざす。
例のごとく薄く発光しているでござる。
「リザードマン2匹の討伐ですか。これも正直な話、駆け出しの冒険者が受けるようなクエストではありませんよ。いくら実力があるからと言えど、段階は踏んだほうがいいかと思います。タケシさんがいつか痛い目に会わないか心配です」
「心配してくれるのはありがたいでござるが、無用な心配でござるよ。拙者に敗北はないでござるからな。モンスターなんぞに遅れをとる武士ではござらんよ」
「今後もそうあればいいのですが……タケシさんは確実にAランク、Sランク冒険者と昇格していきます。上へ行けば行くほど危険なクエストを受けなければならなくなるのですよ。苦戦するモンスターも現れるかもしれません。その時も今のように無謀に立ち向かうばかりでは命を落としてしまいます」
「拙者は日々成長を続けているのでござるよ。そうなったときの拙者は今の拙者よりも数段強くなっているでござる。今日も、レベルアップしたのでござるよ」
昨日もレベルアップしたばかりでござるのに、今日もレベルアップでござる。拙者の成長はとどまることを知らないのでござるよ。この調子でガンガンレベルを上げて行くでござるよ。
「ほ、本当ですね。昨日よりもレベルが一つ上がっています……まだレベルが上がるなんて信じられませんね」
「レベルはどこまでも上がるのでござろう? 何が信じられないのでござるか?」
「いえ、冒険者になられたばかりのタケシさんは知らないかもしれませんが、それぞれ頭打ちになるレベルが決まっているのですよ。もちろんそれは個人差がありますが、既にSランク冒険者と比較しても劣らないレベルを持っているタケシさんがまだまだレベルアップしていることが私には不思議です」
それは知らなかったでござるな。モンスターを倒せば倒すだけレベルが上がるものと思っていたでござるよ。
とても怖いことを聞いてしまったでござるな。これで、明日からいくらモンスターを倒してもレベルが上がらないなんてことになったら笑い事ではすまないでござるよ。
「拙者の限界はまだまだ上でござる。拙者が見たこともないようなレベルになった時は心配もしなくて済むようになるでござろう。それと、追加報酬はどれくらいになりそうでござるか?」
「あ、すいません。今から確認しますね」
期待は膨らむでござるが、また小言を言われそうでござるな。




