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22話

「ここからでたら奇跡的に目の前が宿だったら最高でござるな。まあ、そんな奇跡起きるはずもないでござるが」


 とか言いつつも心の中では少しばかり期待している、ゆっくりと祈りながら路地裏から出ていくと、


「うえ? やったーーー!!! ほんとに宿の目の前に出てきたでござるよーー!! もうここでいいでござる。これも運命、拙者にここへ止まれと神様が言っているのでござる!!」


 神様は拙者が一刀両断してしまったからもういないでござったな。でも、本当にあれくらいで神様が死ぬものなのでござろうか? どう考えても簡単に死にすぎだと思うのでござるが、すぐに謎の空間へ行ってしまったでござるからあの後のことはよくわからないのでござるよ。しっかり死んだのを確認しておくべきでござったな。チートスキルを授ける神様自身が何もスキルを持っていないことなんてありえないでござろう。もしかすると、最強の防御スキルを持っていて、それで無敵だったとかいうのだったらあり得るかもしれないでござるが、拙者のすべてを一刀両断するスキルの前ではどのような防御も無意味でござる。治療系のスキルも持っていてもおかしくはないでござるよな。


「今は、もう二度と会うこともないじいのことはどうでもいいでござるよ。それよりも早く宿でござる。これで、部屋が空いていないとか言ったら絶対に暴れるでござるからな」


 そう宣言して宿の入口へ向かって歩いて行くでござる。

 近づくと、看板が出ており、外から見てもなかなか豪華な雰囲気が醸し出されている。

 これは、いい値段するのではないでござろうか? 後払いで泊めてもらえなかったらまずいでござるな。


 引き戸になっているドアを開け、宿の中へ入る。


「たのもぉぉーー!!」


「はーーい、いらっしゃいませ。お客様は一名様でよろしいでしょうか?」


「拙者は一人でござるよ。群れたりはしないでござる」


「さようでございますか。予約などはされていませんよね?」


「うむ、拙者は予約はしていないでござる。今来たから今予約したようなものでござるな」


「それは予約とは言いませんね。かしこまりました。部屋の状況を見てきますので少々お待ちください」


 なんか全部軽く流されてしまっているような気がするでござるが、きっと気のせいでござろう。すごい口調も丁寧で所作も綺麗でござる。これは開幕からかなりの高得点でござるな。この宿を選んだのはやはり運命だったかもしれないでござるよ。


 受付の奥へと入って行っていた女将さんが少しして戻ってきた。


「お待たせいたしました。本日部屋の空きがありましたので、宿泊可能ですがいかがいたしましょうか?」


「是非頼むでござるよ。それと、ちょっと相談があるのでござるがいいでござろうか?」


「はい、どうしましたか? 私どもで解決できるものであれば伺いましょう」


「ああ、問題ない。ちょっと今日は金を持っていないから支払いは後日にしてほしいでござるが、可能でござるか?」


「というと、代金が払えないけど泊めてほしいとおっしゃっていますか?」


「そういうことになるでござるな。拙者、こう見えてもかなり強いでござるから、明日冒険者とかいうものになってがっぽり稼いでくる予定なのでござるよ。その金で一気に払おうと思っているでござる」


 金は後でもちゃんと払えばきっと問題ないはずでござるよ。この女将さんも優しそうな雰囲気が出ているのできっとわかってくれるはずでござる。無理だと言われても簡単に引き下がるつもりはないでござるが、すんなりオッケーを貰えるならばそれに越したことはないでござるよ。


「ではお客様はまったくお金を持っていないということでよろしいでしょうか?」


「それで間違いないでござるよ。わけあって金を持っていないでござる。なあに、明日になれば宿泊代を軽く払えるくらいは稼いでいるから安心してほしいでござるよ」


「話を聞く限り、お客様を信用していいものか判断しかねますね。これから冒険者になって稼ごうというつもりですか? 冒険者様の宿泊はよくありますが、そう優しい世界ではないように思えますが……」


「拙者が冒険者として通用するか不安でござるか? 手っ取り早く力を見せる方法があればいいのでござるが、拙者がスキルを使ってしまうとこの宿はおろか、周囲の建物にまで被害が出るでござるが、見たいでござるか?」


「いいえ、結構でございます。そんなことをされては、商売あがったりでございますよ」


 あんまり、拒否されている感じはないでござるが、このままいける感じでもないでござるな。できれば手荒な真似はしたくなかったでござるが、これ以上長引くようであれば仕方がないでござるな。


「必要とあらば、契約書でも何でも書くでござるから、一日だけ支払いを待ってほしいでござるよ。拙者は金を持っていないでござるから、どこに言ってもこうやって交渉するしかないのでござる」


「そういわれましてもねぇ。絶対にお客様が代金を支払ってくれるという確信が持てませんから。しかし、泊るところがないというのは不憫ですね。わかりました。絶対にお支払いいただけるということであれば、今日一日は目を瞑りましょう。困っている時はお互い様ですからね」


「すまぬ。明日もまたここに泊まる予定でござるから、また金を稼いで戻ってくるでござるよ」


「期待しておりますね。では、お部屋に案内致します。こちらへどうぞ」


 手荒な真似をしなくてすんでよかったでござる。ここで暴れても後々困るのは明白でござるからな。

 これで、ゆっくり眠れるでござるよ。

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