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海から来た少女

第1話 海から来た少女


「台風なみだなこりゃ閉めるか」


 海岸通りにあるカフェ「モーリアン」。


 昼からの悪天候、夜になってもおさまらず雨量が増すばかり。


 オーナーの谷村は、これ以上開けてても客は来ないと判断しシャターを下ろそうと出入り口のドアを開いた。


 人が立っていた。ズブ濡れだ。しかも女の子。


 なんだってこんな日に外に。


「どうしたの? さあ中に」


 谷村は奥のシャワールームからバスタオルを持ってきて、女の子のあたまに乗せた。


 女の子は頭をふこうともせず、立ったままだ。

 仕方がないので谷村はタオルで頭や顔をふいてやると背が小さいから子供と思ったが、中学くらいかなと。

 娘と同じくらいだ。


 かすかに海水のにおいがした。


 海に入った? まさか自殺でもはかったのか。


「どうした? 親とケンカでもして飛び出してきたのか? そういう年頃ってかんじだな。このままじゃ風邪をひく、奥にシャワーがあるから」


 場所がらサーファーたちが寄るのでシャワー室が店内にある。


「合わないかもしれないが、ちょっとした着替えもある、濡れた服は洗濯機に入れとけば30分もあれば大丈夫だろ、ホラ、入ってきな」


 ど谷村は少女の背を押した。


 谷村は、奥の部屋から妻のパーカーとスウェットを出しシャワー室に持っていくと。


「どうした、使い方わからないのか」


 浴槽はないシャワールームで最新式の操作パネルがわからないのかと、谷村は温度や水量をあわせ温水を出してやる。


「止めるのはココ押せば止まるから。着替え、ここに置いとくな、じゃごゆっくり」


 谷村はなにか温かい物でも飲ませてやろうと、電気ポットに水を入れ沸かした。


 少女が妻のパーカーとスウェットを着て出て来た。


「おい、どうした髪が濡れたままじゃないか」


 あきれた谷村はシャワー室にタオルを取りに行く。

 脱衣場には寝れた衣服が無雑作に脱ぎ捨ててあった。


「なんだ、洗濯機にも入れられないのか」


 ガッと頭に何かが刺さった気がした谷村は額に何かが流れて来るのを感じた。



 その日の朝。


「今日のスケジュールは、ココロがラジオの収録、ケイさんがミステリー番組の録画撮り。そしてミライは映画の撮影と」


 クルマを運転をするマネージャーの奥田さんに。


「大原の仕事、終えたら、今日は終わりよね。帰りに実家寄って行っていいかな?」

「明日の仕事に間に合えばいいわよ」


 やった。ちょっとまえまではこうはいかなかった。

 まあ、ソレは人気が落ちてる証拠でもある。


 あたしは九十九(つくも)アミ、アイドルグループ「アクエリアス・プリンセス」のひとり。


 最近はグループとしての人気が低迷し、個人での仕事が増えた。


 今日もバラバラな仕事、あたしの仕事は地元の道の駅がオープンでテープカットのやらせてもらえる。

 地元といってもあたしの家は勝浦なので本当は地元ではない。同じ県なだけだ。芸名の九十九(つくも)だって、ただ、千葉県出身というだけで。


 オープンイベントで地元歌手の歌が終わった頃、奥田マネージャーに電話が。


「大変!アミ、ミライの撮影してた船が」


 グループのひとり、佐原ミライは今日は映画の撮影だった。

 東京湾の船上でおこなわれていたが、なにかの事故で船が。

 

「沈んだ」

               つづく

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