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5話

しばらく待っていると、青年が連れてこられた。黙ったままで複雑そうな顔をしている。こんな小娘が主人なのだから、心中お察しします。申し訳ない。


「さて、この石に手をかざして頂ければ、登録完了になります」


商人に言われるまま、手渡され石を掌に載せて、もう片方の手をかざす。そうすると、石が黒く光りはじめた。光が収まると、私の髪と同じ色の石になっている。


「この石は奴隷と主の魔力が込められたものになっていまして、こうすることで契約を結ぶことができます。あとはこの石を奴隷に身に付けさせれば奴隷はお客様に逆らうことはなくなります。石は一般的に身に付けるものに加工しますが、何かご希望はありますでしょうか?サービスということで、お好きなものに致します。首輪がメジャーですが……」


システムよく分からないけど、とりあえずこれでこの青年は私の仲間になったようだ。あと、私はそういう趣味はないので、首輪はご遠慮したい。


「腕輪でお願いします」


とりあえず無難なものでいいだろう。ということで、腕輪をお願いする。



そうするとすぐに銀色の綺麗な細工が施された腕輪が用意され、石を嵌めてから青年に付けさせた。対応早すぎだし、さっきと態度違いすぎだし。現金な人たちだ。



「この館は特殊な魔法が仕掛けられていますので奴隷が反抗することはありませんが、ここから出ればお客様の比護下になりますので、問題が起こらないよう先にある程度命令をしてから出るのをお勧め致します。この部屋はしばらくお貸ししますので、満足されましたらご退出お願いします」


商人はそう言って、ささっと部屋から出て行ってしまった。青年と二人きりになる。しばらくこの部屋にいていいので、お言葉に甘えることにする。



「初めまして、私はマリア。貴方は?」

「…………アルベルト」


ふむ、名前はアルベルトというらしい。というか、聞かなくてもステータス確認できるのだった。ここは安全か分からないから、宿に帰ってから確認しよう。まあ、それでも突然個人情報を知っていたら怪しいから、ある程度は聞いておかないといけないけど。


「いくつ?」

「23歳」

「あ、年近いね」

「そうか」

「うん」


…………会話が終わってしまった。そうだ、命令をしておいた方が良いのだった。しばらく考えて、ひとまず三つだけ言っておく。


「命令だけど、

一つ、勝手に死なないこと。

二つ、勿論だけど私に害を為したり殺したりしないこと。

三つ、貴方は私の冒険の仲間になること。

とりあえずお願いしたいのはこれだけ。あとは宿に帰ってから言うね」


よし、これで問題ないだろう。もう遅いから、宿に帰ってご飯を食べて寝るだけだ。



「じゃあ、宿に行こうか。これからよろしくね、アル」

「…………」

「アルベルトだからアルだよ。だってアルベルトって長いでしょ」


ね?と首を傾げると、アルは分かった、とだけ返事をした。うーん、もう少し反応がほしいけれど、今は警戒されているのかもしれないな。仕方ない。



そんなアルを引き連れて、宿へと帰った。


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