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口裂け女の子ども~ひきこさん

「口裂け女」事件から10年は立つ。大知は途方に暮れていた。面会時に会える姿がわからない妻が残した子どもをどう育てるか。ましてやパニック障害なので、子どもを育てたことには奇跡を覚える。大知は一人っ子なので両親からのサポートが頼りだった。その両親も頼れない、ケアを有する老人ホームに入っている。あそこの給食は不味い。何が入っているかわからない味だ。給食を作る側の人間としては、調理師ではなく栄養士がメニューや食材を決めるので、調理師はあくまでその食材のうま味を最大限まで出すことを必要とする。しかも、調理法など国が指定してるので、美味しい料理が作れる訳がない。だが、老人の舌がどれだけ肥えてるかわかったもんじゃない。大知の両親は戦後の食べる飯が恵まれない時代の人なので、料理には文句を言わない。不味いと感じるのは、大知だ。目が見えない変わりに味をよく研究できる。なので、料理の評論家である。評論家は屁理屈をただ言うだけでカネが貰える。職人たちがもっとも嫌う人間である。職人たちと評論家の意地の張り合いはまるで冷戦だ。それゆえ、大知は己を忘れて暴れる性格は酷い。パニック障害なら尚更。

その年になると、妃姫子も物事を考える時期でもある。しかし彼女も父親の顔色を窺うようになり、自分の心の闇を言えないのだ。その闇を抱えて学校に行く。毎年あげるバレンタインのチョコは男子たちには人気である。妃姫子は学校のマドンナ的にかわいらしい女の子だ。その光景を見て、嫉妬する女子は多い。登校時に上履きを隠されることは日常茶飯事。体操服が入った可愛い体操袋は、学校給食によく出るカレーや魚の煮付けの煮汁等を喫食時間(※給食では二時間以上をいい、その時間を越えると食べてはならない決まりである。)を過ぎて濡らされるので、腐敗臭等もきつい。登校して机の上に百合や吾亦紅などを綺麗に花瓶に活けて、置いてある。教科書類はカッターでズタズタだ。それを見かねる先生はただ事とは思わず、妃姫子を中心に犯人探しをする。それだけではなく、妃姫子自身は優等生でもあるので、よく思っているのだ。それを見て、また嫉妬も激しさを増す。

ついに事件は起きた。妃姫子は、女子に集団暴行された。かわいらしい妃姫子の顔が醜くなるまで。男子は活発な行動をするので、妃姫子への苛めは遊びと思って一緒に苛めた。最初は、冗談のつもりかもしれなかった。学校も対応するが、子どもの苛めは限界を知らない。学校でも追い付かない。妃姫子は苛めにも耐えるが、家ではパニック障害のやかましい評論家がいる。しかも妻のこともあり、我慢しろと強要して、妃姫子を慰めるどころか虐待するようになった。学校での苛めが酷いため、気を失うことも多くなった。まるで麻酔を打たれたように痛みもなく、長時間眠り続ける。気がつけば両足が縄で縛られているではないか。起き上がろうとすると両手も縛られている。すると、男子が「ひいきの妃姫子、引っ張ってやるよ!!」と言い妃姫子の脚を持った。体をくねらせ逃げようとするとすごい勢いで引きずられる。段差のある階段もお構い無く引きずられる。頭や顔は傷だらけで、起き上がるのも無理があった。先生に見つかると、 縄をほどき、車で病院に連れて行く。その間に学校は同級生たちのいじめを対応する。妃姫子のなかで何かが壊れたのだろう。家に帰してと言う。先生は病院に急いだが、妃姫子は車のブレーキを強く踏んだ。むしろ動く脚が痛みと言う麻酔で反発力を忘れさせ、ただ踏んだだけかもしれない。先生はこれ以上何をされるかわからないために安全を優先して、妃姫子を家に帰した。もちろん親にはいじめの報告をしている。そしていじめ事件だが、教育委員会によって揉み消された。また家では、酒を飲むようになった酒癖の悪い父親の虐待に代わる。妃姫子は部屋に引きこもる。部屋には、顔の知らない母親と生まれた時に一緒に撮った写真が飾ってある。勉強机とベットはおいている。そろそろご飯だ。だが父親のことだ、飯など用意なんてしてくれない。なぜか妃姫子は涙が出る。その涙を飲んでいる。そういう時に限って蜘蛛やゴキブリは見つけやすい。人間として自分は、失った。日本なら害虫などは食べられない。だが自分は食べる。それで飢えをしのいでいた。身体も洗わず、腐敗臭もするので、ハエやノミ等も集まる。それももちろん食べる。人間を失った妃姫子は「餓鬼」に落ちた。

