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眠姫(スリーププリンセス)  作者: シエラ
2/5

第1話「感情界」

『私はまだ、待っているのよ。』



PM 23:00

夜もすっかり更けて、俺はベッドへと寝転がった。オカンから言われていた皿の片付けや猫の餌やりもきちんと終わらせ、明日の学校の為にもう寝ようと思って目を閉じる……


『ピロリーン』

すると、俺のスマホからメールの受信音が聞こえて俺は枕元のスマホを取り、メールを確認した。

【差出人:友也 件名:暇か? 本文:よぉ永遠、まだ起きてるか?俺はもう寝るんだけどよ、永遠は話題のことが気になって寝られないんじゃないかと思ってメールしたんだ。明日も学校あるから早く寝て、遅刻するなよ?】


「余計なお世話だ……」

昔から友也はこういう心配してくるようなメールをしてくる、まぁそれはありがたいのだがそろそろしつこくなってきたのも本音であり、俺は【件名:暇じゃない 本文:俺ももう寝る、話題のことなんか気にしてねぇよ。俺も子供じゃねぇんだから心配するんじゃねぇよ馬鹿野郎(怒)】と打ち込みすぐに送信。そしてスマホを再び枕元に置くと、今度こそ俺は眠りにつくのであった……



AM???


「ん、んぅ……?」

どれくらい時が経っただろうか、俺は目を閉じたまま寝転がっていた。起きているのかも寝ているのかもわからないこの状態のなかで俺はゆっくり体を動かす。

「これは……なんだ?」

なんだか金属のように冷たいものに触れた、これは棒か?と思った束の間、俺の手に痛みが走る。

「いでっ!!」

痛みのおかげで驚いた拍子に目を開けることが出来た俺は、目の前の光景に我を失った。


「な、なんじゃこりゃー!?!?」


俺が寝ていた場所は…まるでRPGにありそうな『天蓋のついた漆黒のベッド』で、俺が触ったものは『鞘のない剣』だったのだ。



AM???


「つ、剣……?」

俺はまた怪我をしないようにと、きちんと柄を持って剣を持ち上げた。それは勇者が持っていそうな剣とは少し違って、刃も柄も濃い紫の……例えるなら【外国版の妖刀】と言ったところだろうか?

そして、この時に気づいたのは……【俺の見た目が黒髪の緑目の青年】になっていること。

普段の俺は【焦げ茶髪に黒目の日本人】なのに、今は明らかに外国人っぽい顔をしている……これは、本当に俺なのか?



『あ、起きたか?』

「!?」

知らない声がいきなり聞こえて当たり前のようにびっくりする俺、声がした方に視線を向けるとそこには……RPGに出てきそうな『青髪で黒い眼帯をした青年』が立っていた。

『あっ、驚かせてしまったか。僕は【イスカ】って言うんだ、よろしく!』

イスカと名乗る青年は俺に握手を求めてきた。まぁ、断る理由もないからイスカの手を握る。

「俺は……」

んー、ゲームの流れで行くとここは偽名、というかニックネームを付けるんだよな。何にしようか……無難にいつもの名前にするか?

「俺は【ナギ】だ、よろしく」

『よろしくナギ!』

【ナギ】ってのは、俺の持ってるゲーム全部に使うキャラ名で、意味は特になし。



AM???(5分後)


「でさ、イスカ……この世界はなんなんだ?」

『ここは感情界、【人間の感情が擬人化された世界】さ。』

感情界?感情を擬人化?ますますゲームっぽいぞ、おい。

『ナギはこの世界の住人…ではないよね?』

「あぁ、俺は人間が住んでる世界の住人だ。」

『不思議だな……なんでナギはこちらの世界にこれたんだ?』

どうやらイスカにも、この状況が分からないらしい。ひとまず俺は学校での噂の話題や、寝た時のこと、その他もろもろを説明する。そうしないと話がなおさら謎になるからな……


『つまり、ナギだけじゃなくて、学校の生徒たちもこの世界に一時的に来ているのかもしれないのか……』

「そうなるよな、俺もここにいるのは噂のせいだろうし……」

2人で悩むこと数分、俺達はお互いの顔を見合わせて……


『では、他の生徒たちを見つけて情報を集めようか!』

「お、おお?」

イスカは即刻俺の手首を掴んで部屋を飛び出した。その後ろ姿はどこか、俺の友人を見ているようだった……

次回予告:感情界をイスカと探索する永遠は、人見知りながらも彼なりに努力をする。はたして、彼の努力は無駄にはならなかったのか?


次回、第2話「探索」

お楽しみに。

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