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幼なじみの恋人は僕の友達 友達の幼なじみは僕のXXX 〜Crossroad Cantata (3) / Melancholic Minuet〜  作者: 御子柴 流歌
第2曲: アフロディーテ

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2-7-A. クロモリ

 二年八組に割り当てられている駐輪場のスペースに着いた時点で、玲音(れお)の自転車がどれなのか一目瞭然だった。

 どういうのなのかを全く想像できないまま祐樹(ゆうき)の後を追ったが、「あ、もしかしてアレか?」と訊いたボクに、祐樹は大きく頷いた。


「ご名答、ってヤツだな」


「玲音が乗れそうなサイズで探せば、まぁサイズ的には目立つことになるかなぁ、って」


 百八十を超えている身長の生徒は、月雁(つきかり)高校ではそこまで多くない。

 そんな玲音が乗れるサイズのモノを探すのも、当然ながらあまり苦労しないというわけだ。


 少し年季は入っている感じはするが、鮮やかなブルーが特徴的なボディは『まだまだ自分は現役だ』とアピールしているようにも見えた。

 トップチューブ――ハンドルとサドルの部分を繋いでいるパーツ――が地面と平行になっているホリゾンタルフレームなのも、またシブさがある。


「なるほど、クロモリかぁ」


「くろ、もり……?」


 ボクのつぶやきに、祐樹はキョトンとする。


「ああ、いや。ただの独り言的なヤツだ。このバイクのフレームの素材の名前」


 クロモリ――クロムモリブデン鋼。

 アルミやカーボンといった素材と比べれば重たくて錆にも強くはないが、その代わりしっかりとメンテナンスをすれば数十年乗れる程度の耐久性を持つ素材だ。

 ボクが持っているのはアルミボディなので、一度乗ってみたかったりするタイプだ。

 わりとラッキーかもしれない。


「親父さんからのお下がり……とかなのか?」


「ホント、お前のそういうところの観察眼ってなんなの? 高校生探偵なの?」


「……別に、行く先々で事件が起きるような事は無いけどな」


 ハワイにも行ったことは無いし。

 そもそも――。


 ――まぁ、いい。

 閑話休題というヤツだ。


「わりと昔のっぽいけど、メンテはしっかりされてる感あるし。だったらお下がりかな、って思っただけだ」


「俺はそういう情報を、まだお前に流してなかったんだけどなぁ……。そういうとこだよ、そういうとこ」


 そう言って祐樹は笑った。


「瑞希もこういうチャリ持ってんだっけ?」


「え? あぁ、うん。まぁ」


 不意に訊かれて、答えに詰まってしまった。


「何でそこでモニョるんだよ」


「別に何でもないってば」


 そう、別に何てことはない。

 ただ少しだけ、祐樹に自転車のことを言ったような記憶が無かったから動揺しただけだ。


「っていうか、玲音って自転車組だっけ?」


「この時期はいろいろ小回りが効くから、って。普段から許可はもらってあるらしい」


「なるほどね」


 まさに今日みたいな日のことを、玲音は指しているのだろう。

 今回はボクが乗らせてもらうことになったが、自分が何か頼まれたときに『自転車でひとっ走り行ってくること』ができれば、かなりラクだ。

 スーパーやコンビニ、あるいはファストフード店なんかは自転車じゃなくても充分な距離にあるが、今回みたいにホームセンターが目的地になる場合はそうも行かない。

 荷物が多く、あるいは大きくなることもある。

 そうなるとフットワークが軽くなることは利点しか無かった。


 ボクも手続きだけは通しておいた方が便利なのだろうか。

 とはいえ、月雁高校からウチまでを自転車で通うとなると、星宮の中心部を思いっきり通過しなくてはいけないルートになる。

 正直言って、『何かが起こってしまったとき』を考えると、やっぱり二の足を踏んでしまう。


「大丈夫そうか?」


 鍵を外してスペースから出す。

 まずは空気圧をチェック。

 ライトはこの時間なので問題は無いだろうけれど、点滅する設定にも出来るタイプのモノが後付けされていた。

 そのまま跨がって、前後のブレーキを操作。

 足はつま先が地面につくくらい。

 クロスバイク系の自転車ならばこれくらいが丁度いい。


「ん、大丈夫だ」


「おっしゃ。じゃあ、俺もチャリ取ってくるから」


 グッと力強く親指を立てて祐樹はウチのクラスの駐輪スペースへ走る。ボクは、とりあえず学校の敷地内では自転車は押して動かし乗ってはいけないというルールを思い出しながら、祐樹の後を追うことにした。



 ちなみに、筆者のクロスバイクはアルミボディです。

 ※突然の自分語り

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