第5話:二人目
初対面パーティの後、そこでお相手した男性のうち6名からそれぞれ紹介書が送られてきた。例の彼(三田仁、30歳、ゲームソフト開発会社勤務)からも来ていた。卒業した大学が同じだった。話が合うだろうという期待感も含め、彼には自分の紹介書の送付をした。2日後彼から連絡があり、自分の住むところの近くの駅で待ち合わせることになった。
三田には2ヶ月前まで付き合っていた彼女、結城舞美がいた。舞美は元いた会社で「癒し系」や「萌え系」といった流行語表現を飛び越えて「職場混乱系」の異名をとった。同じ職場にいる男性は舞美があまりに魅力的なので彼女のことで頭が一杯となり仕事に集中できずミスが相次いだ。彼女が年次有給休暇を取得した同じ日に休みを入れた男性社員は休みの間何をしていたのか周囲から執拗な追求を受けた。彼女と仕事の話をしただけでも仲良くなろうとしていると周囲から疑いの目で見られ、業務資料が消されるなどの愚行も繰り返された。彼女は結局、女上司の激しい嫉妬を買い、様々な圧力をかけられ退職を余儀なくされた。しかし、その後モデル業に転身して雑誌で紹介されると一躍人気者となった。モデルの他に女優の仕事や雑誌の取材等で忙しくなると付き合う時間が少なくなる。別れを切り出したのは三田の方からだった。彼はその後できるだけ多くの女性と会う機会を求めて五本木ブライダルに入会したのである。
初めのデートの服装は、初対面パーティでの印象から外れない様に同じものにした。待ち合わせ場所に来た時、先に来ていた彼はすぐに気付いた。その後、喫茶店で学生時代の話に花が咲き、しばらくして映画館に行った。映画を見終えてから彼は意外なことを口にした。「映画見ててもつまらない。」何?初対面パーティの時は見たいと言っていたではないか。「では、どうしたいの?」と聞いた。彼は直子の手を取って引き寄せると両手で彼女を優しく包み込んだ。




