48話
メキメキメキメキメキ……
洞窟の壁を殴ってから、メキメキという音が壁から絶え間なく聞こえてくるでござる。もうこの洞窟の崩壊は始まっているのでござろうか? いや、それにしては壁が崩れる様子も見られないでござるな。
メキメキメキメキメキ……
まだ止まらないでござるよ。どうなっているのでござるか?
実はこれは壁の中をロックスネークが移動している音なのではないでござるか? もしそうだとしたら、こっちに向かってきているはずでござる。ロックスネークの生態は拙者は何も知らないでござるが、きっと名前からしてそういう感じなのでござろう。
「来るなら来るでござるよ。拙者はいつでも戦闘準備完了でござる」
ロックスネークがいつ飛び出してきても対応できるよう体の力を抜き、戦闘態勢を取るでござる。
この状態の拙者に死角はないでござる。360度すべてをカバーできるこの構えにかかれば何人たりとも拙者の間合いに侵入することは不可能でござるよ。
メキメキメキメキメキ……
確かに意識して聞いてみれば、少しずつ近づいてきているような気もするでござるよ。
「ち、近いでござるよ」
音がもうすぐそこまで迫ってきているでござる。
これは近いでござるよ。壁からいつ飛び出してきてもおかしくないでござる。
ドゴンッ!! ガラガラガラ。
「本当にできたでござるよ……思っていたよりも小さいでござるな」
これは間違いなくロックスネークでござろう。ごつごつとした岩のような見た目は誰が見てもロックスネークと答えるでござろう。
しかし、拙者が想像していたロックスネークは体長5メートルを超えるような大きな蛇でござったがこいつは精々2メートル程ではないでござろうか。拍子抜けでござるよ。踏んづけて終わりでござる。
「岩のくせににょろにょろと気持ち悪いでござるな。お前は一体どうやって動いているのでござるか?」
拙者の様子をうかがうかのように、にょろにょろと壁の前を移動しているでござるな。
必殺の構えで待機している拙者がバカみたいではござらんか。こんな雑魚モンスター相手に本気を出しすぎてしまったでござるよ。拙者もこう見えて、臆病なところがあるでござる。少し用心ぶかく行き過ぎたみたいでござるな。
「そっちからこないのであればこっちから行かせて貰うでござるよ!!」
サッとロックスネークとの距離をつめ、頭部をめがけてサッカーボールキックをお見舞いするでござる。
バゴンッ!! ガンッ!!
ロックスネークの頭部は拙者の蹴りの威力で壁まで吹っ飛び、壁にめり込んだでござる。
「え? これで終わりでござるか? 本当に終わってしまったでござるか?」
頭部とおさらばしてしまったロックスネークの体はにょろにょろと少し動いたのち、活動を停止してしまったでござる。
おかしいでござるよ。一応拙者はBランク冒険者のはずでござる。その拙者が、受けられるもので報酬が高いクエストを選択したというのに、こんな雑魚モンスターの討伐なんておかしいでござる。これをあと5匹? 一瞬で終わってしまうでござるよ。
メキメキメキメキメキ……
「また来たでござるか? 好都合でござるな。その調子であと4匹来るでござるよ。すぐに討伐してくれるでござる」
バキバキ、バキバキ……
また壁からロックスネークが飛び出してきたでござる。
それも今回は2匹でござる。これでもう半分を超えたでござるな。楽勝なクエストでござるよ。
「自分からやられに来るとは残念な頭でござるな。もっと仲間を呼んでくるでござるよ。拙者も暇ではござらんからな、これ以上お前らを探し回るのは面倒だと思っていたところでござる。さあ、どんどんかかってくるでござるよ」
今度は拙者の挑発に乗り、二匹のロックスネークが拙者めがけて飛びかかってくるでござる。
「お? 意外と早いではござらんか? お前らの持ち味はスピードでござったか、それでもまあ、遅いでござるな。っせい!! っせぇい!!」
牙を剥き飛びかかってくるロックスネークの頭部を手刀で斬り飛ばす。
飛びかかってきた勢いのまま、真っ二つになったロックスネークが飛んで行ったでござる。
あっけないでござるな。確かにスピードだけなら、ドデカよりも早いでござるな。これだけ考えれば、Bランクというのも妥当でござるか? 攻撃力もそれなりにあるかもしれないでござるが、こればっかりは受けてみないとわからないでござるな。痛いのは嫌でござるし、万が一ロックスネークの攻撃を受けて、擦りむいたりしたら最悪でござるよ。もちろん、拙者は武士でござるから、痛みに耐性はあるでござるが、好き好んで痛みを受けたいという変態ではないのでござるよ。
バキバキ、バキバキ……
「新手でござるな。もっと来るでござるよ。そして、拙者の懐を肥やすために散るでござる」
続々とロックスネークが壁から飛び出してくるでござるよ。
1,2,3,おお……どんどん出てくるでござる!! これなら追加報酬もたんまりでござるよ。笑いが止まらないでござる!!




