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たつがみ  作者: まよいひと
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後の祭り開始

そこにいたのは深緑色の甚平のような物を着た二人。一般人の考える天狗とは違う服装だが、足が一本の高下駄を履き鼻の高いお面。お面は赤くなく真っ黒である。高下駄のため身長は分かりにくいがおそらく二人とも160cm前後であまり高くないだろう。


「ドール、何で天狗なのに赤いお面じゃないんだ?」

「あれは烏天狗の証です。いわゆる末端ですね。烏のようにいたるところに広がり主人の命令をこなしていきます」

「ふーん、じゃあ情報収集か何かかな?」

「おそらく」


そういって二人のほうへ向き直ると、品定めでもするかのように龍也とドールを下から上まで嘗め回すように観察していく。

そしてあらかた外見からの情報を纏め終えると口を開く。


「数日前、お前の女の戦いを見せてもらった。バカな男は分からなかったようだが我々は理解した。あの女の能力を。

これがどうゆうことかわかるか?我々はいつでもあの女を自由にできるということだ。いつも気にかけておくんだな。

出来るなら始末せよとの命令なのでな。これからはすきあらば・・・」

「おバカちゃんか、おまえ。それで脅してるつもりかよ?いかにも真っ先にやられるような脇役のセリフ言っちゃって。」


お面の奥の目が僅かに動き激昂したようすが窺い知れるが、おくびにも出さず主人の命令をこなしていく。


「これは宣戦布告だ」


そう静かに言うとどこかへ消えていく。

しかし、龍也達を張っていたときよりも雑であり消えた方向はまるわかりである。


「だから下っ端なんだよ」


そうゆうとドールへ視線を向け、考え込むために口をつぐんだ。

視線を受け考え込む主を確認したドールは次の行動を指示されるまで動かないかわりに、口をだす。


「彼らの目の動き、心臓の脈拍、筋肉の弛緩具合から推測します。

零奈様の能力分析には自信があるようです。が肝心なところはわかっていない様子ですね。まちょっとしたハッタリでしょう。零奈様自身、観られている自覚のもと出来るだけ能力を隠しながら一部だけを使用していましたので彼らの分析のほとんどが間違っているでしょう。

そして次に仕掛けて来る内容、時期についてですが……………後はご自分でお願いします」

「素直にわかりませんと言えよ」


シリアスな展開に水を差されすっかり集中力を切らしたようだ。


「何事も経験ですよ。ここで死んだらそれまでの器と言う事ですよ」


何と言うか、本当に主従の契約を結んでいるのか不思議でしょうがない。


「ふー、まぁいい。

これから姉さんについとけ。以上」


いかにも不機嫌な声で指示を終えるとドールは小さい子供のわがままを聞く親のように小さく笑う。

そして廊下へと歩きドアに手を掛けた瞬間、どこぞの下っ端とは違い音も気配も消していなくなる。

窓には零奈に手を出すと予告した相手への怒りを込めたメッセージを深紅の字で走り書きしてあった。


『I'm the god of death.I achieve the nightmare that is harder than the death』(私は死神だ。死よりもつらい悪夢を見せてあげよう)


笑えない冗談だな。顔を引き攣りながら保健室をあとにする龍也だった。


龍也は教室にまっすぐ向かったが教室にはすでに零奈の姿はなく、「しまった挑発しすぎたか」とか思いながらあの姉が争った跡もなく連れ去らわれるはずがないとはわかっていても内心でハラハラしながら頭の中の情報を整理していく。

(あいつらは異様に苛立っていたからまだ捕まってはいなかったはずだ。つかまっていたならもっと余裕な表情を見せているはずだ。飛んでった方向は体育館の方向か、教室の作業はいまは一時止まっている?何かを待っている?誰も何も言わないし教室の近くでつかまったわけではなさそうだ。)


「委員長。零奈さんの姿が見えないのですがどこかへ買い出しにでも行ったのですか?」

「零奈?零奈は・・・何人かと体育館へ備品の長机を何人かと取りに行ったよ。」


クラスの全員の行動を書いている紙を確認しながら龍也に告げる。

(逆か、クソ野郎。教室に向かったやつらはおとりか。)

廊下を走り出し階段方向へ曲がり誰からも見えなくなると右足で強烈に踏み込み階段の窓をたたき割りダイブ。体育館へと急ぐ。

体育館は教室から真逆な位置にあり教室は4階、体育館は2階なしの建物。廊下には踏み込んだ足跡がくっきり残っている。

修行で身に着けた技のおかげでこれくらいの障害はへでもない。

備品を取りに行ったのなら体育館の倉庫側に行くはずだが、すでに出し物が終わっているはずのフロアの暗幕がいまだに閉まっているのは不自然すぎて疑う余地もない。

ドアは正面以外閉まっており学校の施設を壊すにもいかないので仕方がなく正面から堂々と入っていく。そこに待っているのは探していた零奈がロープに縛られて座っている。その隣には先ほど宣戦布告をしに来た二人。ステージには見たことのない制服姿の少年。


「ようこそ、龍也君。待っていたよ。」

「姉さん、何の真似でしょうか?」


あっさり少年の言葉はスルーされなぜかつかまっている様子の零奈に龍也は問いかけた。若干とげがある話し方はこの状況を作り出している変な奴らとそれを利用しているだろうと思われる零奈にも向いているからだろう。


「りゅうくん!たすけて!」

「演技しても無駄ですよ。自分でやっといて・・・自分で抜け出せるでしょう。こんな奴ら。」

「ぶー、助けてよー。こんな状況にあこがれる年頃なんだよー。助けないとみんなに深雪に告られてたこと言っちゃうぞ。」

「だめだそれは。今助けるからじっとしてて。」


すぐさま答える龍也。深雪の件をみんなに知られたら今後学校内に龍也の味方は皆無になってしまうことが容易に想像でき残された選択肢を取るしかなかった。

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