14話
もう少しくらい情報を聞き出せたかもしれないが、ここいらで殺しておかないといつ手が出るかわからないほどうずうずしていたでござるよ。これもこいつが拙者のことを疑ったことが原因でござる。拙者は被害者でござるよ。
「あいつが言っていたことが本当であればここから5キロくらいの場所に町があるということでござるな。方角まで教えてくれるのは有能でござったよ。おかげで拙者はそっちに向かうだけでいいでござるよ。冒険者とやらがこの森に入ってくれていなければ拙者も誰にも遭遇せずに、困ったことになっていた可能性はあるかもしれないでござるからな」
もしあいつがこの森に入ってきていなかったら拙者はいつまでたってもこの木を切り倒して前に進むという作業を繰り返すことになっていたでござるな。もう死んでしまったが、本当にいい働きをしたでござるよ。
「あいつがこっちから来たんなら道があるはずでござるな。そこに出れば町への道のりもほぼ確定するようなものでござるな。早く、道に出て安心したいでござるよ」
こんなに木を切り倒し続けて進んでいても一向に道へ出ることができない拙者はそうとうついていないのではござらんか? どうして道にすら出ることができないでござるか? どう考えても不思議なパワーが働いているとしか思えないでござるよ。
あの冒険者が指さした方向へ進むこと数分――
ようやく、道を発見することに成功したでござる。これで、拙者が町へ着くのも時間の問題でござるな。
はあ、町に着いたらまずは何をしようでござるかな。あんまり人間が多かったら鬱陶しいでござるから、数を減らしておくとするでござるか。面倒ではあるが、盛大に一刀両断すると加減が効かないでござるから、もしかすると町ごと壊滅なんてこともありうるでござるよ。適度に加減をすることは大事でござるな。全員始末してはもう町としての機能が完全に停止してしまうでござるよ。
「ここをまっすぐ進めべ町へ着くはずでござる。もしあいつが嘘をついていた場合は連帯責任で人類を滅ぼすことにするでござる。拙者に嘘を着くということはこうなることを覚悟しておかないといけないでござるからな」
拙者に嘘をつくような人類は必要ないでござるよ。これでも拙者はかなり忍耐力のあるほうで、我慢が効くでござるが限度というものがあるでござるよ。嘘何てもってのほかでござるな。
この森とももうお別れでござるか。短い付き合いではござったが、大いに役に立っているでござるよ。ここまでレベルアップできたのもこの森のおかげでござろう。これで拙者はさらなる高みに到達することができたでござるからな。正直今ならば、誰にも負ける気はしないでござるよ。すべてを一刀両断するスキルも強化されて身体能力なんかもレベルアップとともに強化されているでござる。拙者に隙はないでござるよ。
「誰か歩いてこっちへ向かってきているでござるな。もしや、さっきのあいつの仲間なんじゃないでござろうな」
数名のグループが拙者のほうへ向かって進んできているでござる。
このまま進んでくると、すぐに拙者に気が付かれてしまうでござるな。
もういっそこっちから声をかけてみるのもありなんじゃないでござるか? 意表を着くというわけではござらんが、待つのも暇でござるから、拙者の方から声をかけてやるでござるよ。
「おーーい!! そんなところで何をしているのでござるかーー?」
少し距離はあるが、思い切って声を上げる。
これは流石に聞こえるはずでござる。拙者もいつになく声を張ったでござるからな。
「え? だれかいるぞ」
「嘘でしょ、この森へ入るようなレベルの冒険者なんて私たち以外にうちの町にいたかしら?」
「いやいや、俺たち以外は最強のソロ冒険者と名高い、クライムさんだけだ。クライムさんなら何度か実際にあっているから顔はわかるし、この人じゃないことは間違いない」
なにやら拙者が危険な森の前を一人で歩いているのがきになっているようでござるな。
「あんた一人でこの森へ来たのか? まさか中へ入るつもりじゃないよな。やめておく方がいいともうぞ。この森には危険度Aランクのモンスターがたくさん生息しているからな。この森へ入ることを許されるのはAランク以上の冒険者だけだ」
「悪いことは言わないから、ここから離れなさい。みたところまともな装備すら持っていないじゃない。そんなレベルの冒険者じゃ、この森へ入っても即死するのが関の山よ」
「もう少し優しく教えてあげろよ。この人だって別に森へ入るためにここへ来たとは限らないだろう? 迷ってここまで来てしまった可能性もゼロではないんだ」
「お取込み中わるいでござるが、お前らは冒険者ってことであってるでござるか?」
ここは確認しておかないと、持っている情報が聞くに値するものか判断が難しいでござるからな。
「お前ですって? 私たちを一体誰だと思ってるのよあんた? そもそも初対面の人にそんな態度を取るなんて礼儀がなっていないんじゃない?」
「そう怒るなっての。こういうのはいちいち反応してたらきりがないぞ」
面倒な奴らでござるなぁ。




