里見洸介その2
9話 里見洸介その2
「里見さん、例の服、誰の物かわからなかったそうですね」
「ああ、あの事故の直後だからな、てっきり……」
少し前千葉県千葉市中央警察署。
「また、か。こっちにも仕事はあるんだ。わかってんのか里見」
「でも、この事件の始まりはあっちですよ」
「そんなことは、誰だって知ってるよ」
「また、勝手に行っちゃたんですか」
「ええ。千葉駅の構内の事件だから鉄道警察も動いてるから、課長はあまりつっこみたくないのよ。他の事件も多いし。ソレを里見さんが勝手にあっちこっち動いているから」
交通課の新米ちゃん、円城はこのところ每日課長にドヤサれている里見さんを見ててあきれている。
里見洸介はウチの署の問題児だとすぐわかったと。
「佐久間ハルカ君、クルマ出して」
「はい」
「僕の推理は間違ってない。高原レンはウソをついてる」
「自信ありげですね。あの干物ドロボーの件は」
「少女らしい干物ドロボーか。あの事故後に目撃されてる少女……そっちも気になってるが」
「あの、干物ドロボーは例の佐原ミライで、あのカフェでの殺人犯が別の人物とは?」
「干物の方はホントはなんとも……。佐原だとしたらなぜ警察に。捕まえて見たいんだがその子」
「あの日、海から上がった女性が偶然殺人を犯した。と、いうより。あの事故で海に投げ出された誰かがの方が、ありえそうだろ。それにあの服はどう見ても船のクルーが来ていた物でも、撮影スタッフの物でも、ない。役者が着ていた衣装だ」
「だったらあの日に乗っていた女優は一人ですね」
「佐原ミライだ」
里見さんは大好きだという超甘い黄色いコーヒー缶を一口飲んで。
「あのカフェの犯人は殺されたオーナーの奥さんのパーカーとスウェットで行動している。その後着替えてなけれはだが」
カフェの現場で奥さんが着ている写真を見たが、ショッキングピンクで派手なパーカーだった。あれは目立つ。
「そこで、気になるのが、現場近くで、あった洗濯物のシャツの盗難だ。こいつはあのあたりで聞き込みをしなければ出でこなかった情報だ。洗濯物のシャツの一枚なんて風で飛ばされたと思い盗難届けなんか出さない」
「ピンクのパーカーは、まだ一般公開はしてないが県内の各警察署には通知がいってるはずだ」
「この殺人犯は凶器がすべて、はじめのカフェで盗まれた刃物だ。しかも現場に平然と残されてる。それに指紋付きだ。まえがないから誰かもわからないが、鑑識と科研によると女性のものらしいと」
「あのミステリーとかであるんですけど、男というせんは? 背が引く女裝した男、または男子の可能性は。船に乗っていた俳優の新島は160前後だったと。男性アイドルはけっこう女裝が似合います」
「佐久間ハルカ君、面白いね。で、新島なんたら君には女装趣味があったの?」
「知りません」
「ソレもあとで……」
「あ、そこ高速乗って東京に行くから」
「何処に行くんです?」
「佐原ミライの事務所。彼女の指紋をもらいに」
つづく