41話
「それにしてもあのドデカさんをまったく寄せ付けない強さはすさまじかったですね。実戦経験もありそうでしたけど、その辺はどこで習ったんですか?」
「独学でござるよ。拙者は誰かに教わったりとかはしたことがないでござる。強いて言うならドラマでござるかな。あれは、武士の何たるかを学べるいい教材でござるよ」
「ドラマ? 聞いたことがありませんね。タケシさんの故郷では有名だったんですか?」
「有名でござったよ。誰しも知っているものでござった」
そうでござるか、この世界にはドラマも存在しないのでござるか。当たり前だったものがなくなるというのは寂しいものでござるな。
「みんなが知っているようなもので強さを手に入れられるなんて恐ろしいですね。是非私にも紹介してほしいくらいですよ」
「マリリンには助けてもらったでござるから、機会があったら考えておくでござるよ」
「ありがとうございます。楽しみにしていますね」
本当に素直でいい子でござるな。
冒険者ギルドにきて、この子に会えただけでも来た価値があったのではないでござろうか。しかし、これからは気合いを入れなおしてクエストをクリアしてこなければいけないでござるからな。いくら高ランクからスタートできたところで、クエストをクリアできなければ何も意味はないでござるよ。
階段を上がり終わり、先ほどまで居た冒険者ギルドのロビーへ戻ってきたでござる。
時間も経っているでござるから、冒険者の数も幾分か減っているでござるな。おそらく、クエストを受注して向かったのでござろう。
「また水晶を使って冒険者カードの更新をするので、こちらへお願いします」
水晶で冒険者カードのすべてを行えてしまえそうな勢いでござるな。実際、すべてを行えてしまうのでござろうな。どういう原理かさっぱりわからないでござる。
それを言ったら、拙者のすべてを一刀両断するスキルも同じでござるな。理不尽極まりない威力でござるからな。今の拙者なら本気で放てばこの町を一撃で崩壊させてしまえるくらいの威力が出るのではござらんか? 何か許せないことが起きたときは実行してみるとするでござるか。
「お願いするでござるよ」
「はい。お預かりいたします」
冒険者カードをマリリンへ渡し、水晶の様子を見守るでござるが、やはり不思議なものでござるよ。
軽く水晶が発光し、冒険者カードの更新が始まる。
もうこれだけで更新が終わってしまうのでござるよな。便利なものでござるよ。
「これで冒険者登録は終わりです。しっかり、タケシさんはBランク冒険者として登録しましたので、これからは立派な冒険者を目指して頑張ってくださいね」
立派とはと突っ込みたいところでござるが、そんな茶々を入れるほど空気の読めない拙者ではござらん。
金を稼ぐ手段としか考えてはいないでござるが、せっかくやるのでござるし、武士として頂点を目指していかなければならないでござるな。案外簡単に頂点まで駆け上がれそうでござるが、少しは歯ごたえがあることを祈るばかりでござるな。
「軽く説明をしておきますが、タケシさんはBランク冒険者ですので、クエストを受注する際は、AとSと記載されたもの以外であれば問題なく受注できますのでそこは確認お願いします」
「む、拙者にクエストの制限をかけるというのでござるか? 納得できないでござるよ。割のいいクエストが受けられないではござらんか?」
「そこは我慢していただく以外ありませんね。私としてもタケシさんの実力がBランク冒険者だとは思っていません。もちろんそれはギルドマスターも同じだと思いますが、あまり特別扱いもできないんですよ。それに、高ランクのクエストは一日で終わるようなものはありませんからどちらにせよ、受けられなかったのではないですか?」
「時間がかかるのは困るでござるが……」
「そうですよね。じっくり実績を積み上げていってください。タケシさんであれば、勝手に冒険者ランクも上がっていくはずです」
確かに一日で終わらないようなクエストを受ける気はないでござるが、今後もそうとは限らないでござるよな。
あんまり文句を垂れるのも武士としてどうかと思うのでここらへんでやめておくでござるが、あんまり冒険者ランクが上がらないときは抗議させてもらうでござるよ。
「できる限り早く冒険者ランクが上がるようにしてくれでござるよ。拙者はあまり我慢のできるほうではござらんからな」
「もう、無茶言わないでくださいよぉ。私にそんな権力なんてあるわけないじゃないですか」
「それもそうでござるな。わかったでござるよ。とりあえず、手早く稼げるクエストを紹介してくれでござる」
絶対にクエストの良しあしもわからない拙者が探すよりもマリリンに探してもらったほうが早くいいクエストが見るからはずでござる。
拙者は金を稼いでこの状態から早く抜け出さないといけないでござるよ。そのためにマリリンにはまだ役に立ってもらわないといけないでござる。
「わかりました。それでは、一緒にクエストボードを見に行きましょうか」
「よろしく頼むでござるよ」




