27話
「拙者としては、ギルドの場所だけ教えて貰えればお前はついてこなくていいんでござるよ」
「それはずるいですよ。俺だけ情報を提供して、師匠は何もくれないなんておかしいですって。そこは平等にいきましょうよ」
「拙者とお前は立場が対等ではないのでござるから、こうなってしまうのは致し方ないことでござろう? 何がそんなに不満でござるか?」
「いやいや、おかしいですよ。俺だって一応Bランク冒険者なんですよ。この町で言えば、かなり上位の方にいるんですからね。俺だって結構すごい冒険者何ですよ。将来有望な若手なんですから!!」
「それでも拙者が遭遇した四人よりも弱いってことでござるよな? それで威張られても困るでござるよ。そんな調子だといつまでたってもBランク以上へ上がれないでござるよ」
「どうせ、俺は万年Bランク冒険者ですよ。師匠にはわかりませんよ。俺が日頃からどれだけ努力しているかなんて!! 俺だってずっと頑張ってきてるんですよ。それでもなかなかAランクに上がれないんです。それで、たまたま遭遇した師匠に縋っているんですよ!!」
こいつも結構頑張っているようでござるな。それでもAランク以上へ上がれないってことはこいつの力もその程度だっていうことでござるか。時に才能とは残酷なものでござるよ。拙者とてスキルはじいから貰ったものでござるが、こんなスキルがなくても日頃からの修行のおかげでモンスターの数匹は軽くひねることができるでござるよ。しかし、こいつは何もスキルをもらったわけではないでござるが、それでもBランク冒険者まで登り詰めたと考えれば結構才能あるほうではないでござろうか? そうなると、拙者が瞬殺してしまった四人は自分自身の才能だけでその領域まで達しているのでござるか。まさに天才というわけでござるな。拙者にはどれくらいの才能があったのかは、スキルを使ってレベルアップしてしまった今はもうわからないでござるが、負けてないと思うでござる。
しかし、男がこうしてうろたえているのを見るのは、ちょっと気持ち悪いでござるな。男ならこれしきの事でうろたえるようではいけないでござるよ。拙者ならば、何も利きはしない程度のことでござるよ。
「お前が努力しているかしていないかなんて今日であったばかりの拙者にはわからないことでござるよ。努力するのはいいことでござる。拙者も毎日修行している身、同じようなものでござるよ。修行は裏切らないでござるからな。地道に続けていくことが一番大事なのでざる」
「ありがとうございます。でも、最近は正直全然強くなっている気がしなくて……トレーニングの量を増やしてみたんですけどそれでも全然何です。今やっていることは本当に意味があるのかわからなくなってるんですよ」
「それは、お前が成長して修行を軽くこなせるようになっているだけでござる。自分をもっと追い込まないと修業とは言えないでござるよ。今やっているものでは、強度が足りないでござる。もっともっと、きついものに変えるでござる」
「え、でも今でもいつもやっている量の二倍近くのことを毎日こなしているんですよ? それでもあんまり効果が感じられないんです。もうここが俺の限界なのかなって思うと悔しくて……」
今の話のどこに限界を感じる要素があったのか拙者にはわからないでござるが……もしかしてこいつはバカなのでござるか? いつもやっている修行を倍にしても効果を感じないでござるだと? それだけ自分の体力が増えている証拠ではござらんか。この世界の人間はみんなこんな考えなのではないでござろうな。本当に付き合ってられないでござるよ。ただ単にもっと別の修行に切り替えればいいだけの話でござるよ。
「それで? いつもはどんな修行をしているのでござるか?」
「腕立てと腹筋、それにスクワットも。最後に素振りを1000回ほどしています。いつもは各500回くらいだったんですけど、ここ数日は1000回くらいやっています」
筋トレばかりしている脳筋でござったか。それでこんなに何も考えずに拙者のことをストーカーできるわけでござるな。大体、修行だったらもっと他にもいろいろあるでござろうに、なんでこんな筋トレをいつまでも続けているのでござるか? ずっとこんなことをしていれば強くなるとでも思っているのでざるか? どれだけ肉体が完成されてもそれをうまく使うことができなければ意味なんてないのでござるよ。
「お前は筋肉だけですべてを解決できると思っているタイプの人間なのでござるか?」
「まずは何事も力がなければ始まらないと思って筋トレを始めたんです。それが、いつの間にか日課になっていて、回数も少しずつ増えて今の回数になったというわけです。おかげで力だけならこの町でも最強なんじゃって言われてるくらいなんですよ」
完全に脳筋でござる。
これは重傷でござるよ。拙者の手には追えないかもしれないでござるな。筋肉を信じすぎているただの変態でござったか。




