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基本にして伝統にして最強2



 ~深夜 タング地方、黒い森付近~


それは人の所業ではなかった。


次々と襲ってくる兵士。それに対してアアアアは一人。

常識の範疇で考えればもちろんアアアアは負ける。多勢に無勢過ぎる。勝てるワケがない。


「ウオォォォ!!」

(お、落ち着くんだ名も知らぬ人よ!)


しかしそこで勝てちゃうのが勇者なのだ。

ロングソードを構えた兵士を『勇者の剣』で一太刀。剣はロングソードの刃を叩き斬った。

そのまま鳩尾に蹴りを繰り出す。


「な、なにぃ!?俺の剣がぐふぁ!!」


アアアアの持っている剣…それは偉大なるご先祖様が持っていたという伝説の剣。

そのくせ鍔から握り柄頭に至るまで異常なまでに装飾をされている剣だ。金銀宝石、握りには竜の彫刻までデコレーションされている。ご先祖様は小ギャルだったのだろうか?


だがこのゴテゴテした剣を見た目で侮ってはいけない。その気になれば竜の鱗ですら刻める剣である。




ところで、なぜ勇者アアアアが兵士に襲われているのか?

それはこの世界に来た方法がまずかった。アアアアは流星群の一つとなってジッ・イファレンドに落ちてきた。落ちてきたという方法がまずかった。


(イタタ…最近の召喚はなんて乱暴なんだ……ん?)


アアアアが起き上がると、そこには焚き火とテントに馬、そして焚き火を囲んで武装した男達がいた。

彼らは一様に自分を見つめている。


(おお人が!驚かせてすいません。自分はここの女神オーなんとか呼ばれた勇……ん?げっ!?)


ふと、嫌な感触が尻の下からした。

アアアアが立ち上がるとそこには首が変な方向に向いた男がひしゃげていた。どうやら自分が落ちてきたさいクッションになってくれたらしい。

納得すると同時に、周りの男達から武器を引き抜く音が聞こえた。






そんなこんなで現在に至る。


「この俺の剣を喰らってみホグァ!」

(参ったな…事情を説明しようにも僕は喋れないし……そもそも話を聞いてくれそうにないし)


突進してきた男のアゴに蹴りを喰らわす。

右方向から繰り出された槍を掴むと、引き寄せて頭突きを当てる。


「オグぅ!」

(おまけに着地した時クッションにした人、絶対死んだよな…くそ!勇者たる僕とした事が…なんて失態だ!ご先祖様に顔向けできない!)


ちなみにご先祖様は他人の家に無断で侵入、窃盗を繰り返していたという黒い歴史があったとか。


斬りかかってきた斧の刃を剣で受け止め、顔面に拳をお見舞いする。

拳は相手の鼻のぺちゃんこにした。


「フグァ!!」

「クソ!コイツ強えぞ!」

「お、お頭を、マルコル様を呼んでこい!早く呼ぶんだ!」

(善良な一般兵士を殺してしまうなんて…僕って奴は…チクショウ!勇者失格だ…ん?)


突然アアアアを取り囲んでいる兵士達が動かなくなった。囲んだまま遠巻きにして向かってこない。

不審に思っていると、一人の男が出てきた。


「まったく、これからお楽しみの時に邪魔とはな…」


その男はデカかった。

ニメートル近くある身長に、ゴツイ顔に彫られてある刺青。おまけに、右手に大きな両刃の斧を持ってい

る。誰がどう見ても悪役です本当にありがとうございました。


「それで、テメェは俺達『マルコル盗賊団』に何のようだ?」

(…と、盗賊団~!?善良な一般兵士じゃなかったの!?)

「ひょっとして昨日襲った村のバカ共に頼まれたのか?」

(村を襲ってたの!?じゃあ手加減する必要とかなかったのか!くそ、心配して損した!!)


「なんか喋れよ」

(喋れたら勇者なんかやってないよ!)


しかしアアアアは気を取り直して、マルコルに人差し指を突きつけた。


(え~とマルコル盗賊団、頭領マルコル!この勇者アアアアが聖なる力で懲らしめてくれる!)

「…いい加減なんか喋れよ」

(かっこいいセリフなんて僕には意味ないんだ…ふん!)


アアアアは剣を水平に構え、自分の持っているマホーパワーを剣に込めてゆく。

マホーパワーは必殺技や魔法を使うのに必要なパワーだ。

ゴテゴテした剣が青白く輝いてゆく…


周りから驚きの声が聞こえてくる。


「な、なんだ!?」

「ひょっとして魔法か!?」

「最後までダンマリかよ!落ち着け野郎共!詠唱なしで魔法が使えるか!虚仮威しだ!一斉にかかって始末しちまえ!!」


マルコルが冷静な指示を出し、周りが襲いかかってきたと同時に、アアアアは動いていた。

左足を軸にして思いっきり回転する!


(必殺!『スーパー大回転斬りぃいぃいぃぃぃぃい!!!!』)


うわっダs、青白い光が一瞬にして闇夜を斬り裂く!

アアアアは回転をやめると、ゆっくりと剣を鞘へしまう―――と


                ――ボト、ボトボトッ――


鞘へ剣を仕舞った瞬間、周りを囲んでいた盗賊達の腰から上が落ちていった。

あの一瞬で周りの敵を全て斬っていたらしい。マルコルも指示を出していた時の顔で地面に転がった。

恐ろしい技である。主に名前が。




(ふっ、これが正義の力だ…)




アアアアは満足そうな顔をした。







アアアアの武器


・伝説の剣

偉大なる先祖が使っていたとされる伝説の剣。長い年月を経ているにも関わらず刀身にはサビ一つない。

そして異常なまでに装飾がされている。握りには赤竜の彫刻、金の鍔は翼の彫刻が成され、柄頭には銀で出来たライオンの精巧な彫刻…ご先祖様は見栄っ張りだったらしい。


アアアアの必殺技


・『スーパー大回転斬り』

刀身に自分の持っているマホーポイントを注ぎ込み、回転する一瞬だけマホーポイントを一気に解放する。恐ろしい程の切れ味を誇り、武器の射程距離も伸ばしてくれる『必殺』の技。

この技をするには技に耐えられる頑丈な武器、そして大量のマホーポイントが必要。

地上の敵のみ有効。飛んでいる敵には意味がない。そしてあくまで一瞬である。

スーパーってお前…喋れなくてよかったよ。





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