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幼なじみの恋人は僕の友達 友達の幼なじみは僕のXXX 〜Crossroad Cantata (3) / Melancholic Minuet〜  作者: 御子柴 流歌
第2曲: アフロディーテ

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2-XV-A. 荒れる空


 昨日の夕方近くから降りはじめた霧雨は、まったく上がる気配も感じさせないままに、夜も半ばを過ぎた頃には本降りになっていた。

 朝になっても止むどころか雨脚は余計に強くなって、ピークは結局昼くらいだったらしい。


 授業中もいきなり突風が吹いてすごい音が窓越しに聞こえてきた。

 小野塚(おのづか)くんあたりが「こんな日はTMレボリューションごっことかしたくなるよな」なんて言って、クラスメイトほぼ全員から無視をされるとかいうある種のお決まりみたいなことがあったのは――小野塚くん本人は忘れて欲しいと思っていそうだけれど――きっと忘れちゃいけないことだと思った。


 ちなみに、その時の英語の授業を受け持っていた担任の中本(なかもと)先生は、「別に俺は止めないぞ」と痛烈な返しをしていたことを付け加えさせてもらいたい。


 そんな流れもありつつの、放課後。


「じゃあ、ここのグループは飾りBを作ってくださいっ」


「はーい」


「いぇーい」


「じゃあ、私は部活に行ってきます!」


 教室に残って展示物の制作指揮を執った早希(さき)ちゃんは、そのままの勢いで廊下へと飛び出していった。

 吹奏楽部は日に日に練習強度が上がっていくのがよくわかる。

 いつももうひとつの音楽室から聞こえてくる練習音はもちろん、こうして教室で学校祭の準備をしているときに漏れ聞こえてくる音でも明らかだった。


 そんなときにあたしは――と言うと、今日は部活は休んで学祭準備に充てることになっていた。


 合唱部も吹奏楽部と同じように、月雁祭(つきかりさい)三日目には定期発表会を控えている。

 けれど、それぞれのクラスの準備にもしっかりと携わるようにということで、月曜から金曜のうち最低でも週に一回は部活に顔を出さなくて良い日というものを設けていた。

 あたしにとっては今日がその日だった。


 キレイにまとまっている作業の工程表を見ていると、少し廊下の方が騒がしくなってきた。

 全員の視線がそちらに移ったタイミングでドアが開けられ、入ってきたのは野球部の面々。

 もちろんその中には彼の姿もあった。


「おー、やってるー」


「冷やかしだけで帰るなんて許さないよー?」


「わーってるっての、手伝う手伝う」


 逃がしてなるもんか、という明確な意思を持った視線と声に射貫かれてしまえば、さすがにそのまま教室を出て行くなんてことはない。

 もっとも彼らは、彼女たちが思っているよりは作業へのやる気はありそうだった。


「おつかれー」


「あ、おつかれさまー」


「今日は作業なんだ?」


「うん。あ、お手伝いならコレね」


「はいはいーっと」


 するっと自然にあたしの隣に座った彼は、飾りに使う小さめの画用紙を手に取った。

 予想以上に真剣な顔で作業をし始める。

 それを見ていた他の野球部の子たちもこちらに来て、それぞれの作業を始めてくれた。


 基本的にウチのクラスは男女無関係に乗り気だ。

 ミズキくんやすみれちゃんが「ウチのクラスは手がかかんなくて助かる」みたいなことを言っていたのも納得だった。


「野球部は基礎練習とかじゃなかったの? もうやってきたとか?」


 ちょっと気になったので訊いてみる。


「……ん? ああ、違う違う。ほら、そろそろオレらも予選じゃん?」


 彼らによると、もう間もなく開催される夏の予選までの日程表が配るということで、野球部員全員でまとまって職員室へ行っていたらしい。

 晴れていれば今日の部活の後に配るはずだったけれど、雨降りだし学祭準備もあるだろうしということでお休みになったとのことだった。


「ちまちました作業はキライだけど、基礎練よか何倍もマシだな」


「あはは……」


 相変わらずの基礎練習嫌いな彼に思わず笑ってしまう。


「ちょっとー。そこのテーブルからこっち来て手伝ってー!」


「あ、ずるい! こっちにもー!」


「……っと、だったら俺そっち行くか」


「なら、俺は向こうに行くから」


「お、おう」


 そこから話が広がるかというタイミングで、それぞれの作業エリアからお声がかかる。

 彼の後からこちらに来てくれたふたりは、示し合わせたようにここから離れていった。







空気を読んだのか、はたして。

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