45話
このサル、普通のサルにしてはちょっと大きいでござるな。ボスザルと言ったところでござろうか。
見たところ体調は2メートル近いのではないでござろうか? 明らかに拙者よりもでかいでござる。ボスザルとかいうレベルではござらんな。これを動物というには無理があるでござるよ。
「もうお前は拙者の中ではモンスターでござるよ、容赦はしないでござる」
今回はスキルを封印して自分自身の身体能力のみで戦闘してみようと思うでござる。
スキルを使えばこの程度のサルは一瞬で殺せてしまうのはわかりきっているでござるし、ドデカとかいう雑魚には軽く通じていたでござるが、モンスター相手にも拙者の強化された身体能力が通じるか確認しておかないといけないでござるよな。
「ほら、かかってくるでござる」
手をくいくいとサルを煽る。
果たしてモンスター相手に効果があるのか未知数ではござるが、サルは頭がいいということは知っているでござる。この挑発も理解しているでござろう。
「ギャ、ギャギャァァーー!!」
「声だけは一人前でござるな」
大きな鳴き声を上げ、拙者に向かって正面から突撃してくるでござる。
先ほど、様子見よりもスピードが上がっているでござるな。これは挑発した甲斐があったでござるよ。
「まだ遅いでござる!!」
同じように振り下ろしてくる爪をかわし、サルの顔めがけて回し蹴りを放つ。
ズドカッ!! ドゴンッ!!
サルは反応すらできず、拙者の回し蹴りを顔面で受け止め、その勢いのまま後方へ飛んで行った。
受け身も取れずに、木へぶつかり動かなくなってしまったでござる。
「おっと、少し大人げなかったでござるか? これくらいは避けてほしかったでござるよ。あまり拙者の身体能力を測れないではないでござるか」
歩いてサルへと近づき、生存確認に入るでござる。
「おーい、もう死んでしまったでござるか?」
顔をツンツンしながらの問いかけにまったく反応がないでござる。
「これは、いってしまっているでござるな。まずは一匹目でござるよ」
クエストには直接関係ないモンスターとは言え、追加報酬の対象になるはずでござる。こういう小さい積み重ねが大事なのでござるよ。少しでも多くの金を稼ぐ、それが拙者の今の目的でござるからな。
「しかし、拙者が狩ったモンスターはどうやって冒険者ギルドに証明するのでござるか? 本来武士であれば敵将の首を持ち帰るところではござるが……流石に討伐したモンスターすべての首を持ち帰るのは不可能でござるよ。こんな大事なことを聞いていないなんてやらかしでござる。あの水晶の便利さを見た今だと、また水晶がどうにかしてくれるのではないかと思えてしまうでござるな。考えても仕方ないでござる、このまま帰って討伐した証明がないとか言われたら本気でごねることにするでござるかな」
最悪の場合は拙者が倒したモンスター分の報酬は強奪して行くことになってしまうでござるが、きっと冒険者カードが勝手にカウントしてくれているはずでござるよ。
「ようやく一匹狩れたことでござるし、このまま進んでいればもっとモンスターも出てきそうでござるな。先へ進むでござる」
さらなる獲物を求め、山を登っていくでござる。
まだお目当てのロックスネークとは出会えていないでござるが、それも時間の問題でござろう。
「急にモンスターが出てきだしたでござるな。がっぽりでござるよ」
あれから、少し進んでいると、続々とサルが現れるでござる。
それも、一匹ずつではなく、群れで行動しているようで一度に数匹討伐しては、また出くわすということをかれこれ三度は繰り返しているでござるな。最初の一匹ははぐれでもしていたのでござろう。
この勢いのままサルを狩っていたら、この山のサルが絶滅してしまうのではござらんか? そうなってしまうと次来た時に困りそうでござるな。拙者はもう十分狩ったでござるし、次からは追い払うだけにしておいてやろうでござるかな。もちろん、違うモンスターが出てきた場合は討伐するでござるよ。
「これは結構な報酬が追加されそうな予感でござるな。サルが一旦やめるでござるが、この山には他にもモンスターがいるはずでござる。早く出てくるでござるよ」
出くわすサル、もとい追加報酬を苦い思いで追い払いながら進んでいると洞窟を発見したでござる。
「これはすさまじく怪しいでござるな。見たところ、このあたりは岩がちらほら見えだしているでござるし、本命も近いのではござらんか? これは入っていくしかないでござるな」
目の前の怪しい洞窟に入っていくことを決め、ゆっくりと中へ進んでいくでござる。
この中にロックスネークがいることを確信している拙者としては、もうここですべてを終わらせて帰るつもり満々でござるよ。これ以上サルを追い払いながら進むのは骨が折れるでござるよ。
「入口は相当雰囲気が出ているでござるな。拙者も実際に洞窟へ入るのは初めてでござるからな。洞窟への憧れもあって、輝いて見えるでござるよ。修行といえば、洞窟は外せないでござるからな」




