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12話

 まずは道行く人を探すために拙者が道にでないといけないでござるな。少し面倒ではあるが、これくらいの労力は仕方がないことでござろう。これも拙者がこの世界を楽しく、快適に過ごしていくために必要なことなのでござるからな。


 尚も、木を手刀で斬り飛ばしながら進んでいく。

 道中、狼や新たに熊なんかも現れたが、説得の甲斐なく襲い掛かってくるのですべて首を飛ばしてやったでござる。順調にレベルも上がっていっていることを考えると、ペットにするなんて面倒なことはせずに、すぐに殺してしまえばいいんじゃないかと思ってしまうがそれはロマンがなにでござるな。武士たるもの、何事にもロマンを求めて行動せねばだめでござるよ。


「一体、どこに行けば道に出るでござるか? そもそも、この森に整備された道はあるのでござるか?」


 ないものを探すなんて滑稽の極みでござるよ。見つかるわけもないでござる。せめて、もう少し情報があればそれをもとに探すなんてこともできるでござるのになぁ。すべてを一刀両断するスキルだけでなく、もっと普段使いのいいスキルも貰っておけばよかったでござるな。拙者としたことがスキルを一個だけ何てこと関係なくもっと要求すればよかったでござるよ。


 広範囲を見渡せるスキルなんて持っていれば、今頃町へついているでござろうに、拙者には常人よりは鍛えられているが、いたって普通の目しか持っていないでござるよ。いくら鍛えて視力がいいとは言っても限界があるでござる。


「くぅ、あんまり遠くは流石に見えないでござるよ。拙者の視力がいくら4,0だといってもチートスキルがあるのとでは天と地の差があるはずでござる。じいめ、何で拙者にもっとたくさんのチートスキルをくれなかったでござるか」


 こうして拙者が困っているのもすべてを一刀両断するスキルだけしかくれなかったじいのせいでござるよ。異世界を生きていく上ですべてを一刀両断するスキルなんて役に立たないでござるよ。どうして、こんな戦闘にしか使えないようなスキルを選んでしまったでござるか? つい、拙者もチートスキルと聞いて、テンションが上がってしまったでござるよ。本当だったら、もっと万能なスキルにしていたはずでござる。


 いくら嘆いたところでチートスキルが貰えるわけでもないでござるので、心を無にして、ひたすら木を斬り飛ばしては前に進むでござる。


「うん? あれはもしや道ではござらんか? やったでござるぅぅーー!! これで、拙者もようやくもりから出られるでござるよ。本当に長かったでござる、一生このまま森をさまよい続けるんじゃと思ったでござるよぉ……」


 やっとの思いで整備された綺麗な道を発見することができたでござる。これで、拙者の勝ちでござるな。道さえ見つかってしまえば、索敵系のスキルなんてもう用済みになってしまうでござるからな。


 道はコンクリートのようなもので綺麗に舗装されており、幅は3メートルくらいはあるでござる。これくらいの幅があれば、片側通行にはなるでござるが、車も通れるでござるな。


 まず、この世界に車なんてあるのでござろうか? もしあるならば、金を速攻溜めて、もとい奪って、買うしかないでござるよ。いくらレベルアップして基礎能力が向上しているからと言えどもこれだけ歩けば疲労は体中に貯まってしまっているでござる。これがすべて車で移動するとなれば拙者の疲労もすべて解消されて、快適な異世界生活を行えるようになるのは確実でござる。


「ちょっとそこの君、なんだいこの切り倒されている木は? まさかとは思うけど、君がやったわけじゃないだろうね?」


 おおぉぉーー!! ついに異世界にきて、初めて人間と遭遇したでござるよ。どうせなら、滅茶苦茶かわいい女の子がよかったでござるが、特に気にするところでもないでござるな。


「拙者もちょうどこの場所を通りがかっただけで、この惨状については何も知らないでござるよ。熊があばれたんでござろう。拙者も驚きでござるよ。それで? おじさんはだれでござるか?」


「そうか、君もちょうどとおりかかったんだね。まったく、貴重な森をこんなことにするなんて絶対に許せないなぁ。えーと、僕かい? 僕はこの森をメインの狩場にしている冒険者だよ。君からしてみればおじさんかもしれないけど、これでも僕はまだ27歳だからね。そのおじさんって言うのはやめてもらってもいいかい?」


 ふむふむ、狩場に冒険者……何が言いたいのかさっぱりわからないでござる。


「さっきも言ったでござるよ。拙者は今来たばかりで、こんなことをする余裕なんてなかったでござるよ。拙者の大好きな森を破壊したことをあの世で後悔させてやるでござるよ」


「殺すことはないでしょうよ。確かに、犯人が見つかれば莫大なお金を払わなくちゃいけなくなることは間違いないだろうね。僕が見える範囲だけでも100万ゴールドは支払わなくちゃいけないと思うけどなぁ。まあ、そのあたりは警備団が決めることで僕なんかが決めることではないんだよ」


「それじゃあ、警備団に見つからなければ罰金を払わなくてすむというわけでござるな。いいことを聞いたでござるよ。他にもおじさんにはいろいろと聞きたいことがあるでござるよ。痛い目にあいたくなければさっさと答えるでござる」


 いつでも手刀を繰り出せるように腕を前に構え、通告した。

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