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13話

「いきなりどうしたんだい? 物騒なことを言うのはやめてもらえるかな? 本気で僕とことを構えようとしているのならやめて置くことをお勧めするよ。これでも、このあたりではそこそこ名の知れた冒険者だからね」


「ごちゃごちゃうるさいでござるよ。お前にはもう拙者の言うことを聞く以外の選択肢は残されていないのでござるよ」


 このおじさんは自分の腕に自身があるようでござるが、態度が少々鼻につくでござるな。鎧を着込んでいるでござるが、その程度の防具では拙者のすべてを一刀両断するスキルを防御することは叶わないのでござるなぁ。まあ、こいつがそんなことを知っているわけもないだが、調子に乗るのもいい加減にしてほしいでござるよ。どうせ、拙者の気分次第ですぐに死ぬことになるだけの存在でしかないのでござる。


「もしかして、この有様も君の仕業だったりするのかな? さっきは否定していたけど、どうも怪しいなぁ」


「違うと言っているでござるよ。お前もしつこいでござるなぁ。大体、質問していいのは拙者だけでござる。まず、最初の質問だが、ここはとこでござるか? 見たところ森だということはわかるでござるが……」


「君はここがどこかもわからないでウロチョロしていたというのかい? 正気かい? ここは腕利きの冒険者でも気軽に立ち寄らない場所だよ」


 へぇー、よくわからないでござるが、ここは危険な場所だったというわけでござるか。全然そんな気はしなかったでござるな。これも、空間を一刀両断してしまった弊害でござるか。いきなりこんな場所に転生するようにしているわけもないでござろう。じいもそこまで頭がおかしいわけではないでござるよ。


「拙者からしてみれば、この程度の森なんてことはなかったでござるな。クマや狼が出るだけでござるし、何が危険なのかわからないでござるな」


「キングベアーと、カイザーウルフに遭遇したと言うのかい? 見たところ、戦闘したような後は見られないんだけどね。君もしかして、適当に言っているわけではないよね?」


「そんな大層な名前がついているのでござるか? ただの動物でしかなかったでござるよ。狼はペットにしようかと思ったのでござるが、どうしても言うことをきかなかったのでござるよ。あれは、何ででござるか? 知能が低いのでござるか?」


「モンスターをペットにしようなんて考えがまず間違っているよ。モンスターは人間を見つければ即座に襲ってくる凶暴な存在なんだよ。もし君の言うことを聞くようなモンスターが現れたとして、町に連れ帰ったりしたらパニックになってしまうよ」


 狼とクマの名前がそんな強そうなものだとは思わなかったでござるな。どう考えてもただの動物だと思うでござるが、別段強かったという印象はないでござるな。これも拙者が強すぎたせいなのかもしれないでござるな。ああ、そういえば、拙者はあいつらと戦闘する前に相当レベルが上がっていたでござるから、その恩恵も大分あるのかも知れないでござるな。最初に渾身の一刀両断で大分屠っているはずでござるよ。強いモンスター? をいっぱい倒したんだからレベルアップするのも当然でござるな。そうとう拙者も強くなっているはずでござる。


「もう一つ答えるでござるよ。そのモンスターを倒した時にレベルアップしましたという声が聞こえてくるでござるがこれはどういう現象でござるか? 軽く50回以上は聞こえてきたでござるが、こんな簡単にレベルアップするものなのでござるか?」


「レベルアップも知らないのかい? 人間は誰しもレベルというものを持っているんだよ。それが、モンスターを倒したりして経験値を稼ぐとレベルが上がるという仕組みさ。君はレベルアップも知らずに、この森に入ったというのかい? この森に入るのには最低でも40レベルは超えていないと話にならないんだよ? それを君は1レべルの状態で? 嘘をつくならもう少しマシな嘘にしたほうがいいよ」


 いきなり早口で動揺しているのが丸わかりでござるな。拙者の凄さに驚きがかくせないようでござるよ。

 それにしてもこの森に入るのに、レベル40? 拙者は初めてレベルアップをしたはずだから、こいつの言う通りレベル1だった可能性は捨てきれないでござるな。もし、その状態で狼に遭遇していたら、苦戦していたかもしれないでござるよ。これも拙者の日頃の行いの良さからくる幸運でござるな。あの狼も本当はすさまじいスピードで動いていたのかもしれないでござるな。拙者のレベルと基礎能力の高さで完封してしまったというわけでござるか。拙者もおとなげないことをしてしまったでござるよ。スキルだけでも十分オーバーキルだというのに、レベルまで上げてしまうなんてやりすぎでござったな。


「今のレベルの確認とかはできないでござるか? 流石にずっと数えていたわけではないから、正確にはわからないのでござるよ」


「自分のレベルも把握していないなんて本来ありえないことだよ。冒険者カードがあれば一発でわかるんだけど、その様子だと持ってはいなさそうだね。そうなると、ここで確認するのは難しいかな」


「使えないでござるな。それでも、冒険者でござるか? 本当に何も方法はないのでござるか?」


 冒険者カードがあればレベルがわかるということはわかったでござるが、肝心の冒険者カードがないのであれば意味なんてないでござるよ。ぬか喜びさせた罪は重いでござるよ。


「それで、ここから町へ行くにはどっちに向かえばいいでござるか?」


「何も知らないんだね。僕がきたのはあっちからだよ。距離はまあ、5キロくらいだろうね。歩いて30分もすれば着くんじゃないかな。僕はこれをやった犯人を探さないといけないからこれで失礼するよ。それじゃあ」


「っせい!!」


 スパンッ!!


 振り返ってどこかへ行こうとした瞬間に拙者の手刀がこいつの首をとらえた。


 ドサッ、ボトッ、ゴロゴロゴロ。


 首が宙を舞い、残された下半身は倒れこみ、遅れて頭部も地面へ落下する。


「ふう、仕留めたでござる。情報をくれて大義でござった。来世は拙者と遭遇しないように祈るでござるよ」

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