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Arms Creator-アームズ・クリエイター  作者: 御子柴奈々
最終章 Arms Creator-Re:who I really am
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第112話 七条歩:追憶 5



 歩はいつも通り養成所へ向かっていた。今日は椿とは一緒ではなく、一人で向かっている。そして、その道中で詩織の決勝戦の試合を見ていた。彼女は見事に世界大会を制した。圧倒的な力を見せつけて、死闘というべき戦いに勝利したのだ。



(やっぱ詩織さんは凄い……凄すぎる、ワイヤー使いであんなにも強いなんて。それに決勝で見せた、あの白くなる技……きっとクリエイターというのはあの人のことを言うんだろうなぁ)



 興奮しながら、何度も何度も繰り返し決勝戦の映像を見続けた。憧れはある。でも、あの人を超えたいと言う想いも強くなっていく。そう考えていると、いきなり話しかけられるのだった。



「……すいません、ちょっと道をお尋ねしたのですが」

「え……は、はぁ。どこに行きたいんですか?」



 前はしっかりと見ていた。ちょうど、デバイスから顔を話して前方を確認したかったからだ。しかし、だと言うのに目の前の人間はいきなり現れたように見えた。まるで自分の意識の底から現れたような、無意識の外側からやってきたような妙な感覚。



 さらに、この時代にはデバイスを使えばどんな人間でも道に迷うことなどはありえない。視覚情報や聴覚情報のアシスト機能があれば、確実に目的地にたどり着けるからだ。



 そのことも疑問に思うも、デバイスが壊れているのかな? などと思いながらまだ無垢な少年であった歩は親切に目の前の人間に対応する。



「えっと、そこなら……この先の信号を右に曲がって、そのまままっすぐ行けばいいですよ」

「なるほど……ありがとうございます」

「……何か?」

「いえ、君は……やはり完成されていますねぇ」

「は、はぁ……?」



 道は伝え終わった。ならばもう用はないはずだ。だと言うのに、目の前の長髪の男はじっと見つめてくる。男性とも女性とも思える中性的な容姿に、腰まである長い髪。初めは女性だと思った。しかし、声が男性のものだったのでそれで性別を判断することができた。現代ではジェンダーレスが進んでいるので、特に何も思わなかったがこの人はどこかで見たことある気がした。



「あの……どこかで会ったことありませんか?」

「おやぁ、覚えているのですか?」

「何となく、どこかで会ったような気がして」

「そうですね。会ったことはあります。それに、君と私は同じ存在だ

「……同じ存在?」



 奇妙なことを言われるが、それがどうにもシックリくる。さらに、この人の話はなぜかのめり込むようにして聞いてしまう。



「私は、D-7。君は最後の存在である、D-12。このD-因子こそ、君と私を繋ぐものですよ?」

「D-12、D-因子? 何ですかそれ?」

「やはり……ですか。少し、思い出してもらいましょうかね」



 男がスッと手を掲げると、歩の意識は別の世界へと誘われるのだった。



 § § §



 鮮血。目の前の人間が、自身の振るうナイフによって切り裂かれ……血だまりに沈んでいく。まだ5歳に満たない少年は淡々とその様子を見ている。



「××の反応は良好」

「やはり、最高傑作は××か」

「××もいいですが、やはり××ですね」

「残りの個体はどうします?」

「××と××以外は処分だ」

「わかりました」



 真っ白な部屋の上の階で、ガラス越しに何かを話しているのは分かるが……少年はそんなことはどうでもよかった。ただ、殺したかった。殺人衝動のみが彼の生きがいだった。朝起きて、人を殺して、ご飯を食べて、寝る。それだけが彼の知りうる世界だった。



「やだ……やめてくれ……殺さないでくれッ!!」

「……」



 そのうち相手を痛ぶることも覚えた。目の前で大人が命乞いをするのは非常に哀れだと思うと同時に、興奮した。相手の命は自分の手のひらの上にある。その感覚が妙にたまらなかった。



「……爪」

「は??」

「剥がしてもいい?」

「やめてくれ……やめてくれえええええええええッ!!!!」



 すでに男の四肢の神経は切断されており、身動きすらできない。しかし、痛みはしっかりと感じる。少年はこの男はどこまで耐えられるのだろうと思い、そのまま小さなナイフで器用にぺりぺりと全ての爪を剥いでいく。



「ぎゃああああああああああああああッ!!!!」



 こんな声で鳴くのか。そんな程度の感想だった。これなら女の鳴き声の方がいいな。そんなことを思うだけだった。


「……次は目を抉り出すね」

「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

ッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」



 こうして男は、ショック死するまで少年に拷問され続けた。



 血溜まりの中で、自身に付着している血を拭い去る。真っ白な髪は先ほどまで血で真っ赤に染まっていたが、今は時間が経ってきて少しだけ黒く凝固してきてる。



「……」



 そして、少年は白い部屋を出ていくのだった。


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