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幼なじみの恋人は僕の友達 友達の幼なじみは僕のXXX 〜Crossroad Cantata (3) / Melancholic Minuet〜  作者: 御子柴 流歌
第1曲: プラネタリウム

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1-6-A. 察しの悪いヤツ


 今日の授業でやる部分の板書を一気に書き上げる生徒はそれをノートに書き留める。

 だいたいの生徒が書き終わったタイミングで授業というか、講義が始まる。

 これが小林(こばやし)銀二郎(ぎんじろう)先生のスタイルだった。


「あー、しんどい」


 あらかた書き終わったことを知らせる、いつものセリフ。

 少し白髪は混じってきている感はあるものの、そこまで老いているわけではない。

 まだ四十代前半。

 野球部の監督も務める小林先生――通称・銀ちゃん先生は、いつも嫌々渋々板書をする。

 怠そうに書いているわりには字が綺麗なので、こちらとしては助かるけれど。


「ポータブルのプロジェクター、入れされてくれないかねえ……」


「さんせー! せんせー、それさんせー!」


 チョークが黒板と擦れ合う音に混ぜ合わせたぼやきのようなつぶやきに、やたらと大きな声で反応したのは大輔だいすけだった。


「賛成してくれるのは嬉しいんだが、お前がそれをノートに書き取る作業は減らんぞ?」


「……ん?」


 キョトンとする大輔。


「先生の手間は減るけど、オレらは変わんなくね?」


「……んん?」


「いや、解れよ」


 ツッコミの集中砲火を受けても、大輔は今ひとつピンと来ていないらしい。

 結局、大輔以外の全員が再びノートへと向かい、銀ちゃん先生は椅子に座って休憩をし、大輔だけが首を傾げ続けていた。

 もしかして、データで貰えるとか思っていたのだろうか。

 もしそうなるとますます講義っぽさが増してくる気はするけれど、だったら生徒全員にパソコンとかそういうタイプのモノを配布して欲しいところだ。


 だいたいの生徒が書き終わったあたりで、今日の講義がスタートする。

 シャーペンと緑のボールペンは手に持ったままで聴くのが自己流。

 シャーペンはメモ書き用、ボールペンはアンダーラインを引く用だ。

 書くときはギリギリ判読できる程度にして、基本的には速度重視。

 そうしておくとその雑さ加減に後から絶対に書き直したくなるので、その時に改めて覚えることもできるという算段だった。


 時折年相応の親父ギャグを混ぜたりしつつ、六十五分一コマの授業が終わる。

 さすがに書きまくって腕が疲れている。

 腱鞘炎になっても困るので、少しストレッチのようなことをしてみる。


「みずきー!」


「ん?」


 ちょうど背筋を伸ばし終えたところでこちらに向かってきたのは祐樹(ゆうき)だった。

 大輔もいっしょのようだ。

 金魚のなんとやらの如く、くっついてきている。


「えーっと、ですねえ」


 何やら言いづらそうな雰囲気をこれでもかと見せつけてくる祐樹の手には、何も無い。


「祐樹? ま・さ・か、とは思うけど……?」


「ごめん、今日一日!」


「あ、持ってきてはいるんだ」


「そこら辺は大丈夫だ」


 なら、一安心。


 今回祐樹は、自主的にボクのノートを書き写すというテスト対策に打って出ていた。

 先週からいくつかに分けてノートを貸しているところだ。


 この前のようにコピーを取る作戦は、財布に拒否されたとやらで断念している。

 たしかに学年末考査のときは何も言ってこなかった。

 あれは恐らく後期中間考査でのコピー費用が思った以上に祐樹の財布を痛めつけたに違いなかった。


 しかし、背に腹はかえられないとはまさにこのことらしい。

 祐樹にしては先手を打ってきたと言って良いくらいのタイミングで「ノートを見せてくれ」宣言をしてきていた。


「だったら別にホームルームまででいいよ。慌てて間違って書き写して、結果『テストで間違えて覚えたまま書いちゃいましたー』なんて話は聞きたくないからな」


「神様、仏様……」


「おう、崇めろ崇めろ」


 とりあえず奉ろうとする神輿には乗っかっておくことにした。



 この板書の取り方は実際に筆者がやっていた方法です。

 割とオススメです。

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