開花
まだ上手く書けてません。
「それでは、一、綾香、準備をしなさい」
マザードラゴンの指示に答えることもなく二人はそれぞれの準備に取り掛かる。一はまた精神統一し綾香はぶつぶつとなにか呪文見たいなものを唱え始めた。父親が竜化しおわり母親が唱え終わるとマザードラゴンは龍也にワイングラスを渡し、そこに真紅の液体を注いでいく。
「龍也、これは私の血です。あなたが生まれたときに採って置いたものです。あなたはこれを飲み龍人となります。そのときあなたの中の竜が目を覚まし意識を奪い合うでしょう。しかし負けてはいけません。あなたでなくなるかもしれません。」
龍也にその言葉が重くのしかかる。今日が龍也として最後になるかもしれない。家族と居られるのが最後になるかもしれない。そう思うと足が震えてしまう。唾を飲み、グラスを落とさないよう両手で持ち、口に運ぼうとするがグラスに口を付けるまえにまた離してしまう。龍也の呼吸が速くなっていく。
心臓の音がやけに大きく聞こえる。龍也の心臓は竜の血を受け入れようとしているかのように共鳴する。喉が渇いたと感じるようになると、龍也の体は受け入れる準備が整ったというように拒絶反応が消えた。足は震えずしっかりと地面に着き、頭もしっかりと回る。しかしその心臓だけはいまだ力強く体の隅にまで血を巡らせる。
龍也は覚悟を決めグラスに口をつけ一気にいく。喉を通り腹に血が達するのが感じられる。そこから焼けるような熱さを感じ、立っていることができず龍也はうずくまってしまう。熱さは痛みに変わり全身に広がっていく。「ゥあ………、ァァ…………」
呻くしかできない。声が上手くだせず、口からもれる息は灼熱の炎のように熱く、零奈は母親の創った結界のなかに避難しなければいけなかった。
龍也の体は熱さを増し意識が薄れていく、体の力は抜けてゆっくりと前に倒れる。零奈が助けようと飛び出してくる映像を最後に龍也の目は閉じられる。
「………ん?どこ、ここ?そういや俺………そうだ、よかったー、俺のままで」
そう言いながら体を見渡す。外見はあまり変わっていないようだが………。
「起きましたか。正気のようですね、よかった」
「みんなは?」
「一と綾香、零奈は帰りました。零奈も修行しないといけないので」
「姉さんが修行!?何を!?」
「零奈のことよりあなたの心配なさい。あなたの修行時間は今日一日だけしかないんですから」
「…………俺もするの?」
「もちろんですよ。知識は血に乗せて送ったので後は実戦ですね。みっちり鍛え上げますよ!」
「…………やだっ」
「じゃあ、死ね」
そういってマザードラゴンは爪を振り上げ、龍也の体を引き裂こうと一気に振り下ろす。
龍也はいきなりの攻撃に後ろに飛びのくが体にかすってしまい胸から血が垂れる。
「いやぁ、あとすこしで死んでましたね。死なないよう頑張って下さいね」
そんなどこか他人行儀な言葉を吐きながら今度は長く太い尻尾で振り払おうとしてきた。攻撃範囲が広すぎて避けられないと思ったら、龍也は丸太が抜けたような窪みに飛び込み難を逃れる。頭上を通過していく尻尾は嵐のような風を巻き起こし龍也の体を吹き飛ばす。そのまま大木の幹に転がりながら激突する。
「うーん。その運がいつまで続くでしょうかねー?本気で頑張らないと、本当に死にますよ」マジ死ぬ。そう思うと足が震えて動けなくなってしまう。そのかわりに頭だけがやたらと回る。一秒が何十秒にも感じ、どうすれば次をかわし生きながらえるかを必死で考えた。考えると戦いの経験なんてないのにもかかわらず次々と行動が浮かび、そのなかから最適なものを選ぼうとするも結果は見えたものばかりだった。
『逃げられない!なら………』
そう考えると同時に龍也は動いた。いつの間にか震えが止まった足は驚くべき脚力を見せ、マザードラゴンの足元に一歩で潜り込む。
そこから、片手で無造作にマザードラゴンの足を掴み持ち上げ、振り回し上へ投げ上げる。マザードラゴンは空中で翼を広げ、羽ばたきながらゆっくりと降りてくる。
「思ったより早かったですね。能力が開化するのはもっと時間がかかるのですよ、普通は」
どーやら龍也を殺しかねない攻撃は龍也の能力を目覚めさせるためのものだったらしい。
「まぁでも、これでちゃんと修行ができますね。じゃあいきますよ」
そう言って翼と脚力で龍也の方へ突っ込んでくる。
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