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16話

 この女も殺すことは決定しているがこのまま殺してしまうのも惜しい気がしてきたでござるな。冒険者とかいうモンスターと戦う職業ならば、少しは強いんじゃないだろうか? ここは、せっかくだから、戦闘の練習でもしておくべきでござるか?


「お前にチャンスをやろうではござらんか。拙者に勝つことができたら見逃してやるでござるよ」


「ひぃ、む、無理よ。二人を殺せるような奴に私で勝てるわけない!! なんでもするから見逃して!!」


「うーむ、それでは拙者と戦うでござるよ」


「だからそれは無理だって言ってるでしょ。お金なら払うからぁ!!」


 聞き分けの悪い女でござるよ。もう死ぬことは確定しているのでござるから少しでもチャンスがあるならそれにかけるのは当然のことでござろう。このままごねるようであればすぐに殺してしまうでござるか。

 しかし、金が貰えるって言うのは、魅力的な提案かもしれないでござるな。どれくらいの金額貰えるかによっては見逃してやるのもやぶさかではござらんな。


「まさか、金だけで助かるとか思っているのではござらんか? まだいろいろ持っているでござろう?」


「え? それだったらこの二人が身に着けている装備はどうかしら? どれも一級品で値段は保証するわ。これでなんとか足りないかしら?」


「中古の装備なんていらないでござるよ。それに、売ると言っても拙者はどこで植えればいいかわからないでござるな。つまり、拙者には必要ないものでござる。残念でござったな」


 危うく無駄なものを貰うところでござったな。拙者には装備など不要でござる。それに、見たところこの二人は剣を持っていないでござるからな。いらないものばかりでござる。


 それにしても、さっきまで一緒にパーティーとして活動していた二人の装備を対価に渡そうとするなんてこの女もなかなかの悪女でござるな。どうせパーティーでもこの調子だったんでござろうな。


「もう何もないわよ……そうだわ!! 私って結構可愛いでしょ? どう? 一緒にパーティーを組んで上げてもいいわよ」


「ほう? 拙者に色仕掛けとは見上げた根性でござるな。生憎と拙者には効かないでござるよ」


 今まで顔なんて意識して見ていなかったでござるがなかなか可愛いではござらんか……むむ、拙者は何を考えていたでござるか。まずいでござる、効かないとか言っておいてこれは恥ずかしいでござるよ。


「もう無理よ……ほかに何もないわ。そうね、最後くらい冒険者らしく戦って散るわ」


「その心意気あっぱれでござるよ。拙者も全力で答えるでござるよ」


「あのぉ、やっぱり見逃してくれたりはしないわよね? 家を買えるくらいのお金ならすぐに用意できるわ」


 家を買えるでござるか? そんな大金をすぐに貰える? 

 これは一度見逃してもいいのではござらんか? 今の拙者は無一文でござるから、金を貰えるということはとてもでかいことでござる。それも家を買えるほどの大金。無意味な殺生をしない拙者の理念からしてもここでこの女を殺すのは間違っているのではござらんか? だが、こいつは拙者に暴言を吐いたでござる。ならば、有罪でござるな。


「それは本当でござるか? ちなみに家を買えるくらいって言うのはどの程度の家でござるか? まさか、ぼろぼろの安い家を買えるとかそういうオチではござらんな?」


「もちろん、一般的な家よ。それも結構な豪邸を買えるくらいにはお金を持ってるわ。Aランクパーティーとして活動してるんだからそれくらいは稼いでるわ。そうだわ、この二人のお金も合わせたらもっとあるわよ」


 またこの女は仲間のものにまで手を出そうとしているでござるな。まったく、こう言うところを見てしまうと殺しておいた方が人類のためなんじゃないかと思ってしまうでござるな。

 しかし、豪邸が買えるほどの大金。普通の家ではなく、豪邸でござるよ。むぅ、揺らぐでござる。


 でも、このまま一緒に町へ戻ったとしても拙者が二人を殺しているという事実は残ってしまうでござるからな。すぐに逮捕されてしまうのではござらんか? この女もパーティーメンバーを殺されておいて黙って金だけ渡すなんてことがあるでござるか? 


「決めたでござるよ。お前はここで殺すでござる」


「な、なんでよ!! 今のは見逃してくれる雰囲気だったじゃない!!」


「拙者がお前と町へ戻っても人殺しの罪で指名手配されるのではないでござるか? それなら、ここで目撃者を全員始末しておくのが無難でござる。すまぬね、実際かなり金は魅力的ではござったが、今後のことを考えると始末しておかなければならないでござる」


 いらないとか言ったが、せっかくだし装備は貰っておこう。どこかで売れるかもしれないでござるからな。


「最後は戦って散るでござるよ。っせい!!」


 スパンッ!!


 喋る間も与えずに、すべてを一刀両断するスキルを発動する。

 まだ、手刀で発動しているのがどうしてもダサいが、すぐに愛刀をゲットしてやるでござるよ。それまではこの手刀で我慢しておくでござる。


 さあ、装備を奪って拙者は町を目指すとするでござるかな。

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