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たつがみ  作者: まよいひと
3/16

竜の森

自分でも不自然さを感じます。

「儀式……って………」

「よし、じゃあ中に入るぞ」

「いきなりっ」

「中に入れるの〜?」

「滝の裏側に洞窟があって一族の血にしか進めない扉を進む」

「じゃあ私はどうすればいいのでしょうか?」

………………………………………………………………………………

「「「ドール!」」」

「あら、よく間に合ったわね」

「はぁー、よく間に合ったじゃないですよ。あなたが今日は龍神様の儀式を行うから絶対に来い、死んでも来い、と言ったのではないのですか」

「でも、ドールちゃんはもともと竜の儀式には来るつもりだったでしょう?」

「それはそうです。今日が龍神様に永久の忠誠を誓う日ですから。来ないわけにはいかないのですよ」

「ふ〜ん、で、どうやってドールも入るの?お父さん」「え〜っとだな。たしか………………」

「たしか、いまのところ正統な一族当主のあなたの血をかけてあげればいいのよ」

「そうだっけ?」

「そうよ」

正統な当主であるはずの父親ではなく、母親の方が答える。この家系の女性陣はどうやら頭がいいらしい。

「じゃ、ドール、こっちへ来い」

呼ばれたドールは父親の前に立つ。

「よし、座れ」

犬じゃないんだからと思いつつ従う。

父親は自分の親指の腹を噛み切り血を垂らす。

「お前もやれ」

父親にならい親指の腹から血を見せる。

父親はドールの周りを回りながら自分の血を振り掛けていく。三周ぐらい回り最後にドールと親指を合わせドールに問う。

「黙秘を貫けるか?」

「誓う」

「よしっ、これでいいはずだ」

「ね〜、早く行こうよ〜」

一族にしか行けない場所ということで楽しみでしょうがない姉は一行を急かす。

「じゃ、いくぞ。龍、先行け」

父の言葉を聞き、先頭を歩く龍也。滝に向かいまっすぐに、行き方を知っているかのように躊躇いなく歩いていく。龍也が滝に差し掛かると、滝の方が龍也を避けて流れる。真ん中が割れ、迎え入れるような滝に親しみを感じる。

「ありがと」

一言お礼を言って龍也は洞窟へ足を踏み出す。外からはそんなに深く見えなかったが、龍也が足を一歩踏み出す度に暗い闇はどこまでも伸びる。しかしどこからか細い一本の光が射していて、5分も歩いたところで光が太くなる。

龍也は自然と小走りになり、その光にたどり着くと目の前が真っ白になり何も見なくなる。目が明るさになれ、周りが見えて来るとそこには、

「なんだ、また同じ森じゃん」

洞窟へ入って来る前と同じような風景が広がっていた。

「残念。ここは表とは少し違う。よーく、見てみろ」

龍也が言われ通り、見回してみると、向こうでは見られなかった植物が生えている。それに動物も。

「どこ、ここ?そしてなんで親父達が前にいるの?」

「まぁそのうちわかる。それより早く行くぞ。約束の時間は過ぎている」

答えになっていない答え方をする父親にムッとするが、訳のわからない場所なのでしぶしぶ従う。




5分も歩いたところで一行は大樹の前にたどり着いた。強く大地に根を張り、太い幹は所々苔が着いている。それが遠い月日のなかを生きてきた証のように思うが、繁る葉は深い緑もあれば、若々しい緑もありいまだ生きた凛々しい姿を残す。天空からそそぐ太陽からの虹の光は葉に所々遮られ、大樹の神々しい後光となり聖樹を飾る。

「ただいま戻りました。マザードラゴン様」

『入れ』

中から聞こえる声に従い、中に入るとそこには、

「……………………」

「素敵………………」

「これはこれは……」

絶句する三人に一匹の竜が優しい言葉をかける。

『よく来ましたね。龍也、零菜。それと………ドールですか。』

一匹の真っ白な竜は全てを見透かしているかのような緑の眼で見つめる。

『あなた達に会えるのをどれほど待ったことか。この時が来た事が嬉しくも、恨めしくもありますね。あんな争いに身を投じる手助けをしなくてはならないなんて』

「いろいろと聞きたい事があるのですが………」

「そんなに緊張しなくていいですよ。何が聞きたいですか?この場で答えられる事ならなんでも答えますよ」

「それじゃあ、あなたは誰なんですか?」

「私は万年竜です。永遠の時を生き、一族の中で血に目覚めた者を導く存在と言われています」

「なんでそんな曖昧な言い方なの?」

「それは私にもわからないからです」

「じゃあ、血に目覚めない人はどうなるの?」

「どうもしませんよ。秘密を知る人間として生きてもらいます。だからそうゆう者達の前には姿を見せません。実は、血に目覚めない者の方が多いんですよ」

「導くってどうゆうこと?」

「導くとは竜の力を与え、本物の龍人にするのです」

「龍人は普通の人とは違うの?」

「…………………………………………………」

いままで止まる事なく答えていたマザードラゴンの口が止まる。龍也はなぜ止まるのかわからず聞き直す。

「俺が龍人になったら、俺は俺でなくなるのか?」

質問の意味がわかった両親と零奈は不安げな目で龍也を見て、マザードラゴンの返事を待つ。

「………答えずらいですね。……それはわかりません。私は経験していない事なので。しかし、いままで見てきた中で龍人になった事で変わってしまった者はいます」

マザードラゴンの素直な答えに一行は息を飲む。しかし、マザーは続けた。

「たとえそのような者が居たとしてもあなたは一番良い例が身近にいますよ。ね、はじめ

そういってマザーは父親の方をみる。父親は恥ずかしそうに頬をかきながら照れ隠しに反論する。

「俺は、血が薄いからな。中に竜の力を入れても平気なんだよ」

「またまた、照れちゃってー、はじめったら」

マザーはとても穏やかな目で二人を見つめる。

「だから心配しなくても大丈夫ですよ。それでは暗くなる前に儀式でも致しましょうか」


アドバイスを頂きたいです。

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