出会い
午前の授業が終わり昼休みとなった。
私のクラスでは日常となってる光景だが、今日も沙夜は絶好調だった。
まず数学の時間に消費税が入った金額を計算する小学生レベルの問題で商品が何故か50%OFFとなった。次に音楽の時間、沙夜が歌った瞬間に電信柱にいた雀が数匹プールへと墜落していくのを確認。日本史ではペリーが関ヶ原の合戦で宮本武蔵と相打ちになり死んだ。
ほんと沙夜は色々な意味で凄い。
「ひなっち~お昼にしよう!」
「いいよ、ちょっと待ってね弁当準備するから」
「ひなっちの今日のお昼は何かなぁ~とても楽しみだよぉ~」
「ごめん沙夜、台所に弁当忘れてきちゃったみたい。購買で何か買ってくるから先食べてて!」
「たまに少し早く登校してきたと思ったらこれですかい。いってら~」
そして私は教室からもっとも離れた購買まで行くこととなった。
購買までは同じ学校内だというのに歩いて10分もかかる位置にある。私の学校は1年の棟、2年の棟、3年の棟、そして購買や体育館に繋がる特別棟という順番になっていて棟と棟の間には渡り廊下がある。昼時にはなったが1年の棟の渡り廊下を通っているのは私くらいだった。私が高校に入学してもう2か月はたつが昼時にこの廊下を通る1年が少ない理由は簡単だ。購買に行くには全学年の棟の通る事となるため、上級生のクラスの前を余り通りたくない生徒が来ないというのが1つ、そして大事な昼休みの時間を行き帰りで20分も消費したくないという点である。そして私がついた時には私が買える購買のパンの種類はとても少ないだろう。
2年の棟に入る寸前、突然の声に足を止めてしまった。
「君もこれから大変そうだね」
「えっ?」
今まで話したことのない女生徒である。
髪は染めているのか明るめの茶髪、身長は私くらいだが手足はとても長く、整った顔立ちでまるでモデルの様だ。
胸のネームプレートは青色をしていた。1年が赤、2年が青、3年が緑なので先輩なのは確かである。
名前は鈴本恋華。
知っている、1年の間でも見たことが無くても名前だけなら誰でも知ってると言えるくらい有名な先輩だ。とても容姿が整っている事、そしてとても変わった人であるという事で…………。
見た目がいいため全学年で彼女の事を好きという男子はとても多い。だが、先生や女生徒の中には彼女の事を良く思わない人は多い。授業中に突如教室を飛び出したと思ったら数時間帰ってこなかったり、友達になりたくて話かけてきた女生徒を素通りして泣かせてしまったり、授業態度について指摘してきた先生に対して、先生の授業には無駄が多いと逆に指摘して黙らせてしまったりと色々やらかしているらしい。
「君も特殊な能力をもっているよね?」
「特殊な能力……?」
「あるはずだよ。君のまわりにはとても濃い赤のオーラが見える。」
訳のわからない話を言い始めるとは、さすが悪い意味で有名人だ。
これ以上からまれる前に早く彼女の横を通り過ぎてしまいたかったが、彼女の鋭い眼差しに軽く後ずさってしまった。
「オーラって何の話ですか?私、宗教とかそういったものは信じない人間なのですが…………」
「そういった誘いではないよ。私の目には一般人と特殊な人間を見極める能力あってね、君は特殊な方だと映ってるのだよ」
「はぁ……」
これは完全にまずい。変人な上に最近沙夜に勧められて見たアニメにもいた中二病っていうのなのかこの人。
失礼なことだとはわかっているが私は鈴本先輩から逃げる事を決めた。
「それにしてもおかしいね。新入生は四月の時点で全員異能者かどうか確認したはずなんだけどね」
「鈴本先輩すいません!お昼買いに購買行きたいので失礼します!!」
私は先輩の横を走り抜けた。
無理やり止められる事はなかったがすれ違った時に先輩はおかしな話の続きをしていた。
「異能者は異能者を引き付ける。困ったときは私のところへおいで」
購買でパンを買った帰りさすがに先輩はもういなかった。