38話
「お、来たな。まさかさっきの君が我がギルド4年ぶりの特別テストを受ける冒険者になるとはな。ちょうどドデカに説教をしていたタイミングも完璧だ。ついてるね君」
訓練場へ降りるとすぐにギルドマスターが待っていたでござる。
4年ぶりのテストとなると、マリリンがテストをしたことがないのも頷けるでござるな。
「拙者の実力を見れば、今すぐにSランク冒険者にしたくなると思うでござるよ。しっかりと見ておくといいでござる」
「すごい自信だな。残念ながらSランク冒険者からって言うのは無理だ。よくてBランク冒険者くらいとマリリンから説明があったんじゃないか? 高ランクの冒険者になるにはそれなりに実績が必要になるんだよ」
「ギルドマスター、私はそこらへんもしっかり説明してますよ。私が説明していなかったわけではありませんからね」
「別にマリリンのことを疑っているわけじゃないから安心してくれ。しかし、これは大事なことだから二度説明しているだけに過ぎないんだ」
「そういえば、最初にそんなことを言われたような気もするでござるな」
拙者は軽い冗談のつもりで言ってみただけなのでござるが、マリリンには少し申し訳ないことをしてしまったでござるよ。
「さっそく、テストを始めるが、もうドデカを呼んでも大丈夫か? 何かアドバイスがほしいとかはあるか?」
「さっきのでかいやつが相手だったら拙者はどれくらい手加減をすればいいと思うでござるか? やりすぎて殺してしまったら困るでござるからな。そのあたりは拙者には調節がわからないでござる」
「面白いな君は。ドデカは素行は問題ありだが、実力は申し分ないレベルだぞ。Aランク冒険者としてはかなりやるほうだ。それを手加減しないと殺してしまうとは大きく出たもんだ。これをドデカに聞かれていなくてよかったよ」
「事実でござるからな。拙者が自信過剰なわけではござらんよ。ドデカを実際に見て、まったく強そうだという印象は受けないかったでござるからな、その程度ということでござろう」
特に意識して発言していたはござらんが、拙者のセリフからしたらそういう意図で受け取られても仕方がないでござるな。実際にドデカなんて拙者の相手には役不足でござるからな。
しかし、ドデカを殺さないようにするのがめんどくさくなってきたでござるな。なぜ拙者があんな奴のために気を使わないといけないのでござるか?
「私がドデカさんを呼んできましょうか?」
「ああ、頼む。奥の控室で待つよう言ってあるからそこに行ってみてくれ。俺はその間に少し話をするとしようか」
「わかりました。すぐに呼んできます」
マリリンはドデカを呼びために、奥の部屋へ走って言った。
「マリリンはいい子だろう。あんなに一生懸命で気の利く子はなかなかいないぞ。走らなくてもいいんだけどな」
「そうでござるな。拙者が困っていたところに話しかけてくれたのは助かったでござるよ」
「そうだろう。まあ、マリリンのことはおいておいて、君は何者なんだ? このテストを受けるような実力があるものはそうそう現れないからな。それで少し確認をしたいだけだ」
「拙者が武士でござる。それ以上でもそれ以下でもないでござるよ。拙者の強さの源は武士だからに尽きるでござる」
ギルドマスターならば武士のことも知っていてもおかしくはないのではござろうか。これで、ギルドマスターも知らないとなると、やはりこの世界には武士は存在しないということになってしまうでござるな。その場合は拙者がこの世界に武士を広める存在になればいいだけでござる。
「そのブシというのは何だ? 何かのスキルか?」
「知らないのだったらいいでござるよ。拙者がいた場所では武士という存在が最強だっただけでござる」
「そうなのか……まあ、それはいい。レベルも上がっているという話だが、どこでモンスターと戦っていたんだ? モンスターは一般人が簡単に倒せるような存在ではないぞ」
「それは完全に不運から来たものでござるな。偶然迷い込んだ森で適当にスキルを使っていたらレベルが上がっていたのでござるよ。これには、拙者も驚いたでござる。レベルアップでこうも変わるとは恐ろしいものでござるよ」
拙者の基礎能力はレベルアップのおかげで何倍、いや何十倍にも強化されてしまっているでござるからな。素の状態でも強かった拙者が鬼のように強化された日にはそれは最強でござろう。
「そんなスキルを適当に使った程度で倒せるわけないんだがな。参考までにレベルと、スキルを教えてもらってもいいか? それか、冒険者カードを見せてくれ」
「わかったでござるよ。口で説明するのも面倒でござるから、これを見るでござる」
冒険者カードをギルドマスターへ手渡したでござる。
マリリンが事前に伝えれていないからすこし面倒でござるよ。
「おいおいおい、嘘だろ。これを見て、マリリンは何と言ったんだ?」
「Sランク冒険者並みとか言っていたでござるな。拙者にはよくわからないでござるが」
「ハハハッ。こんな新人がいていいのかよ。これじゃあ、反則だ。レベル87? ステータスも半端じゃないぞ。ドデカには荷が重すぎる相手だぞ。俺もあいつにとんでもない役目を押し付けちまったようだな」
「そう驚かなくてもいいでござるよ。まだ拙者は成長途中でござる。まだまだ強くなるでござるよ」
まだこの世界にきて修行もしていないでござる。このような状況で拙者の実力を測られるのも癪でござるよ。拙者にはまだまだ成長の余地があるのでござる。




