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Arms Creator-アームズ・クリエイター  作者: 御子柴奈々
最終章 Arms Creator-Re:who I really am
119/151

第118話 一ノ瀬詩織:追憶 2



「やぁ、詩織」

「……なに、D-7」

「やだなぁ、そんな態度はないでしょう? 兄妹なんですから」

「あなたみたいな兄は持って覚えはないわ」

「七条歩、出会ったみたいですね」

「それが?」

「どうして関わるのですか。君はあの計画を忌み嫌っていたはずだ。なら、彼に関わる必要はないでしょう?」

「……放っておけないの」

「D-projectは彼を手放さない。理想アイディールの目的からも、彼は必要な人材だ。君も、理想アイディールの『メンバー』なら分かるだろ? 私たち3人は運命共同体だよ」

「……そうだけど。彼には、歩くんには自由に生きて欲しい」

「無理ですねぇ。彼はもう手遅れだ。Dの因子は確実に彼をむしんでいる。第七聖剣セブンスグラディウスを創った結果からそれは明らか。彼が完全到達者になる日は、もうすぐですよ」

「そう……そうよね」

「で、優勝はできそうですか?」

「……」

「大丈夫そうだね。じゃ、私は行くよ」



 スタスタと去るあの男を見て、私はなんとも言えない気持ちになる。


 世界大会の決勝はもうすぐだ。ここまで難なく勝ち進んで来た。そう、昔の自分ならありえない快挙だ。きっと、高校時代の同級生や先生……他にも昔の私を知る人は驚いているに違いない。でも……この力は決して……私の力ではない。私はそれを知ってしまっている。



 Designer Baby of Creator Project


 七条総士が夢見た理想の計画。それから3人の成功例が生まれた。


 D-7

 D-9

 D-12


 この3人こそが、クリエイターを超えるクリエイター。それを知ってしまった時から、私の人生は大きく狂ってしまった。



 今思えば……きっと、世界に旅に出たのも何かの因果だったのかもしれない。



 § § §



「疲れた〜。早く寝たーい」


 高校卒業後、まずはヨーロッパに来た私は住み込みのバイトを見つけてなんとか生活していた。でも、それがなかなか大変で毎日すごく辛い。



「……一ノ瀬詩織さんですね?」

「ん? あなたは?」


 すらっとした身長に、長い髪。一瞬、女性かと思ったけど声から察するに男性なのはすぐに分かった。


「申し遅れました。私は、D-7。あなたの兄ですよ、D-9」

「D-7? D-9? なんのことですか……」

「……ふむ。私を見ても思い出さないと。ねぇ、一ノ瀬さん。あなたはどこで生まれましたか?」

「日本の東京ですけど……」

「家族構成は?」

「父と母だけです」

「ふむ。で、それがまやかしだとしたら?」

「はぁ……そうだとしたら、私は誰なんですか?」

「Designer Baby of Creator Project、通称D-projectの最高傑作の一人ですよ」

「……待って。覚えがある……そう施設で、博士が……」

「おや、思い出して来ましたか」



 男の声はすでに聞こえなくなっていた。



 私は家族とずっと暮らして来た。幼稚園、小学校、中学校、高校。全てしっかりと覚えている。友人もずっといた。ずっと、ずっとあの場所で育って来た普通の、普通の……ふツウの……



 アれ? 私はダれ?



 別のキおくが……?



「あああああああ……あああアァァァアアあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ‼︎」



 痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。



 アたまがサけソうだ。


 脳が、頭がイたい。



 裂ける。裂ける。裂ける。裂ける。裂ける。裂ける。裂ける。裂ける。裂ける。裂ける。裂ける。裂ける。裂ける。裂ける。裂ける。裂ける。裂ける。裂ける。裂ける。裂ける。裂ける。裂ける。裂ける。裂ける。


 ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃに。



「あああああああ……ああああああ」



 目からは血涙が、そして……私の全身は『真っ白』に変化していた。



「完全到達おめでとう。やっぱり君も、最高傑作だよ。D-9。いや、今は詩織だったね」



 ニッコリと微笑む彼を見て、私は思い出していた。同じ研究所にいて、同じことをしていた個体。いつもニコニコ笑っていて気持ちが悪いと思っていた。



「……D-7。あなたは……まさか……」

「詩織、君はこっち側の人間だ。一緒に行こう。『俺たちは』、世界の変革者になるんだ。意味を与えよう、人間に……クリエイターに」



 スッと優しい顔で微笑む奴の手を……私はしっかりと握り締めた……

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