プロローグ「新たな話題」
眠姫
『私は何故ここにいるのでしょうか?』
私はいつも1人。
私が見る光景は「夕焼け空と夕焼けに照らされた海」だ。それ以外は浜辺の別荘くらいだろうか……
ひとりは寂しい、それは誰でも分かるでしょ?私だってひとりは嫌よ。悲しくなる……
だからね、神様にお願いするの。
『私に友達をください』って。
AM8:40
「よぉーし、遅刻回避……!」
俺は『春紅 永遠』、今年で高校3年生だ。今日は4/8の新学期で、俺は危うく遅刻しかけたというのが現状である。
「まーた遅刻ギリギリに来るとか、どんだけアホなんだよ。」
俺にアホとか言ってくる奴が【自称:真面目】な『西谷 友也』、ここにいるってことは去年同様に同じクラスという事なのだろう。全く、俺は悪運の持ち主なのか……?
AM11:00
始業式とホームルームが終わり、俺は誰もいない教室で窓の外を眺めた。家には誰もいないから帰っても退屈なんだよな……
「あ、いたいた。永遠、まだ帰らないなら話聞いてくれよ?」
ここで友也が教室に入ってきて、俺は友也を見る。友也は珍しく目を輝かせていて、まるで子供のように見えた。この年で子供に見えるとか幼いよな……。
「で、なに?【子供に戻った友也】くん?」
「子供は余計だアホったれ!……じゃねぇや。永遠、この学校で面白い話題が出てるみたいだが知らないか?」
……はぁ?話題?俺は人と関わることが少ないから話題なんて何も知らなかった。その分俺とは違って、人見知りのない友也は情報屋かのようにすぐに人気の話題や情報を俺に伝えてくる。まぁ、それのおかげで俺は流行遅れをしていないわけだが。
「話題?なんだそれ?」
「それがさ、この学校の学生の3分の1が同じ夢を見たんだとさ。」
「同じ夢?よくある話だろ?」
「3分の1が同じ夢を見るなんて滅多にねぇよ!で、その内容なんだが……どうやら【まるでRPGの世界みたいなところで知らない人と戦う夢】なんだとさ!」
「……ほへー。」
「反応うっす!!」
なぜ俺の反応がこんなにも薄いかというと……
「俺さ、ゲームは『ほのぼのしてるアドベンチャーゲーム』が好きなんだわ。」
………数秒の沈黙。まぁ、それもそうだろう。俺は友也に好きなゲームジャンルを教えていなかったのだから。
「はぁ!?永遠ってそういうの趣味なのかよ!?うわマジ乙女ー!!」
「うるせぇわ馬鹿野郎がー!!」
俺の暴言と共に、俺の拳が友也の腹へと命中するのであった。
次回予告:学校で話題の夢を信じない主人公永遠、しかし彼はその夜に謎の夢をみるのだった。
第1話「感情界」、お楽しみに。