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たつがみ  作者: まよいひと
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百合の花

話がなかなか進みません。すいません。

そこら辺に倒れている男達とは離れたところに160㎝前後の女の人が立っていた。

頭一つ抜き出ている事を表しているようにその佇まいは異様だった。

気配は勿論、殺気、激情などの感情を微塵も見せず、構えるわけでもなくただ斜に立っているようだが……。

感情も読めず、あの体位からどんな動きをするかも分からず迂闊に飛び込めずにいた。


すっ………


女の動いた足が地面に着く瞬間、女の体が消えた。目でも追えない速さに龍也はうろたえ、女の姿を確認しようと周りを見ようとしたそのとき…


ドスッ………


鈍い音が聞こえると龍也の鳩尾に女の右足がめり込んでいる。

呼吸が出来ず、女が足を引き、地面へと倒れていく自分を見下ろす女を見ながら気を失った。




うぅ…

痛みによって目を覚ました龍也は最悪の気分だった。

寝かされている布団の理由を考える訳でもなく、気を失う前の闘いをぼんやりとした頭で考えていた。

何故かあの女の人は嫌な感じがしなかった。周りにいた人達は考える暇もなく一蹴してしまったので分からなかったが、女の人は最初襲ってきた奴らとは違い、殺す気が無い気がした。

あの時間を楽しんでいるようだった。

蹴りも軽く優しく当てるようなものだった。明らかにおかしなことばかりだが考えがまとまらなく一人でいらいらする龍也だった。


がらっ


「失礼します。あらっ、もう目が覚めましたか。お加減はいかがですか?」


ふすまが開いて女性が入って来る。綺麗な人だ。


「ん?どうしたんですか?」


可愛いらしく聞いてくる。淡い色の着物がよく似合う彼女はおそらく20代だろう。

整えられた眉に、まつげの長いぱっちり二重。少しだけ高い鼻に、濡れているかの様に艶やかな唇。そして、うっすら化粧がされているお人形さんのような彼女に見とれていると、


「大丈夫ですか?気分が悪いですか?」

「いえっ、もう大丈夫です!」


はっ、として慌てて答える。

そしてやっと自分が知らない所にいることに気が付いた。


「すいませんが、ここはどこですか?そしてあなたは誰ですか?」

「ここは、加護家のお屋敷で私は加護家の者です。それで十分でしょう。」

「………」

「それでは、気が付いたようなのでお父さんを呼んできますね。まだ動いちゃダメですからね」


そういって部屋をでていく。




言われた通り、動かずに加護さん綺麗だったなぁなどと考えていると加護さんと一が部屋に入って来た。


「ちゃんと動かずに待ってましたか?」

「はい!」


にこやかな笑顔とともに聞いてきた加護さんにすぐに答える、龍也。

デレデレが表に出過ぎだ。


「ほんとかなー?」


などとノリノリで答えている。バカップルとはこいつらを指すのだろう。

馬鹿な会話をしている二人を一が止めに入った。


百合ゆりさん、もう止めて下さい。零奈がヤキモチやきますから」


彼女は加護百合と言うらしい。


「今回、綾香と零奈は連れて来てないのね」

「はい、予定より早く始めなくちゃならなくて。俺達は速いんですけどね。あいつらのは時間がかかるのでね、俺達だけで受け取りに来ました」

「あぁ、あれね。あれは用意しとくから帰りに渡してあげるね。あと、あれも取りに来たんでしょ?」

「えぇ、もちろん」


母親と姉を知っているらしい百合さんと一の間で龍也のわからない会話が交わされて、あれが何かを聞く暇も無く会話は完結した。


「んじゃ、そうゆうことで。じゃあ私は龍也と遊んでるから挨拶してらっしゃい」

「だめ、百合さん。今日は龍也を連れてくんだから」

「えぇー、あの人の所に龍也を連れてくの?」

「いつまでも連れて行かない訳にはいかないでしょう」

「………」

「さ、行くぞ」

「あのー、質問していい?」


完全にかやのそとだった龍也は会話が途切れたのを見計らって話し出した。


「百合さんってどんな人?あれって何?あの人って誰?」

「そうだな、まとめて話すとー、百合さんは俺と綾香の母親兼姉がわりだ。俺らが本当の両親にちゃんと育てられてないのは話しただろ?そのあとはこの加護家で育ったんだ。

加護家は俺達一族を影から見守ってるんだけど、従っているってゆうことじゃなく対等な関係で見張っている。まぁ、中立な立場だ。

で、お前はさっき言った、俺と綾香の本当の両親の所に連れて行く。

あと、あれは秘密だ」


一気に情報を伝えられたので追ていくのがやっとだったが、なんとかぼんやりとだが状況が掴めた。ただ…


「百合さんは父さん達の母親兼姉がわり。ってことは百合さんはよんじゅ…」

「龍也!あんだって?もう一回言ってみ」

「止めとけ!また、おんなじことになるから」

「またってことは……?あの鳩尾に入れた女の人は…!」

「あれは百合さんだ」

「エヘッ!軽く入れたのに、龍也倒れるんだもん心配しちゃった」


可愛いけど………、ムカつくな!けど、やられるので言えない。


「はー。じゃあ、じいちゃん?の所にはすぐ行くのか?」

「あぁ、今から行く。そして今夜決行して、明日一日ゆっくりしてから帰る」

「一!明日も泊まっていくの?やったー、龍也と沢山遊べるね!」



「ふぅー」

アドバイスなどをいたたければ幸いです。

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