表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/92

10話

「ガウゥ……」


 狼が同族の亡骸を見て、悲しそうな鳴き声を漏らす。見ているだけで、こっちまで悲しい気分になってきてしまうでござるよ。そんな悲しむでないでござる。拙者だってわざと殺したわけではないでござるからな。


「ガァルル!! ガウガウッ!!」


 この状況で一人立っている拙者を見て、同族を殺した犯人だと断定したのか、こちらを見て吠えてくるでござる。


「まつでござるよ。拙者はお前をペットにしようとしているだけでござる。決して怪しいものではないでござるよ」


「ガウゥ、ガウッ!!」


「何て言ってるかわからないでござるよ。大体狼と意思疎通を取ろうとしていること自体が間違っているでござる。これでは、周りからみたらただの馬鹿でござる」


 こいつをペットにすることを諦めたわけではないが、喋りかけて説得する作戦は一時中断でござる。異世界だからといって、動物にはなしかけても言葉が通じるわけがないでござるよ。第一印象は最悪、しかしここから挽回していくのが拙者でござるよ。


 まずは、敵意がないことをアピールするために姿勢を低くして威圧感を減らしていくとするでござる。これだけでもこいつからすれば相当拙者が小さく見えて心を開きやすくなるでござろう。こういう細かい配慮こそが友情をはぐくむのでござるよ。


「ガウガウッ!! ガウゥゥ」


 おかしいでござるな。姿勢を低くしたのにも関わらず、こいつは今にもとびかかって来そうな雰囲気を醸し出しているでござるよ。もしや、拙者の配慮に気が付いていないのではござらんか?


 あんまり刺激するとこのままとびかかって来られかねないな。それはまずいから少し距離を取るでござるか。


 どうしたというのでござろうか。こいつも仲間を失った悲しみで気が動転しているのでござるか? そもそもこいつはなんで群れから離れて行動していたのかが謎でござるな。群れから追放されていたとかそういう感じでござるかな。言葉が通じないということがこれほどもどかしいとは拙者は知らなかったでござるよ。どうせなら、前世の段階からペットを飼っておくべきでござったな。


「ええい、ここで時間を取られるわけにはいかないでござる。もう、覚悟を決めて最後のチャンスを与えるでござるよ。これで、ペットになってくれそうになければこの手でほうむりさってしまいでござる」


 狼をペットとして連れていきたい気持ちはかなり強いのでござるが、かといってここで粘り続けるのは無理でござる。これ以上のタイムロスは許されないでござるからな。拙者がこいつの気持ちを見極めてやるでござるよ。


 刺激を与えないようゆっくりと近づいて行く。


「ガウゥゥ、ガウゥゥ」


 やはり少し近づいただけでも威嚇が凄いでござる。これは本当に警戒されているようでござるな。さてと、どうやってこの警戒をとくでござるかな。


 警戒を解かなければ、拙者のペットに何てなってくれるはずもないでござる。このままでは、こいつも拙者の手刀の餌食になってしまうでござるよ。なんとか、命の危険を察知してこちらへ来てはくれないでござるか?


「怖くないでござるよぉ。拙者はお前の見方でござるよぉ」


「ガウ?」


「見ればわかるでござろう? 拙者にはお前と戦うつもりはないでござる。拙者はお前と一緒に生きたいのでござるよ。3食ご飯付きで拙者のペットにならんでござるか?」


 またもや通じもしないのに喋りかけてしまう。バカみたいだろうが、拙者にはこいつと意思疎通する方法がこれしかないのでござるよ。身振り手振りで話しているでござるから、少しは伝わっているはずでござる。


「なあ? どうでござるか? 拙者がお前の新たな群れの一員になってるでござるよ」


「ガウゥゥ!! ガウガウッ!!」


「おい、待て。こっちへとびかかってくこないでくれでござる!!」


 拙者の必死の説得の甲斐なく、こいつは拙者に向かってとびかかってきたでござる。それも、おそらく噛みつくために大口を開けてでござるよ。もうだめだ、自分がおかれている状況すら正しく理解できないようなバカ狼は拙者のペットにはふさわしくないでござるよ。殺処分するしかないでござるな。短い間ではあったでござるが、この世界最初の話し相手としては申し分なかったでござるよ。


「止まらないでござるか? 止まらないと斬るでござるよ? っせい!!」


 スパァン!!


 拙者の手刀がちょうど狼の首のラインを通過したでござる。


 ゴロゴロ。


 首がとんで行ったしまった狼は自分が死んだことにも気がつかずに、目をかっぴらいてどこかを見つめているようでござるな。


 やってしまったでござる。異世界にきて最初にみた動物……本当にペットにしたかったでござるよぉ。


【レベルアップしました】


 え? 今、レベルアップの声が聞こえてきたでござる。なんででござるか? いましたことといえば、こいつの首を斬り飛ばしたくらいでござるが……もしや、動物を倒したら経験値が貰えているのではないでござろうか? さっきの渾身の一刀両断も木の間にいた狼の群れを葬っているから大量にレベルがあがったのではないでござろうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