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基本にして伝統にして最強

栄えある一人目はまさにテンプレ。

しばらくはコイツ視点です。

我が家は代々続く、由緒正しき勇者の家柄である。

どれくらい由緒正しいかというと、家の周りに観光客がやってくるくらい由緒正しい。


それくらい我が家が勇者の家系であることは周知の事実だ。




僕の名前はアアアア。

冗談ではなくマジの名前だ。僕の名前は『アアアア』。生まれる前から決まっていたらしい。

正直最悪な名前だ。しかもこの名前はもう変えられないらしい。悪夢だ。




ある日、僕は王様に呼ばれた。理由は考えなくても分かる。どうせ魔王→侵略→姫誘拐のパターンだ。

母が僕をたたき起こす。女神の夢は見なかった。残念。


城へ行くと、玉座に座る王様が簡単な説明をして僕に武器と旅費を出してくれる。

武器は布の服一枚にひのきの棒、旅費は十ゴール(ゴールはここでのお金の単位で日本円で約千円)。


…旅をなめてんのか。


「もっと出してあげたいとこじゃがこういう伝統なんじゃ。我慢してくれ」


いやいや!周りの兵士さん達の方が良い装備してるじゃないか!

そうじゃなくてもせめて馬とかないの!?僕はこれから世界を救うんですけど!?


「我慢してくれ」


なにこれ職業差別?僕の疑問に答えてくれる人はいない。

周りの人達はみんな僕から顔をそらす。


しかし僕は勇者。文句をいうことなど許されない。


というか言えない。実を言うと、僕は「はい」と「いいえ」しか喋れないのだ。

これはあらゆる勇者にいえることであり、僕の曾祖父から今亡き父も「はい」と「いいえ」しか喋れなかったらしい。

もはや呪われた家系だ。よく母は僕の父と結婚できたな…。


それはともかく、僕の冒険は始まった。

誰も見送りをしない。「はい」と「いいえ」しか言えないので無言のまま村を一歩出る。

涙をこらえたこの気持ちを僕は一生忘れない。

それから色々なことがあった。




――はじめての戦闘――

もちろん水色スライム三匹。僕はひのきの棒で叩き潰した。

叩いたスライムからブヨブヨした眼球が飛び出た…オエェ!

でもお金が出てきて嬉しかった。出てきた額は十一ゴール…僕は魔物より貧乏だった。


――はじめての呪文――

指先から小さな火の玉が飛び出した。方向を誤り、山火事を起こしてしまった。

黙ってればバレない。沈黙は僕の特技だ。


――はじめてのボス戦――

ある村を荒らしているカッパのようなボス。

どうみても火が弱点です。本当にありがとうございました。


――はじめての沼――

毒の沼があるなら注意の看板くらい立てとけバカが!



             ――まだ色々あったんだけど、省略するね――



そんなこんなで、僕はついに魔王城一歩手前の村の宿屋にいる。

ここまで長かった…だがそれも終わる。僕は宿屋のベットに倒れ込む。正直疲れた。

明日には全て終わる…はずだ。もう教会のお世話になるのはこりごりだ。


僕は寝た。せめて良い夢を見れますように…。














 「それでは皆様、ようこそジッ・イファレンドへ!皆様は千人で一人の勇者なのです!ガンバっ!」


いまさら夢の中に女神様が出てきた。







名前・アアアア


性別・男


身長・百六十六センチ


体重・六十二キロ


職業・勇者


備考

・勇者『アアアア』。代々続く由緒正しい勇者である。まさに血統書付きの勇者。

 顔の方も一応イケメン。


・「はい」と「いいえ」しか喋れないという、遺伝的な言語障害を持っている。

 そのため普段は黙っている。周りから寡黙なタイプと勘違いされがち。

 また、この言語障害のため呪文詠唱は自動的に無詠唱である。

 そのため、どんなに長い呪文でも無詠唱で行える。


・現在レベルは最高レベルである。




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