雑兵
「助けて」
やっとの事で出した声は、
だれかに気づいてもらうにはあまりにもか細かった。
そもそも、彼の他に動く者はいなかった。
横になったまま、頭だけ持ち上げ、掠れた声で男は吠える。
「このまま、終わりたくなんてない。」
辛うじて味方のものだとわかる、引き裂かれてボロボロになった戦旗だけが、風に吹かれて揺れている。
額から流れる血がそれを赤く染めて見せた。
「まだ、何もできてない。」
今度は、赤が滲み、薄くなって、歪む。
「嫌だ。」
ズルリ、と
立ち上がろうともがき、濡れた地面を這いずる。
「っっっ……!」
うつ伏せになろうとした彼を腹から突き出たつかが邪魔した。
片手でそれに触れながら、もう片手を地面につき、どうにか上半身を起こした。
そのまま、地面に座り込んだ。
男は自分の腹から生えたそれを虚ろに眺める。
両手をかけ、前へと引く。
ズルリ、と
紅く濡れた刀身が現れ、鈍く光る。
今度は刀身を掴み、もう一度引く。
両の掌に、小さな痛みを感じた。
もう一度掴み直し、引く。
「っっ………はっ………ふはっ………。」
ようやく抜けた刀見て、男は安心したように笑った。
彼を中心に、血溜まりは広がっていく。
男は笑っていた。
何処からか飛んできたコオロギが、その顔の頬のあたりにとまった。
男は笑っていた。
誰か読んでくれえええぇぇぇぇ
そしてコメントくれぇぇぇぇぇぇ