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20話

 やっと町に入れたでござるよ。これで、今日のところは野宿をせずにすみそうでござるな。宿を探して頼み込めば、支払いを一日くらいは待ってくれるはずでござる。それくらい待ってくれないような宿には止まるつもりはないでござるよ。

 後ろにはずっとついてきている奴の気配があるが、拙者は一人、ここで無駄に意識しているようにふるまうのは負けたような気がするのでござるから、いないものとして扱うのでござるよ。


「ふぅ、ちょっと休憩して、宿を探しに行くとするでござるかな」


「宿ですか? それだったら俺、いいところを知ってますよ? よかったら案内しましょうか?」


 こんなものにつられるようなことは絶対にできないでござる。宿くらい自分で探せるし、こいつに頼る必要なんてないでござる。


「まだ無視するつもりですか? 俺、そこの宿のオーナーとは友達みたいなもんですから、きっと安くしてくれると思いますよ?」


 今度は、金までちらつかせてくるなんて何て奴でござるか。

 しかし、安くなるって言うのはこれまでとは違ってとても魅力的でござるな。いやいや、どうせ拙者は金を持っていないのでござるから、交渉することは確定でござる。次の日になれば、冒険者とやらで稼ぐ算段でござるから、安くしてもらう必要なんてないでござる。


「よし、それじゃあ、張り切って探すでござるよ」


「これくらいじゃあ、ダメだってことですね。なかなか手ごわいですが、俺も諦めませんよ」


 反応しない、反応しない。絶対に何も反応してはダメでござる。少しでも反応するそぶりを見せれば、こいつがつけあがるのは目に見えているでござる。どうしようがダメだということを思い知らせて諦めさせるしかないでござる。

 というか、なんで拙者がこんなゴミみたいな奴のためにいろいろ考えなくてはいけないのでござるか? 意味が分からないでござるよ。


 町の中へ入ると、この世界では初めて見るほど大勢の人間が歩いているでござるな。

 道には、露店が並んでいて、たくさんのものが売られているのがわかるでござるよ。こう言ったものを見ると、ついつい無駄遣いしたくなってきていしまうでござるな。危ないでござるよ、拙者が金を持っていたら間違いなくここで散財していたでござるな。


「何か興味のあるお店でもありましたか? ここの店はどれも人気なものばかりですから、ほしいものがあったら買ったほうがいいですよ。メイン通りに出店できるような店は品質も保証されていますからね」


 ふーん、ここにある店はどれも一級品ってことでござるか。拙者のイメージでは、ひたすら安いものが並んでいると思っていたのでござるが、違うみたいでござるな。


 軽く眺めてみると、本当に様々なものが売られているでござる。

 アクセサリーのようなものを扱う店、食べ物を売っている店などなど、今の金を持っていない拙者には無縁の場所のはずなのに、どうしても視線が向いてしまうでござるな。


 明日、金を稼いだらまたここへ来て見るでござるかな。金を持っていない今でさえ、興味を惹かれているのでござるから、金を持っている状態であれば、きっと楽しめるはずでござるよ。これで、明日の楽しみが一つできたでござるな。気合いを入れて金を稼がないといけないでござる。


「よかったら何か俺が奢りましょうか師匠。こう見えても一般の人よりかは稼いでいますから」


 またもや、金をちらつかせる作戦でござるか。まったく、ここで何か買ってもらえるとなれば、拙者が無視するのをやめるとでも思っているのでござるか? まだまだ甘いでござるな。今日は見るだけってさっき自分に言い聞かせたばかりでござるよ。簡単に揺らいだりはしないでござる。


「ここも十分見たでござるから、次は宿を探しに行くでござるよ」


「もう行くんですか? まだ師匠なにも買ってないじゃないですか?」


 さっきから気になっていたでござるが、誰が師匠でござるか。勝手に師匠にするなんて図々しいやつでござるな。

 何も買っていないなんて大きなお世話でござる。よかったでござるな、こいつに拙者が金を持っていないことを伝えていたらきっと奢るってごり押してきていたに違いないでござるよ。


 こいつは名残惜しそうに露店を眺めていたが、拙者は何も気にせずに先へと進むでござる。


「どこら辺に宿があるのでござるかな。誰かに聞いてみたほうが早いかもしれないでござるな」


「よかったら俺が教えましょうか? 今なら、割引を約束しますよ。俺に聞くのが一番ですって」


「もう少し自分で探してみるでござるかな。すぐに人に頼るのはよくないでござるよ」


 拙者が独り言を言っていたら勝手に宿の場所を教えてくれそうな勢いでござるな。こいつも少しは役に立つところを見せてほしいところでござるよ。拙者に頼られずとも、自分から言ってくれればそれを聞いて勝手に向かえばいいだけでござる。

 話は聞いているとバレてしまうでござるが、それくらいは別に構わないでござろう。

 今はとにかく宿を探さないといけないのでござるよ。宿を早く見つけてゴロゴロしたいでござる。

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