いつかの明日といつもの今日
絵の具に混じる群青の
思い描いた青い空
白い雲が水色に
溶けては いつかの夢の中
茜に染まる 今日が燃える
静かに冷たく 広がる群青
あぁ 夜が来る 黒い黒い空に
あぁ どこまでも
見えなくして 隠さないで
君の居ない屋上に 夜が訪れる
そこで僕はタバコを吹かして
眠れない街の音を聴く
火を灯したはずの夜明けの先端が
煙になって消えないまま
白明の魔法をかけて朱色に染める
君の居た屋上の空
僕の居た屋上の傍
交わろうとした物語の
誰にも言えない静かな
ほんのささやかな時間
君の心音と
明日に託された 言葉に隠されて
いつもの今日と いつかの明日が
いつの間にか いくつも重なり合う
ほんの一瞬だけの微睡み
光が落ちた静かな街に
洗われた真新しい風景
天に還る夜 日の昇り始めた朝
それを見送ってタバコに火をつけた
けれども今日は あいにくの雨が
軒先の雨樋を伝う
ピチャリ 静かな
ルルルルル 雨水が流れる
今日はお休みだから
僕は布団に潜り 二度寝した
降っていた雨がポツリ
アスファルトを照らす外灯の明かり
代わりに君が目を覚ました