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幼なじみの恋人は僕の友達 友達の幼なじみは僕のXXX 〜Crossroad Cantata (3) / Melancholic Minuet〜  作者: 御子柴 流歌
第2曲: アフロディーテ

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48/61

2-14-A. 今も止まない夏の雨

 昨日の夕方から降っていた霧雨はそのまま上がるかと思いきや、夜も半ばを過ぎた頃には本降りになっていた。

 月雁(つきかり)祭の準備期間の内に雨が全く降らないなんてシーズンは無いと聞いていたが、案の上だった。

 運が悪いときは前期中間考査最終日から――つまり、準備のスタートから雨に当たることもあるというから、今年はまだマシな方なのかもしれない。


 しかも結局、翌日になっても雨は続いていた。

 少なくとも折りたたみ傘で登校に挑むのはあり得ない程度の降り方だ。

 自転車通学組はさぞかしかったるさを覚えていることだろう。

 自転車の快適さになれてしまうと、徒歩通学は面倒に違いない。


 いつものパン屋で昼ご飯を買い、途中立ち寄ったコンビニで時間つぶしがてら午後から飲むための飲み物を買う。

 自分の教室に着いたのは始業の二十分ちょっと前だったが、そこからさらに雨脚が強くなってきた。


「いやー、ヤバいな!」


「おー、濡れ鼠」


「そこまでは行ってねえよ、失礼だな」


 大輔(だいすけ)は運悪くその強い雨脚の中を歩いてきたらしい。

 彼の言うとおりにそこまで濡れ鼠状態では無い。

 上半身は守ってくることができていた。


「じゃあ訊くが、その靴下はどうなっている?」


「勘の良いガキはキライだよ」


「同い年だろうが」


 残念ながら、下半身まではどうしようも無かったらしい。

 傘を差しても地面からの跳ね返りを防ぐことはできない。

 バレたらしょうがないななどと言いながら、大輔は靴下を脱ぐ。

 さすがにそこら辺に干しておくわけにもいかないので――というか、恐らく主にすみれあたりから猛烈なブーイングが飛んでくるはずなので――大輔は取り急ぎ部活用のバッグの中に放り込んだ。

 いつもズボンの裾を踏みそうなぐらいの長さにしているので、素足だとしてもわからないだろう。


「ズボンは?」


「裾以外は、まぁ大丈夫だろ」


「体育でもあれば良かったんだけどな」


「あー、そうな。ジャージに逃げられるからな」


 残念ながら今日は普通の授業だけ。

 一部の男子たちの憩いの時間である体育は明日だ。


「風邪はひくなよー」


「……お、その心配してくれるん?」


 ――そういう格言があることを忘れていた。


「すまん、やっぱり要らなかったな。……いや、待て待て。ウソだって」


 実際、ここで体調を崩すのは大問題。

 クラスの準備も部活の準備も抱えている大輔に離脱されるのは困るという話。

 カバンに突っ込んだ靴下を手に取ろうとした大輔を、何とかして宥めた。







 雨は午後になっても止む気配は無かった。

 それどころか若干雨脚が強くなってきたくらいにも見える。時折横殴りの風が混じって雨粒は窓に叩き付けられ、その都度窓際の生徒たちがびっくりして肩を跳ねさせていた。

 ちょっとした台風のような雰囲気になるときもあるくらいで、驚くのも無理は無かった。


 しかし、こうなると学校祭の準備で出来ることは大きく制限されてしまう。

 少なくとも外での活動はアウトだ。テント内で出来る作業というのもあるかもしれないが、制約が多すぎる。

 こういうときはどこのクラスも、おとなしく教室内での作業のみになる。

 一応行燈を守るテントの様子は校舎からも確認ができて、どこかのクラスのテントが吹き飛ばされているとか、そういう形跡はなさそうで一安心だった。


 放課後になって早々猛烈なため息をつく行燈バカこと二階堂くんを尻目に、ボクは部活へと向かう。

 外での作業が進んでいるだろう日はやっぱりそちらの作業のことも気になってしまい、何となく演奏に集中しきれなかったりする。

 彼には悪いが、こういう天気のときは心に引っかかる物も無く、部活に集中できた。



 間もなく十七時になろうかというところで一瞬だけ休憩に入る。

 そろそろ教室での準備も片付けに入る頃だ。特に休憩中にやることも無い――さすがにピアノの練習をこのタイミングでやるのは憚られた――ので、二年三組(じぶんたち)の教室へと向かうことにした。


 どこの教室からも威勢の良い声が飛び出してきている。

 中には怒声混じりのところもある。

 学祭準備の付きものだ。

 とくに一年生の教室はこのパターンになりがちだ。

 大概がサボる男子を叱りつける女子の構図になっているあたりは、あまり捻りがなかった。


 階段を降りる。

 そういえば教室展示の方はあまりタッチ出来ていなかったな、などと思いながら教室のドアを開けようとして――。


「……あぁ、そうだった」


 思わず手を引っ込める。

 入り口からよく見える窓際。如何にも仲良さそうな雰囲気で作業をしていたのは、聖歌(せいか)祐樹(ゆうき)だった。






油断が多いミズキくん。疲れているのよ、きっと。

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