何日、いや何ヵ月たっただろうか、大知は妃姫子の様子が気になる。妃姫子の部屋を覗くと、凄まじいまでの臭い。妃姫子の名を呼ぶ。「ヴ~」と声が聞こえる。見えないが、妃姫子の声だ。よく生きてるものだ。たまたま懐にある100円のおにぎりとリビングから水を申し訳ない程度に差し出した。ゆっくりと近づく何かは、そのおにぎりと水を貪る。父親は妃姫子だと確認すると、部屋をあとにした。すると妃姫子は母親と父親の思い出のハサミを見つけて、それを手にとり、唯一の肉親とも言える父親の首を斬った。溢れ出る血を飲み干した。近所に家も施設もなく、人通りもないためその死体は床下の闇に葬られた。

久々の外だ。霧が強く雨が降っている。脚を引きずって歩くと、少し自分がはやく感じた。川原に差し掛かると、可愛いヒキガエルがいる。自分が人間であることを思い出すように歩く。どこかの体育館で声が聞こえる。「ヒッパレー、ヒッパレー」と聞こえる。どこかの団体が綱引きをしている。ヒッパレの言葉に激しい激痛が走る。それを見ていた団体の一人である高学年位の子が不思議そうに歩み寄ってくる。妃姫子がその顔を見ると、虐めていた男子の一人ではないか。しかも体育館の目立たない隅なので、好都合だった。その男子の脚を掴むと、同時に勢いよく引きずる。男子は叫ぶ間もなく消え去る。外は霧もある上に雨なので人は少ない。なので余り目立たない。ふと歩道橋見える。そこには同じ歳ぐらいの男子が見える。学校帰りだ。ランドセルを背負い傘で視界が狭い。その少年と目が合う。少年は逃げるが、妃姫子も後を追う。そのとき、とっさに「私は醜いか~!」と叫んだ。少年を見失って、先程の男子がどうなってるか見に行くと引きずられたためにひふから骨が見える。それを家に引きずり帰る。そして床下を外して投げ入れる。また雨の強い日に外を出ると、男の子が虐められているではないか。その主犯の男子を引きずり殺し、また家の床下に棄てる。毎日それの繰り返しだ。復讐にかられるひきこさんは、それを忘れぬために醜い自分を傷付けた。

ある小学校を見つけた。その窓には、先日見られた少年がいる。三人で集まっていた。雨の激しさが増した。その少年を見るなり追いかけた。大きい学校なので、先生に出会うことが余りなかった。探し回って見つけた。先日の少年である。トイレの隅に追い詰めると、少年を強く押し倒して脚をつかみ引きずる。おそらくこれが最後の殺人である。それが町なのか、学校なのか定かではないが、ついに見つかった。家に帰るとひきこさんは少年の死体と床下から出てくる他の死体に油をまいた。警察は家にくる。ライターをつけた時に、警察がきた。警察はひきこさんをなだめるために必死に声を出した。そのなかには終身刑の由のことも。しかしライターは死体につけられ一瞬にして、家は燃え上がる。燃え盛る炎は何を訴えるのか…

由にすべての通知が届く。由は発狂して、殺してくれと嘆く。すべての事件は、差別から始まった。政府はこの問題を対応している。

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