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幼なじみの恋人は僕の友達 友達の幼なじみは僕のXXX 〜Crossroad Cantata (3) / Melancholic Minuet〜  作者: 御子柴 流歌
第2曲: アフロディーテ

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24/61

2-2-A. スタートダッシュ、たぶん成功

 途中で部活に顔を出す。

 一時間程度しか触れないとは言え、全く触らないとでは雲泥の差。

 しかも今日まではテスト週間でそれこそまともに触れない日が続いていた。

 指慣らしをするにはある意味では持って来いの一日だったかもしれない。


 楽器の片付けなど諸々の帰宅準備を終えた頃には六時を回っていた。

 今ならまだ片付けをしている時間だろう。


「おつかれさまー」


「あ、ミズキくん。行燈(あんどん)の方見てくるの?」


「一応ね」


「じゃあ私たちも行こうかな」


 和恵(かずえ)さんと早希(さき)もついてくるということなので、せっかくなので一緒に行くことにする。

 ウチのクラスの製作場所を知ってもらうのにも丁度いい。


 学校祭準備は六時で作業を終了し、六時半には完全撤収をするというルールになっている。

 もちろん、これに違反した場合はその違反者の頭数に応じて減点されるというペナルティがあった。


 部活に出る前には影も形も無かったテントの屋根がしっかり組まれている。

 作業用に配布されているLED式ランタンの灯りがまぶしい。


「おつかれー」


「おー、おつかれー」


 テントの幕をめくってすぐの場所にいたのは祐樹(ゆうき)だった。

 今日の野球部は基礎練習だけですぐに切り上げる予定になっていたことは、すでに祐樹から聞いていた。


「聞こえてきてたぞー、吹部の演奏」


「どの楽器の音かわかってんの?」


「わからん」


 自信に満ちあふれた即答だった。

 清々しささえある。

 こっちも敢えて訊いてみただけなので、どこにも問題は無い。


「でも、やっぱりイイな。カッコイイわ」


「お。ありがとうな。褒められるのはやっぱり嬉しいよ」


「ウチの部活の全校応援みたいなので吹いてもらいたいわぁ」


「……そうなぁ」


 今年の野球部は、どうなのだろう。

 残念なことに月雁(つきかり)高校野球部が強豪であったことはその歴史上ほとんど無い。

 二十年以上前に一度だけ地区予選を勝ち上がったことがある程度だという話らしいが、詳しいことは知らない。


「まぁ、そういう機会を作ってくれ……」


「おっつかれーぃ!」


「わ、びっくりした!」


「うっせえんだよ、お前は!」


「ひい! そこまで言うことじゃないじゃん!?」


 背後から現れた元気すぎる大輔(だいすけ)に、思い切り苦情(ディスり)の声がかけられた。

 突然の大声と考えれば、うるさいのは確かだった。

 ついでにボクと祐樹の話の腰を盛大に折ってくれてもいるので、それくらいのディスりは甘んじて受け止めて欲しかった。


「それにしても、けっこう出来たなー」


「予定通りだよな、たぶん」


 大輔がボクを見上げつつ訊いてくる。


「むしろ、ちょっと予定より進んでる気がする」


「お、マジか」


 祐樹が嬉しそうに答えた。


「いちばん太い柱になるのが三本、それが全部建っていれば予定通りって感じだから」


 見た限り、その柱に対して電飾パーツを付ける部分も出来ているし、バッテリーを配置する土台のパーツも出来ている。

 これなら明日以降の作業も大丈夫だろう。

 とはいえ、いちばんの敵は大雨などの気象条件だったりするので、予定より早く進むのは大歓迎だった。


「こうして、オレたちの長い夏がはじまりを告げた……」


「なーにカッコつけてんだい、っと」


「痛てっ!」


 ぱこん、と間の抜けた音が大輔の後頭部あたりから聞こえてきた。

 振り向けば、空になったやわらかいペットボトルで素振りをするすみれの姿があった。







 ちょっと短いです。

 後篇、Bパートへ続く。

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