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ぼくの詩集

ダメだあ

作者: 桜井あんじ

だめだあ

だめだあ

もうだめだあ

あああ


ぼくには なにもない

あれもない

これもない

あのひとがもっている

あんなものや そんなもの

ぼくには なんにもない


ぼくは なにもできない

あれもだめ

これもだめ

ほかのひとが できること

ぼくには なんにも できない


ああ ぼくは だめだ!

こんなぼくじゃ だめなんだ!


なんでもてきとう チュートハンパな なまけもの

そのくせ屁理屈言い訳だけは大得意


いったいぼくは 

いつからこんなに だめだったのか

生まれたときからか

じゃあやっぱ だめじゃん


死んじゃえ 死んじゃえ

ぼくなんか 死んじゃえ

どうせ だめなんだから


ああ もっとなんか

だめじゃないひとに なりたい

あれももってる これももってる

あんなことや こんなこと

ちゃんとできて

ぜんぜん だめじゃない

しかも だめなひとにも やさしい

そんな だめじゃないひとに なりたい


あああ

こんなこと言ってる時点で

だめなんだあ

だめじゃないひとは

だめだあ とか

言わないに ちがいない


よし ごはんをたべるのだ こんなとき

おいしいものを たべるのだ

そして げんきをだすのだ

ちょうど 夕飯のじかんだし

だけど ああ

めんどくさい

作るのも 買いにいくのも

めんどくさい

だめなぼくの冷蔵庫には 何度のぞいても

ろくなものがない 

だめ

もういいや アイスで


アイスはすごいよね

だめじゃないよね

こんなに つめたくて おいしい

みんなだいすき チョコアイス

ぼくも アイスになりたい

たくさんたくさん アイスをたべたら

いつか アイスみたいになれるかな


ああ やらなきゃいけない

あれも これも それも

でもなんかもう

生きてるの自体 めんどくさいな

そんなにがんばったところで

どうせ だめなんだし


みんな なんであんなに

だめじゃないんだろう

どうしてぼくだけ だめなんだろう

不公平じゃん

だけど

みんなほんとに だめじゃないのかな

じつはみんな だめじゃないふり してるだけ

なんて

だったら いいな


雨が 降ってきたよ

ダメなぼくの上に シトシトとアメの降る

なんてね

だめな天気 雨

ぼくは 雨は すきだ


だ め だ

だ め だ

だ め だ

こんなことじゃ だめだ!

しっかりしなきゃ

ちゃんとしなきゃ

危機感を もたなきゃ

ぼくは だめだ!


だけど

なんかだんだん

きもちよくなってきたぞ

よければ みなさんもごいっしょに どうぞ


だめだ

だめだ

だめだ

ぼくは わたしは だめだ!


だめだ

だめだ

ひたすら だめだ


だめだ

だめだ

ほんとに だめだ


だめだ

だめだ

ぜんぜん だめだ


だめだ だめだ

もうだめだ


もう だめでいいや なんて


よしこうなったら

とことん 考察してみるのだ

なにがだめか

どうだめか

だめじゃなくすることは できるのか

どうすれば だめじゃなくなるのか


だがしかし

考察の末

やはり だめなものはだめと

結論がでました


あああ やっぱり だめじゃん

だめなんじゃん

ぼくなんか

なにがだめとかじゃなくて

もうなんていうか 根本的にだめ


この先も きっとだめ ずっとだめ


なんて

なにがいちばんだめかって

口先で だめだめ言いつつも

ほんとうは どこかすこし

きぼうをもってること

こんなぼくも

すこしは いいとこあるさって

だめじゃないって

だ か ら だ め な ん だ よ !


そんなだめなぼくを

ぼくはけっこう 愛している ことなのです

だ か ら だ め な ん だ よ !


中途半端な絶望と希望の間にぶらさがって

蓑虫みたいに

ぶらあん ぶらあん

だめなまま


だがしかし

ぼくはちょっと空想してみる

だめじゃないぼくを


あれもこれもすべて

もってるぼく

あんなこともこんなことも

ちゃんとできるぼく

そんなぼくを ぼくは

容易に想像できます

しかし

それでこころみたされているぼくを ぼくは

想像できないのです

だめじゃなくなったぼくも やっぱりだめだめ言っている

けっきょく どこまでいっても ぼくは

だめなのでしょう


ずっと 蓑虫みたいに

ぶらあん ぶらあん ぶらあん

だめなまま

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