アクエリアス・プリンセスって
3話 アクエリアス・プリンセスって
病院に来た、刑事たちは高原さんのアリバイの確認と船の沈没時の状況を聞き帰った。
高原レンマネージャーは、一週間ほど検査入院してから退院だそうだ。
仕事に復帰すればあたしたちアクエリアス・プリンセスの担当リーダーに戻る。
最近はバラバラの仕事が多いので各メンバーに担当マネージャーがいる。
まあ人気が低迷したとはいえ、まだまだいけるとみてのはからい。
タレントによっては個人行動もある。
アクエリアスにはもう一人立花ひづるというあたしより年上の娘がいたんだけど、ブレイク前に某男子アイドル事務所のタレントと恋愛スキャンダルを起こし二人共芸能界から去った。
立花ひづるの代わりに入ってきたのが、同期で女優志望の佐原ミライだった。メンバー変わったところでグループ名を変えた。
ただのアクエリアスにプリンセスを付けた。
やたらめったら多い女子アイドルグループの流行りに乗ったウチの社長がウチでもやるべぇと作ったのが創設の動機。
まあ売れなかったら即解散のつもりだったらしい。だが、大手事務所のアイドルとのスキャンダル等でどうにか名前は知られて、なんとなく活動していた。
大手事務所の人気グループがあるコマーシャルに下品すぎるとキャンセル。
その後に受け持ったあたしらが、思わぬ大人気。どんな下品さかって。想像にまかせる。
なんの幸運か、タイアップしたアニメソングが番組のヒットで同時に売れたアクエリアス・プリンセス。なんだかんだと、年末の国民的歌番組にも出場。
あたしらは、中途加入の佐原ミライをラッキーガールと讃えた。それは、事務所の人たちもだ。
中小企業の少の方だった。事務所も大いに盛り上がった。
そんなミライが、行方不明。彼女の死亡説もあるがラッキーガールミライはきっと帰ってくる。
「おっアミ、今日は暇か?」
「アレ、高原さん、まだ休みじゃ? 暇じゃありません、これから仕事です」
「そうか。いゃあなんともないのにウチでゴロゴロしててもね」
「あっ高原さん、丁度良かった刑事さんが」
「刑事? 話すことは病院で全部。 わかった応接室に」
「コレはすみません。休暇中だったと。私、千葉県警の里見といいます」
つづく