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23話

「こちらでございます。御用の際は受付までお越しくださいませ。では、失礼いたします」


「ああ、ありがとうでござるよ。何かあれば頼るでござるからよろしく頼むでござる」


 女将さんはそれだけ言うと元来た廊下を戻って行ってしまった。


 これはなかなかいい宿を引き当てたのではないでござらんか?

 軽く部屋の中を眺めただけでも、和室で武士らしい雰囲気が漂っていることがわかるでござるよ。やはり、拙者との共鳴のような何かで引き寄せられたのでござろうな。


「それにしてもいい趣でござるな。拙者としてはこれ以上ない完璧な部屋だと思うでござるよ。この、障子もいいでござるし、こっちの屏風なんて最高でござるな。あとは、日本刀でも……おお!! あるではござらんか!! 流石にレプリカでござるな。いやいや、ここにおいてあることだけで十分でござるよ。最高でござる」


 まさに最高の部屋を選択してくれた女将さんに感謝でござるな。

 泊めてくれなければ手荒な真似も辞さないつもりではござったが、さっきまでの自分が恥ずかしくなるでござるよ。こんなにいい部屋を用意してもらってというのに拙者はなんてバカなことを考えていたのでござるか……情けないでござるよ。


「この絵は、特に意味もない風景画でござるな。わかってるでござる。これもいいのでござるよ。どこかわからないとかいうのは些細な問題でござる。日本刀同様、おいてあることに意味があるのでござるからな」


 さあて、部屋の確認も終わったことでござるから、ご飯の方を頼むとするでござるかな。

 女将さんも何かあれば言ってくれと言っていたでござるから、とりあえず受付に言えばすべて解決するでござろう。難しいことは考えずに聞いてしまうに限るでござる。自分で考えるよりも知っている人に聞くほうが断然早いでござるからな。それくらい自分で考えろでござるか? 知ったこっちゃないでござるな。


 一度部屋を出て、受付を目指す。

 結構な時間部屋の内装に見入ってしまっていたでござるから、小一時間程度は立っているでござろうな。となれば、もうご飯を食べるくらいの時間になっているはずでござる。


「女将殿、素晴らしい部屋でござったよ。明日は通常の料金よりも多く払おうと思っているでござるから期待しておいてくれでござる。それとは別に、そろそろご飯を食べたいのでござるが、用意はできているでござるか?」


「お客様、そんな気を使っていただかなくても結構ですよ。私共は、常にお客様へ最大限のおもてなしを提供できるよう務めているだけでございます。お料理は後ほどお部屋までお持ちいたしますのでもう少々お待ちくださいませ」


「すまんな。では、料理も期待しているでござるから、励んでくれでござるよ」


 ご飯の確認も取れたことでござるから、一旦部屋へ戻ることにするでござるか。




 スッと、襖を開け部屋へ戻る。


「何度見ても見入ってしまうでござるな。この品の数々、配置、どれもよく考えられていることが一目でわかるでござるよ。拙者としては、日本刀は本物がよかったでござるが……日本刀? ここは確か異世界のはずでござるよな。レプリカがあるということは間違いなく本物も存在しているはずでござるよ。これは、いい情報を手に入れたでござるな」


 愛刀を探すと漠然と考えていたでござるが、武士としてはやはり日本刀を持つのが当然のことでござる。異世界に果たして日本刀何てあるのかなんて考えていたでござるが、杞憂に終わったようでござるな。

 しかし、日本刀はどこに行けば手に入るのでござるかな。後で女将に聞いて見ればいいでござるか。


 少々値が張ろうが何だろうが、そこに日本刀が存在するのならば絶対に手に入れなくてはならないでござる。もちろん、オーダーメイドでお願いするでござるよ。世界に一振りしかない拙者の愛刀……想像するだけでも興奮がおさまらないでござるな。


「愛刀の件は思っていたよりも早くかたが付きそうでよかったでござるな。この調子で問題を一つずつ解決していけば快適な異世界生活を遅れるはずでござるな」


 トントンッ。


 襖をノックする音が聞こえたでござる。


「失礼いたします。こちら料理をお持ちいたしました」


「ご苦労でござる。もう少し時間がかかるかと思っていたでござるが、案外早かったでござるな」


「もちろんでございますよ。お客様を待たせるなど言語道断でございます。どうぞ、お召し上がりくださいませ。それでは、失礼いたします」


 テーブルの上に、料理が手際よく料理が並べられ、女将はすぐに部屋を出ていく。

 これも熟練の女将の成せる技の一つなのでござろうな。


「どれもおいしそうでござるな。それでは、いただくとするでござるか」


 手を合わせ、感謝の念を唱える。






「はあ、おいしかったでござる。こんな料理が毎日食べられるなんてこの宿は完璧でござるな。部屋だけでも満足でござるのに、そのうえ料理まで素晴らしいレベルのものが用意されるとは。想像以上でござるよ」


 すべて食べ終わった拙者は、余韻に浸りながら、外を眺める。


 この世界にきて最初の一日が終わるでござるな。

 いろいろと大変ではござったが、どうにか生きていけそうでござるよ。

 よし、後は温泉に入って寝るとするでござるかな。

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