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幼なじみの恋人は僕の友達 友達の幼なじみは僕のXXX 〜Crossroad Cantata (3) / Melancholic Minuet〜  作者: 御子柴 流歌
第2曲: アフロディーテ

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2-4-A. 久しぶりのふたりきり


「さんきゅー。悪かったなぁ」


「いやいや」


 二年三組の持ち場へ行ってみれば、部活の昼休憩ということもあってかいろいろな服装でクラスメイトたちが集まっていた。

 ユニフォームだったり、ジャージだったり、練習用のウェアだったり。

 ただし大半はその上から昨日配布されたばかりのツナギを着ていたので、統一感はとれている。

 ちょっと面白い光景だった。


 ちなみに用件は電飾配線について。

 一部、設計図では不充分なところがあって、そこを補う方法をいくつか考えたので意見を欲しいということだった。

 少々手間になるかもしれないけれど出来れば影を作らないようなパターンが良いと告げたところ、全員から嬉々としたガッツポーズを向けられた。

 腕が鳴るぜ、ということらしい。


 諸々を任せ部活に戻ることにして、先ほど来た道を戻る。

 もう少しで玄関というところで、また見覚えのある人影を見つけた。


 ――何やら大荷物を両手に抱えた仲條(なかじょう)亜紀子(あきこ)だった。


「亜紀子?」


「え?」


 こちらに気付いた彼女は学校指定のジャージを羽織っていたものの、その下は練習用のユニフォームなのだろうか、その下から覗いているスカートはあまり見たことの無いものだった。

 思った以上に視界へと主張してくる健康的な脚のラインにドキッとしてしまうのは、きっと不可抗力だと思う。

 日頃『あんまり体育会系に見えない』なんて悪ふざけで言っていたボクに、こんなところでカウンターパンチが飛んでくるなんて思っていなかった。


「あ、ミズキくん。こんにちはー」


 そんなボクの戸惑いを知らずに、亜紀子のまったりとした挨拶が返ってきた。

 ちょっと拍子抜けしてしまう。


「こんちはー、っと」


「あっ」


 そこまで重そうには見えないが、それ以上に荷物の嵩張り方が半端じゃない。

 片手ずつで持っている袋たちは、それぞれ人ひとり分くらいの幅はありそうだ。

 そもそも両手が塞がっているのも問題だった。


 挨拶を返す流れで彼女の横へ行き、左手側の袋全部と右手側の一部を掠め取った。


「ミズキくん、手が早い……」


「その言い方、ちょっと他の人聞いたらヤバそう」


「……あ、そっか。ごめんなさい」


 せめてそこは『素早い』とかにとどめておいて欲しかったけれど、そこまで間違ってもいなかった気がするのでジョークに変えておくことにする。


「どこまで持って行く感じ? テニスコートでいいのかな?」


「あ、うん。そう……なんだけど」


 亜紀子は言いづらそうにこちらを見てきた。


「良いの? 音楽室とか戻るんじゃないの?」


「だいじょぶ、だいじょぶ。まだ昼休みの時間だし。行燈の方見に行くヤツらも多いから、今日はちょっと長めに取られてるんだよね」


 校舎に取り付けられている時計を見ても、まだ充分に時間はあるようだった。

 とくに気にするようなものはない。


「そーなんだ」


 ぽつりと言う亜紀子は、ちょっとだけ俯いて――。


「ありがとね」


 そして微笑んだ。


「いえいえ」


 こちらも笑顔を返しておくことにした。


「ホントにごめんね。そんなに持たせちゃって……」


「むしろ、そんな大量の荷物持ってる子を見て、ちょっとしか持たない男子の方がヤだからね」


 冗談交じりに亜紀子の申し訳なさを昇華してやれば、彼女も自然と笑ってくれた。

 そんなこと、なんて思うかもしれないけれど、何となく気持ちが落ち着かないというか、据わりが悪いというか。

 そういう心境になってしまう。


「吹部の男子ってデカい楽器を運ばされたりする機会も多いし、これでもわりと体力はある方だからね。まぁ、そもそも、サイズだけで案外重くなかったけどね」


「だねえ。あの……何て言うんだっけ。すっごい大きい太鼓っぽいの無かったっけ?」


「ティンパニ?」


「あ、そうそう。それそれ。何かそんな名前の」


 彼女の言うとおり、ティンパニなんかと比べれば雲泥の差だった。

 それ以外にも大型の金管楽器なんかはちょっとの移動でも重労働だったりする上に、万が一ぶつけたりなんかしたらと考える精神的摩耗もあるわけで。

 それと比べる必要なんて全くないくらいだ。


 校舎裏手へと続くちょっとした歩道をふたりで進んでいく。

 不意に会話が止まったことで、何となく思い当たるところはあった。


「なんか久しぶりだね」「なんか久々だよね」


「あれ?」「ん?」


 いつぞやもあったような同時発言の同時キョトン顔。ふたりで顔を見合わせて、そして笑ってしまうところまで前にもあったような光景だった。


「ここまでタイミング重なることってあるんだ」


「ね、びっくり」


 同じようなことを感じて、同じようなことを口にして。

 そして同じような反応をする。


 むずがゆいような、それでも何となくほっとするような気持ちになる。


「でも、結構こんな感じになるのって久しぶりだね」


「そうだね。……元気してた?」


「それってクラスメイトに言うコトバなのかな?」


「うん、きっと違うね」


 戯れるような言い合いに、心地よさのようなものを覚えていた。



久々登場の亜紀子さん。

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