お出かけ
まだまだ上手には書けないですが、暖かい目で見てほしいです。
「りゅ〜う君、宿題終った?お姉ちゃん兼奥さんが優しく手取り足取り教えてあげるよ〜」
『やめてくれ!頼むから邪魔しないでくれ。』
「大丈夫だよ。あと少しだし」
「じゃあ、わからないとこ教えてあげる〜」
『いいから一人で静かにやらせてくれ』
「大丈夫だって。宿題は自分でやらないと力にならないから自力で考えるよ」
「む〜、でも〜」
「ほら、集中したいから」
やっとの事で姉を部屋から追い出す。何故か昨日の話から姉は俺と一緒に居たがる。何故だ。…………
まぁいい。とりあえず数学だけになった宿題をかたずけよう。
「えーと、Xの二乗イコール4だからXはプラスマイナス2と。第2問は……………………」
二時間後
「しゃあー、終わったー。俺ってやれば出来る子ですか」
「やったー、さすがりゅう君。ちゃんと終わったね」
「姉さん!なんでわかったの?」
「追い出されてから廊下にいた!」
なんてアホなんだ。そう思わずにはいられない龍也だったが口にはださなかった。
「じゃあ、二人とも宿題が終わった事だし、明日のお出かけの買い出ししよ!」
「あれっ?準備は親父達がするって言ってなかった?」
「お弁当ぐらい作るって言っといたの。そしたらお父さんたらね涙流しながら『幸せだー』とか叫びそうないきおいでね、それみたお母さんが…」
『早く行って済ませようよ』たったそれだけだが姉のいきおいに言い出せず涙をこらえ話を聞きつづける。
「いやー、いい天気だ。絶好のお出かけ日和だな!」
「楽しみだね!お母さん」
「最後にお出かけしたのはりゅうが小学一年生の時だからねぇ〜」
やばい、ついていけない。少しばかりの距離を感じるが両親と時間をともにする事がめったに無く、何より大好きな姉がとても楽しそうで龍也自身も楽しくなる。
「じゃあ、出発しよう!」
父親の弾んだ声をききながら龍也は前を歩く両親を変に思う。
「どっちに行くんだよ。そっちはバス停も駅もないじゃん」
「ばかやろう。バスや電車はお金がかかるし遅いだろう。時間はいくらあってもたりん」
「じゃあどうやって目的地まで行くんだよ」
「りゅう、忘れたの?私達の一族は………」
そういっているうちに人気のない山の少し開けた場所に着いた。すると親父はいつになく本気な表情を見せると目をつぶり息を整え、気を吐き出した。
「はぁーーーーーーーーー」
圧迫感を感じながら親父の妖しくなっていく姿を見つめる。
角が生え、開いた口からは整った歯並びが見えるが一本一本が鋭く尖り、見開いた目の瞳は縦に伸びる。皮膚は鱗で覆われその姿は伝説でしか聞いた事のない、絵本でしか見た事のない龍になっていく。
自分の父親の特異な力に不気味さにどうにかなりそうなるが、母親から声がかかる。
「そう言わないであげて。あの人だってこの力に悩んだ事があるのよ。この力の事を私にも話してくれないでずっと悩んでたのよ。それで問いただしたら、なんでも自分が自分でなくなるような感覚がして、自分が人間じゃなく化け物に思えたらしいわよ。」
父親の意外な過去を聞いてしまい複雑な表情で父親を見ることしかできない。
「それとね、あの人はね自分がこんなんじゃ私に嫌われると思ってたらしいのよ。そんなことないのにねー、可愛いとこあるよねー」
なんだこののろけばなし。
「早く乗りなさい。少し遠くまで行くんだからな」
自分の話がされているとは知らない父親が三人を急かす。そして三人は父親の背中の翼の間の乗りやすいところに乗りこむ。
「ちょっと高くて恐いね、落ちないかなぁ〜」
「あなた、安全運転で行くのよ」
「ふぅ〜。龍、お前は前に乗れ。早くしろ。女性陣のご機嫌をそこなう前に飛ぶぞ」
女性陣のリクエストにため息を一つ吐き出すと、おもむろに龍也を自分の頭の上、会話が出来る所に呼ぶ。
龍也は父親の言う通りに頭に登ったと同時に羽を2、3回羽ばたかせ飛ぶ準備をして
「いくぞ」
そして真上へ風を切り裂いて飛び上がる。母と姉は目をつぶり必死で背中に掴まる。そしてほんの数秒で速度は遅くなり空中で止まる。二人は止まったのを感じ、目をゆっくりと開ける。
四人の下には雲が浮かび、流れ、ちぎれる。周りは360度が真っ青で下から上へと薄くなっていく。太陽がやけに近く感じる、実際に近い場所で四人は佇んでいた。
「もぅお父さん、いきなり怖いじゃない」
「あなた、安全運転でって言ったでしょう」
ブーブー……………
女性陣のブーイングを見事にスルーして、龍也に父親は話し掛ける。
「お前は目をつぶらなかったな。怖くなかったか?」
「うん、スゲー気持ちよかったよ。親父が雲を引いてまるで空へ掛橋が繋かったみたいですごく幻想的で綺麗だった」
興奮が冷めない龍也は子供のように一気に感動の言葉を吐き出す。
「やっぱり、お前も一族の子供だな。あれだけ怖がるように飛んだのにな。いつか目覚めたら自分で飛べるようになる。さぁ、レディ達今度はゆっくり飛ぶから空の旅を楽しんでね」
複雑な声で呟き、その後は努めて明るく振る舞った。
「見えてきたぞ。あれが目的地だ」
そこは、雲の上に山頂が飛び出していて、一面の緑がそれを覆っていた。
その山は近ずくにつれ四人を拒むように猛々しく繁っているのが確認出来る。父親はさらに上昇し頂上付近に着くと、木々を薙ぎ倒しながら着地した。
「よーし、ここから少し歩くぞ。頑張ってついて来い」
その後、険しい山道を父親の後になんとかついていく。整っていない山道は慣れなていない二人には厳しいものであった。
しかし、空から見た時は一面が緑のように見えたが、実際に入ってみると確かに光がささないような繁りすぎているところが多いが、ちゃんと光が入り綺麗な池が湧いていたり実が成っているような木がある場所もある。
「あと、どんぐらい?いいかげん疲れた」
「めうすぐだぞ。あっ、ほらっ見えてきた。登竜滝だ。お前はここで本物の竜になる」
開けた場所にはほぼ垂直な高さ100メートルはあろうかという滝に着いた。とても綺麗で透明度はかなり高いはずの水だが滝壺は深すぎて底が見えない。
神秘的すぎて言葉が出ない姉弟。
「いくぞ。竜の儀式だ」
父親の力強い言葉が滝に掻き消されず響く。
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